第1312回 15歳、学びのステージは「体験を拡げる」
周防大島とのつながり
先日、高校2年総合学習研修旅行4コースの取組みは、無事成功裡に修了しました。その後、研修旅行の振り返りと総合学習後半、事後学習が取り掛かっています。
そうしたなか、今週から中学3年の総合学習研修旅行が行われています。湘南学園は中高一貫校としての特色をふまえ、中3の総合学習においては、体験を拡げる豊かな取組みに取り組んでいます。中3といえば、思春期真っ只中、「ここはどこ?」「わたしはだれ?」を考え始める時期でもあります。湘南学園は個性豊かな生徒の皆さんばかりといってよいでしょう。その個性豊かな一人の生徒から他者をみれば、それは異質な他者ばかりと見えるのは当然です。そこに異質な他者との対話を開く意味が存在するのではないでしょうか。
都市と過密、豊かな生活環境のなかで、多くの生徒の皆さんが生活を送っています。そうしたある意味では日常化している「当たり前」の視座を、この「体験を拡げる」研修旅行を通じて問い直し、課題認識をもち、求めたい日本と世界のこれからを「想像し、創造する」ことにつなげていって欲しいものです。
もう少し詳しくこの取組みについて「湘南学園中学校高等学校 スクールガイドブック2017」から見てみましょう。
「毎年、周防大島のご家庭で2泊受け入れていただいています。普段とは違う生活に生徒たちは驚きの連続です。『奇跡の島』と呼ばれるほど生物多様性の宝庫である周防灘、満天の星空、形は良くないが大切に育てられた野菜を使ったおいしい料理、そして短い間でも愛情深く迎えてくださる島の方々。自分たちの知らない暮らしぶりに触れていきます。今は「持続可能な社会をどうつくるか」が世界的課題ですが、そのライフスタイルの手本も示されている周防大島での民泊。生徒たちの心に、多くの気づきをもたらしています。」
昨年度この「体験」をした藤岡さんは次のようにまとめています(「2015年度卒業論文(中学校)」)。かつて周防大島も高齢化問題に直面していた。「このように周防大島は、『高齢者モデル居住圏』の形成に取り組んでいたり、『無料島人紹介所』を設置し努力した結果、周防大島は転入者数が転出者数を上回る「人口増」となっている。このことから高齢者問題は回復に向かうと思われる。…だが、日本各地には過疎が進んでいる地域がたくさんある。こうした地域を活性化していくためには、若い世代の人々がもっと対策を講じていく必要があると思う。」
周防大島での体験を通じて、生徒の皆さんが、事前学習で構築したイメージを、その実際の体験と照合させ、その狭間に新たな発見、様々な疑問や取り組むべき課題を見つけ、自らの「進路」を考える機会にしてほしいと願っています。