第1309回 フランス・クレルモンからの便り
フランスと日本、双方向の留学
ロータリー青少年プログラムで、フランスからはマリーヌさんが、そして日本からは高橋さんが、それぞれ交換留学生として1年間の留学生活を日本とフランスで開始したのは8月からでした。マリーヌさんの歓迎会などの様子は過日の「校長日誌」でお伝えしましたが、ここにきてフランスの高橋さんより、初の便りが寄せられました。
高橋さんにとって、初の海外が1年間のフランスというものでした。事前の学習としてフランス語の日常会話や歴史などを学ぶという意気込みだったとお聞きしています。そして留学先は、フランス中央高地に位置するオーヴェルニュ地域圏の首府であるクレルモンフェランというところです。
「クレルモン」という響きからは、かつて世界史を学んだ時の「クレルモン公会議」を思い出しましたので、早速調べてみました。やはり勘は的中、1095年11月にローマ教皇ウルバヌス2世がここクレルモンで召集した教会会議であり、会議の最後にウルバヌス2世が群集に向けて行った演説を契機に、第1回十字軍に始まりその後2世紀に及ぶ十字軍運動となる発端の地でした。いわゆる東方キリスト教国の苦難と異教徒に対する「聖戦」が必要であるとしたものです。そのなかで私の恩師がこのテーマに関わり、双方向(キリスト教圏とイスラム教圏)からの見方や検証の必要性を説かれ、その歴史的背景を語られるなか、飯塚浩二先生の著作を紹介していただいたことを今でも記憶しています。
さて高橋さんの初便りには、通っている学校が幼稚園から大学まである付属校であること、その環境もあり毎日の宿題の量が夏休み並みにあること、一枚の絵を渡され、その絵について長いレポートを英語で書く宿題に苦戦したこと、授業では板書はあまりなく、授業時間は8時から18時までの10時間もあり、その後部活などに当たる習い事となることなど、留学生活の様子が具体的に記されていました。
「自由は守られているけどやることはやらないといけない。メリハリが付く環境にいる」
と高橋さんは自ら置かれている環境を分析してみせます。また日本文化(食も含め)に関心を持つ方々が多いこともあり、ホストファミリーにお寿司や焼きおにぎり、出し巻き玉子などをつくったことなど、食文化の日仏交流の様子もうかがわれます。
細い道が多いため迷い、大雨のなか3時間迷子になったことも含め、高橋さんは良いことも悪いことも沢山経験したといいます。本格的な留学生活に入るなか、比較歴史文化論の視点もいれると、より豊かなフランスでの留学生活になることでしょう。またの便りを期待します。