第1236回 ユネスコスクール全国大会へ参加して ②
昨日からのつづきです。日本全国では、東日本大震災を機に、ユネスコスクールの加盟校は年々増加しています。千校を越えるのも近々となりそうです。
首都圏でもたとえば多摩市や大田区・世田谷区など、地域連携のESDが進展する地域が広がっています。
たとえば「地域創生」の課題と直結し、高校の廃校を阻止するため、地域との共創でユネスコスクールとして再生した県立校の事例も多く示されました。生徒会を中心に在校生が周辺住民と交流行動し、教員の移転を乗り越えてESDを継続させる事例もありました。
総じて、本校の教育のミッションについて改めて認識を深めることのできる貴重な研修の機会でした。教育課程の編成で公立以上の裁量権に恵まれ、PTA・同窓会・後援会・食育NPOのご尽力にも恵まれ、ESDのカリキュラムを構築し、ESD普及の先進事例を示す可能性を持つ私立学校なのです。
改めて反省したのは、教育のあらゆる場面でESDの視点を浸透させていく基本課題が遅れていることです。ESDは新規の開始でなく既存の教育の新たな方向付けであるともいわれます。生徒達が今後の社会において自分らしく生きぬくためにESDは必要であり重要であるとの共通理解を深めることが肝要です。教科指導や総合学習の指導とその連携はもとより、学校行事や部活動の指導、日常的な生活指導やHR指導、キャリア教育などでもESDの視点を盛り込み、それらのつながりも含めた見通しを持つことが大切になっています。
大学入試の改革や高大接続の充実、アクティブラーニングの普及などが世間の注目を集めています。中長期的にはESDの取り組みがこうした動向と重なり合っていくことが推測されます。ESDの課題は学習指導要領の改訂をめぐる文科省中枢などの検討でもキーワードになってきており、その推進はいわば与党的な立場に置かれてきているのです。
すべての教育指導の領域においてESDの視点から振り返りを行い、教育の質を高めて相互の指導が結びつき、生徒の洞察力や行動力を育んでいくような、いわば“ESDの文化”を学校に浸透させていく努力を広げていきたいものです。
答がすぐに出ない問題も考え続け、問い続けることのできる若者、学ぶ意味を主体的に捉えて、自分でツールを活用して探究していける次世代の人間を育てていきたいと考えるものです。
※ 図書室の様子がいつも素適です。司書の先生の工夫をこらしたテーマ特集とプレゼンテーション、図書委員会の生徒達の推薦案内などが、来場者の読書意欲、借用意欲を誘っています。最近撮った中から数枚の写真を選んでみました。