第796回  “感情の整理”が上手な人になるには(3)

2013年12月5日

後期中間試験の第4日です。中学生は最終日になります。
テスト期間は心身の疲れがたまりますが、最後の踏ん張りが大切です。試験勉強の成果を答案用紙に十分に発揮してほしいものです。

 

通信は一昨日と昨日のつづきで、3回目で区切りとします。
精神科医・和田秀樹先生が届けてくれる身近なアドバイスは、自分のことを振り返っても“その通りだな”とうなずける箇所がいくつもありました。第1章から例示させて頂きます。

・そこで、まず自分の感情を瞬間的に立ち止まって見つめるレッスンを始めましょう。(中略)毎日の生活の中でさまざまな場面で、いま自分がどんな感情状態にいるかを自問するだけでいいのです。あるいは、一日の終わりに、その日の自分の感情の流れを思い出してもいいです。(中略)そういった習慣をつけることで、自分のいらだちや不機嫌の原因もわかってきます。悪感情の原因がわかってくれば、余分なストレスをため込まないですむはずなのです。

・感情コントロールの下手な人は、自分の悪感情をなかなか認めることができません。すべて他人のせいにしますから、「あの人が悪い」「あの人さえいなければ」と考えてしまうのです。(中略)自分の悪感情を素直に認めることができれば、あとは自分自身の問題になります。他人のせいにすれば、いつまでたっても他人の問題になります。自分の悪感情を処理できなくなるのです。(中略)こういう人は(中略)自分の悪感情には目を向けないのですから、周りにどんどん「虫が好かない人」が増殖していくのです。

・すべての人間関係には、こういった「作用と反作用」の法則のようなものが働いています。好感には好感が返ってくるし、悪感情には悪感情が返ってきます。うわべをどんなに取り繕っても、人間関係はおたがいの感情がつくりだす“感情関係”と言っていいものなのです。

・感情コントロールの上手な人は逆になります。自分の中に生まれた悪い感情を早い段階で処理することができますから、誰かに声をかけられれば気軽に返事をし、何かを訊かれれば気さくに答え、他人の好意は素直に受け止めることができます。こういう人は、かりに一部の人間から悪感情を持たれたとしても、その場その場で自分を立ち直らせることができます。すると大部分の人間にとっては好感の持てる人であり続けるのです。わたしたちに共通する感情として、他人の噂や評判がどうであっても、自分に対して朗らかで好意的な人間にはこちらも好感を持ちます。

 

最後の第6章も、全体のまとめにふさわしいアドバイスが心に残りました。

EQ(心の知能指数)は、特に中高年になると次第に衰えていくという指摘から始まります。「素直な成長願望」や共感能力が弱くなり、自己中心的な考え方が強まりやすいと指摘されます。

その上で、すべての人間関係に「好き」という感情を持ち込む努力が勧められます。「心底嫌い」なごく一部の人とは距離を置き、「忘れる技術」を身につけていきます。周囲の人間関係に「好き」という感情が基本になってくると、思いやりが広がり、感情生活は驚くほど明るく潤いのあるものになります。「どちらかと言えば嫌いな人」に対して、その人の長所や微笑ましい部分に目を向ける努力も勧められます。また「他人をけなさない」姿勢が求められ、「懐かしさは人間関係の最良の潤滑油」との指摘をふまえた心構えが説かれます。そして人は誰でも健気に頑張っていることに気づくことの大切さが説明されるのです。

 

大まかにこの本の概要を紹介させて頂きましたが、拙いまとめよりもぜひ直接に通読して、ご家族やお友達にも紹介して頂けたらとお勧めするものです。