第812回 2014年・年頭にあたっての呼びかけ

2014年1月9日

今日は、昨日の全校朝礼で校長からお話した内容を紹介いたします。
この日の朝礼では、校長、生活指導主任の先生、生徒会クラス委員長と風紀環境委員長からスピーチがありましたが、いずれも昨年の通学路マナー向上週間の取り組みの成果や、地域住民のお声、今後の登下校をめぐる呼びかけが共通したテーマになっていました。クラブ活動・授業の表彰事項も数多くあり、様々な在校生の活躍を紹介できたことが嬉しかったです。

【校長の話】
皆さん、おはようございます。
冬休みは、それぞれお家で、また友達と楽しいことに恵まれたでしょうか。
気持ちをきちんと切り替えて、新年の生活をスタートしたいものです。

年を越えましたが、まず生徒会活動に関連して、お礼を述べたいと思います。
先月にクラス委員会と風紀委員会が合同で行った、第2回「通学路向上マナー週間」のキャンペーンに対して、心から感謝しています。
総務委員長の種子島隼君、クラス委員長の高橋慶君、風紀委員長の大森颯君を始め、高2を中心とする皆さんの行動力と組織力には本当に感激しました。通学路に分散して立ち、「おはようございます」、「右に寄って下さい」などと連呼し、行き交う地域の人達に挨拶する。画期的なキャンペーンであり、地域の方々からも感謝と評価のお言葉をいろいろと受けています。
小田急線の鵠沼海岸駅の混雑解消問題はとても切実な状況です。分譲住宅が増え、地域の人口や駅の乗降客数は増えているのに、駅周辺の構造的なリニューアルは先送りになっています。地域最大の利用者である学園生にも社会的な責任があるのを踏まえて行動してくれました。今後もぜひ可能なペースで継続して頂きたいです。

全校の皆さんには改めて小さな自覚をお願いします。駅の交番から踏み切りまでの狭い道は、友達と横に並ばず1人ずつ通行して下さい。特に雨の日は傘を指すので対向する方々に注意をお願いします。通学路では、友達となるべく2列までの並びにとどめて、右側通行を意識して登下校して下さい。グループの人数が多い時や自転車の人がいたりすると、つい道路いっぱいになるものです。この地域で生活される住民の方々、高齢者やクルマ利用の方々への心配りを引き続きお願いします。

さて、年明けの今日の全校朝礼には、高校3年生だけはいません。
先輩達の大部分は、今月の18日と19日に大学入試センター試験を受験します。
この冬休みにも、数多くの高3諸君が連日登校していました。
大晦日と元旦には、それぞれのべ実に40名以上の先輩達が学校へ来て自習していました。センター試験後も2月から3月まで、大学受験は本当に長丁場の戦いです。先輩達は、すごい意気込みで最後の追い込みに全力を挙げています。
同時に、高3の人たちは3月8日に湘南学園の卒業式を迎えます。先輩達に尋ねると“中高6年間は経つのが本当に速かったです”という言葉が、異口同音に聞かれるのが印象的です。6年あるいは12年、14年と通った学園ともういよいよお別れになるという感慨があるのが伝わってくるのです。

高2から中1までの皆さんにその事を伝えたいです。一年後には受験真っ只中に入る高2の皆さんは特にそうですが、中学生の皆さんにも、決して学園時代は長くないということを強調したいと思います。
せっかく選んで入ってくれた学園です。改めて今の自分にとって、当面する「小さな目標」から。遠い先にある「大きな目標」までを考えて確認し、掲げ直して学園生活を送って欲しいと思います。日々の時間を大切にして欲しいものです。

ここにいる在校生の先輩と後輩の話をひとつ紹介します。いま高2のある男子生徒が、数年前にある小学生の男子と同じ趣味の世界で出会い知り合いになりました。その小学生は先輩にあこがれて学園へ行ってみます。この学校なら入学したいと小学生は受験を決意し、本気で取り組み、合格して学園生の仲間入りをはたしました。あこがれの先輩から言われたことがありました。それは「学園は伸び伸びしていていろいろチャレンジできる良い学校だけど、弱点がある。それは“流されやすい”ことだ。中高6年間は長いからダラダラしやすくなる心配がある。大切なのは自分なりの時間の使い方だよ。けじめをつけて勉強にも日々集中していくんだ」

・・・・・・こういったアドバイスでした。後輩の中学生はその助言を忠実に実行します。毎日の授業にはちゃんと集中する。周りがうるさくても自分は理解に努める。判らない所はなるべくその日のうちに先生へ質問しに行く。試験前でなくてもいま習っている内容を先送りにしないように心がけたのです。
その男子には週末に必ずやりたい自分の趣味があります。その時間を確保するためにも「すきま時間」を無駄にせず教科の勉強をするようにしました。そして成績は学年のトップクラスに躍進したのです。・・・・・・その中学生が、定期試験が終わった後でも電車の中で英語の自習書を開いている姿を直接見ることがありました。通学時間も生かそうと心決めしているのでしょう。ちなみにその中学生に助言した高校生もメキメキ実力をつけて、一番好きな教科では群を抜いた成績を得ています。

長い紹介でしたが、日々の集中力を保って自発的に勉学に向かう姿勢が大事であることを教えてくれます。皆さんはこの学園で将来の進路をつかみ、その通路にあたる大学受験に臨む課題は共通しているはずですから、心に留めて欲しいのです。
年頭に当たって皆さんに願うことは、向上心を燃やして欲しい、ということです。
3月初めに待つ後期期末試験で大躍進するのは「近い目標」でしょう。いずれ来たる大学受験であこがれの第1志望校へ合格するのは「遠い目標」でしょう。
「授業中におしゃべりしている」とか「復習や宿題は放っておく」といったレベルに留まっている人はいないでしょうか。この学園に入学した初心に立ち返り、集中力を身につけ直し、地道に取り組む姿勢を心がける一年にしていきましょう。

向上心と集中力は、すべての活動に共通して大事なものです。部活動も学校行事も同じです。この冬休みもいくつかのクラブ活動に接しましたが、素晴らしい集中力と意欲を持って取り組む姿に心を打たれました。いくつもの運動部の諸君は、日常の挨拶も素晴らしいです。さわやかで前向きな雰囲気にいつも感動しています。

学園の新年は、まず「燃える合唱コン」から始まります。本番まであと16日です。この一年間様々な体験や苦楽を共にしてきたクラスメイトと力を合わせて取り組める、最後の締めくくりのイベントです。インフルエンザや風邪に気をつけてクラス全員揃って本番に臨んでほしいです。やる以上は優勝や入賞を目指して取り組みましょう。これから一日一日が勝負です。練習できる時間を工夫して増やし、リーダーの指示に皆の心を揃えて、素晴らしい練習と本番を実現しましょう。皆が選んだこだわりの歌で最高のコーラスを響かせて下さい。

さて、創立80周年を記念するカフェテリアが開業されて、2か月目に入ります。今日のメニューは、中学生と高1生を対象に「唐揚げ定食」と「ポークカレー」です。明日は高校生と中1と中2生を対象に「タンドリーチキン定食」と「牛彩丼」、10日は中学生と高2生を対象に「麻婆豆腐定食」と「肉うどん」が配食されます。
ホカホカに温かくて美味しいランチを皆さんに提供するのは、我々の念願でした。
カフェテリアを運営する湘南食育ラボの方々は、在校生や卒業生のお母様やお父様が中心です。安心で安全な食材や「地産地消」にこだわり、育ちざかりの皆さんの健康と成長に寄与する独自のランチを作って頂いています。“美味しいね”と笑顔の皆さんの様子を見るのは、関係者皆様の大きな喜びなのです。
他の私立学校では外部業者に委託する運営方法が普通ですが、湘南学園のカフェテリアは「自校運営方式」で、手作りのNPO法人により開業されました。「食育」が追求され、調理の風景も見えてスタッフの方々との会話も図れる食堂です。
家庭科の授業やPTA・説明会や国際交流のイベント、学園祭や部活関係などでも活用を広げていきたい、大切な拠点のスペースなのです。
来週13日の成人の日には、今年二十歳を迎えた卒業生の皆さんがカフェテリアでお祝いの再会を果たし、旧交を温めます。いずれ皆さんも卒業後には学園へ戻って、あの記念館で気軽に再会して下さい。

さて、このカフェテリアがいま悩むのは、日々の出食数がまだ安定せず、見通しが難しいことです。定食系のメニューが予想以上に人気ですが、ワンディッシュ系のメニューも利用増加が期待されています。こうしたら更に嬉しいといった皆さんの率直な声や要望も受けながら、また今後は放課後の利用も図りながら、このカフェテリアの活性化を全学で図っていきたいと考えています。
ラボカードを取得してしてくれた中高生は全学の約84%にのぼっています。まだ利用していない諸君は今月どこかでぜひランチを食べてみて下さい。皆さんの旺盛な利用が、カフェテリアの運営を軌道に乗せる土台になります。ご家族の方々とも話題にして、利用回数を増やしていって欲しいと願っています。

今年2014年の注目は、まず来月のソチ冬季五輪、そして6月にブラジルで開幕されるサッカーWカップでしょう。一方、この春から消費税が増税されます。この間の国会や政府の動きに対しては、様々な心配が報じられています。中国・韓国やアメリカなど日本の周辺諸国との外交関係も、厳しい情勢に直面しています。
皆さん、世間の動きにも目を向けましょう。最近若者の関心を集めるニュースは何でしょうか。たとえば若い世代の就活やブラック企業、ネットをめぐる汚染や犯罪、食品の偽装と安全問題、原発の汚染水処理や再稼働など、皆さんも気になる報道はたくさんあるはずです。
現代の日本は様々な困難や課題を抱えていますが、皆さんは、学園の建学の精神を体現して、「個性豊かで」「明朗で実力ある人間」になり、自分にふさわしい人生の拠点と絆をつかみ、将来は社会の進歩にどこかで貢献して、揺るぎない「幸せ」を築いてほしいと願っています。湘南学園はそうした皆さんの成長を支えられ、その力を生かせる私学でありたいです。次の創立90年、100年を目指して皆さんとともに前進していきたいと願っています。

それでは以上です。この2014年を、充実した素晴らしい一年にしていきましょう。皆さんご静聴ありがとうございました。