第483回 高2現代社会・自分の考えをまとめて述べる

2012年6月18日

少し前に知った内容ですが、今日は高校2年の「現代社会」の授業で進められている課題学習の様子からご紹介します。プリントの内容、生徒達の記した文章がとても面白かったのです。

その回の論述テーマは、以下の通りでした。

 橋下大阪市長は「学力レベルが目標に達していない場合、小・中学生でも『留年』させるべきだ」として、大阪市の教育委員会に検討を指示しました。別紙の新聞記事はこの問題についての特集です。三人の関連する専門家が賛成と反対それぞれ異なる考えを述べています。これを読んでそれぞれ三人の主張を簡潔にまとめた上で、あなたの考えを述べなさい。

3つのクラスで記された意見からいくつかの文章が紹介され、担当の先生がそれぞれに、更に考えを広げる上で役立つコメントを添えていました。

感心したのは、支持・同意と疑問・反対にまず分かれても、生徒諸君がこの問題を真剣に受けとめ、根拠をあげてなかなか具体的に意見を書いていることでした。自分も生徒であり、勉強や成績のことで切実な経験や悩みもくぐってきたからこそでしょう。結論が異なっていても、異論の根拠にも注意を向けて、更に論理的に物事を考えてみる。現代社会の授業はそうした学習を進めていく上で、重要な機会になるなと改めて思いました。
特に印象深かった中から、ある生徒の意見を紹介させて頂きます。

私は、最初聞いたときは、小中学校の留年は別にあっても良いのではないかと思いました。制度が決まって初めの方は、やっぱり慣れないだろうし、新しい学年から孤立してしまうかもしれないが、人数が増えて、それによっていい方向に行くならばいいんではないかな、と思いました。しかし、三人の意見を読んで、「留年」の前にもっとやることが絶対にあるなと思います。日本特有の学年としての行事などの楽しみと助け合いなど、とてもすばらしいものだと思います。でも、授業を理解しながら、分からない授業を受けるというのは、もっとつらい事だと思います。なので、根本的な初頭教育の仕組みの改革や見直しが必要だと思います。コストはかかりますが、クラスの人数を少なくしたり、教師そのものの質をどうにかしたり、すべてにおいてもっと効果的な方法があると思います。日本の子どもの勉強・学ぶことへの意識を変えられたらすごいなと思います。でも、現実的にはとても難しいので、やはり学び直しの場の充実が一番なのかとも思います。また、悪いサイクルは絶対に排除しなければならないなと思いました。そして、青砥さんの記事の底辺校より進学校への支援が大きいというのは、本当にありえないと思います。それでも、やっぱり、そういう人を産み出さないのが一番なのであって、もし留年制度を取り入れるにしても、もっとたくさんの議論・検討が必要だと思います。

これはC組のある生徒の文です。懸案について柔軟に、総合的に考えてみる姿勢、わかりやすい文章に心をうたれました。生徒諸君が、現代の抱える様々な問題や課題を知り、関心を深め、主体的に考えて表現する学習を重ねていくことを頼もしく思います。