第1167回 米国トップ層の高校の教室風景から

2015年9月19日

前期期末試験は昨日終了しました。今日は第2回学校説明会&ミニオープンキャンパスが実施されます。一般生徒は休校の扱いですが、クラブ活動や生徒会、国際関係などで多数の在校生が運営補助で参加してくれます。また保護者やカフェテリアの方々のご協力もいただきます。
明日から国民的な新連休に入ります。本日は通信を発行し、次回は24日に再開させていただきます。

 

この8月に、同窓会のご支援を受けて米国トップランキングの大学を視察させていただきました。サンフランシスコとボストンを拠点に西部と東部で計10校、全米屈指の名門校が並びましたが、その中には中高・高校の2校もありました。いろいろ学べた研修旅行から、今日は東部の寮制進学校で見た教室風景についてお伝えしたいと思います。

創立から200年以上の歴史を持つその高校は超難関校で、卒業生は全米トップ層の諸大学に進学します。広大なキャンパスやグラウンドは豊かな樹木や芝生でおおわれ、スポーツも盛んでバスケとバレーのコートは別々、屋内プールには飛び込み台があり、スカッシュコートまで何面もありました。
最も印象深かったのは、ある校舎の教室の間取りが全て議論型の配置になっていたことです。机と椅子が教卓に向かって整然と並ぶ受講型でなく、始めから議論本位で机と椅子が向かい合う配置でした。テキストや資料を予習するのは当然の前提で、すぐにディスカッションが始められるのだろうと予想しました。大学でも当然そうした学習環境が重視されています。自分自身の見解を持ち、執筆とスピーチの力を磨き、他者と意見交流して認識を発展させることが大事にされ、評価の対象としてもウェイトが置かれるのです。思考力、発想力や発言力を鍛えることが日常的に追求されています。

 

5月に訪問した日本のISAK(インタナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢)の授業風景も合わせて想起します。信州・軽井沢の高原にある緑豊かな、やはり全寮制の新設高校でも、そうしたスタイルがメインにされていました。テキストや資料を予習しておく前提で、長時間の授業には明確な主題テーマが設けられ、プレゼン、ロールプレイや討議を主とした展開でした。担当教員の指示やまとめが要所でありますが、座学でノートを取るのが中心の授業にはそこでは出会えませんでした。日本人の在校生も含めてアジア諸国の高校生が英語でコミュニケーションを深め、友情を育みながら切磋琢磨する雰囲気に惹きつけられました。

 

現在の日本の教育をめぐって、大学入試制度の改革、高大接続の充実やアクティブラーニングの普及が焦点とされています。こうした先進諸校の取り組みには、その方向性を考える上でも大切なヒントがあると感じられました。
学費の問題は大変ですが、こうした学習を重ねる意義は絶大であり、留学機会のルートを探っていくのも大事であると実感しました。