第1252回 「リベラルアーツ」への注目
日本の特に大学教育の改革のあり方を探る上で、「リベラルアーツ」という難しい言葉が注目を集めるようになりました。
昨年夏に私は、米国のトップランキングの大学を歴訪させて頂きました。その時もこのキーワードについて改めて考えさせられる機会になりました。
中高一貫教育の今後のあり方を考える上でも重要な概念だと思われました。
そこで今回は、「リベラルアーツ」の重要性について述べたいと思います。
この語句は本来「人を自由にする学問」を意味し、それを学ぶことで「一般教養」が身につき、その後に「専門教養」を深めるための大切な土台になる、と理解されてきました。
こうした理念は古代ギリシア・ローマの時代に形成され、中世以後のヨーロッパの大学では学生が身につけるべき技芸として「自由七科」が設けられました。「文法・修辞・論理・算術・幾何・天文・音楽」です。
現代では様々な学問の成果を受けて、大学で誰もが身につけるべき基礎教養科目群に充てられる言葉になり、学士課程における基礎分野を意味するようになりました。
現代的な分類では、人文科学・社会科学・自然科学などの内容が包括されるものとされています。
欧米では、専門職大学院へ進学するための基礎教育としての性格を示す語として頻用されるようになりました。
日本では東大やICUの教養学部が代表例としてよくあげられています。また多数の大学が「国際教養学部」等を新設してきました。
それらの模範となる教育を樹立したのは、米国のリベラルアーツ・カレッジです。(明日へつづく)