第1088回 湘南学園中高のグローバル教育 ③

2015年4月25日

本校のめざすグローバル教育像について、今回まで説明を続けます。

 

実用的な会話力も含めた英語力のアップを図ることは全校的な課題です。英語によるコミュニケーションの機会を通じて「明朗なグローバル市民」の素地を養うイベントも大事にします。

夏休み中には、中学生向けのイングリッシュキャンプを、今回は希望者対象で新設します。中学の英会話はすでにTT(チームティーチング)を行っていますが、初学者に英語の楽しさと会話への意欲を高める取り組みです。

昨年度の中1英語科から始められた「英語書籍の多読」の取り組みは、全学年に対象を広げ、火木土曜日の定例を基本に奨励、実施されています。英語の本に日常的に親しむ効果は計り知れません。英検を始めとする検定・測定試験の指導体制も強化されます。

また今年度から「グローバルサークル」を発足させます。英語漬けの時間を日常的に設けてスキルアップを図り、海外招待の企画や学外団体との交流に取り組むリーダー集団を形成します。英語の大好きな人や海外帰国生に参加を呼びかけます。問題意識や語学力に優れる生徒達のチャレンジを期待します。

学園全体で続けてきた「ヤングアメリカンズ」は全学的支援を受けて中高主催で行います。歌やダンスを通じたオープンマインドな自己の形成に寄与するプログラムであり、スタッフとの密度の濃い交流が期待されます。

 

大きな長期的目標は、独自のESDカレンダーを創造することです。長い蓄積を持つ総合学習と教科横断型の授業をリンクし、アクティブな学びの機会を広げながら新たな教育課程の構築をめざします。SGHの構想の中には、歴史ツアーと連動したグローバル市民の在り方の研究や、地産地消を大事にしたグローバル食育活動の研究もあります。年間を通した「ESDの時間」を早めに設定して、教科横断型のテーマ学習や共同学習を推進したいと考えます。

本校の総合学習や民泊重視の研修旅行は、広範な学外のネットワークに依拠してきました。たとえば地元藤沢や湘南地域、全国各地の生産者や大学、市民団体との連携です。校外フィールドワークや座談会、プレゼン発表などアクティブな学習機会は今後も充実させていきます。

湘南学園は、そもそも保護者や卒業生や地域住民がフットワーク良く教育の充実のために参画できる“みんなで創る学校”です。「食育」の志に応えて在校生&卒業生の保護者が独自のカフェテリアを開業した下さった経緯はその代表です。そしてグローバル教育への関心は全学的です。同窓会の財政支援を頂くことで、前述したいくつもの国際交流プログラムが実現しました。またPTAや後援会は、来園した留学生などで懸案となるホームステイの受け入れやイベントの機会提供などで心強いお力添えを寄せて下さいます。こうしたバックアップに恵まれるのが本校の強みです。

 

地球規模で相互依存が進み、「人類共通の責任」という世界市民の感覚を育てることが求められます。「持続可能な生産・消費のあり方や新しい生活様式」が追究されねばなりません。そのためにESDの観点からテーマ学習や総合学習を重ねます。

ユネスコスクールとして、“持続可能な未来へ向けての価値と原則”をまとめた「地球憲章」に注目します。地球が世界の人びとと共有すべき大切な共同体であると謳う「地球憲章」は、ESDの再編と発展にとって根本的な指針を示すものです。持続可能で希望ある地球社会の未来を担う人間を育成することが目標であり、そのためにはグローバル時代の社会の現実を深く認識する洞察力を身につけることが必要です。

 

そして「学び合い・教え合い・語り合い  認め合い」を重ねることで、異なる文化を持つ人びとと相互理解を進め、積極的に交流して共に生活できる人間になってもらいたい、当事者意識を持って課題解決のために行動できる力を育成したいと考えます。

学園生として特に身につけてほしいのは、「周りの人達と協同する力」や「周囲との絆やネットワークを広げる力」です。その実力はその先の大学時代のチャレンジで更に伸ばして欲しいものです。誰もがどこかでリーダーとして地域や世界の進歩に貢献できる人間になってもらいたいと願っています。