第1346回 総合学園としての学びの行方
第7回湘南学園全学教研盛会裏に終了
夏休みも終わりに近づいた8月の末に、今回で第7回を数える湘南学園全学教研が開催されました。全学教研実行委員会が議論を重ね、テーマを「いま、子どもたちの生活をとらえなおす」に設定しました。その背景には、「学園に通う子どもたちの生活の変化とそれに向き合った実践について学園全体で共有し合いたい」(パンフレット「今年の全学教研のテーマとポイント」から)という問題意識があります。
湘南学園全パートの教職員が参加し、「連携・接続・一貫」を意識して、午前中の全体会に始まり、昼食は参加者全員が一堂に会してのカフェテリアでの湘南食育ラボ特製のランチをいただきながらパートを超えた教育談義を楽しみ、そして午後の分科会、全体会という1日のスケジュール構成です。
午前の全体会では、①「預かり保育『ぞうさん』から見える子ども達」(幼稚園)、②「私立学校におけるアフタースクールの役割と可能性」(小学校)、③「学園の子どもたちと食育について」(NPO法人湘南食育ラボ)の3報告でした。①では預かり保育の現状、成果そして課題を明らかにし、②は「豊かな放課後」のあり方への取り組みの様子が、③では、湘南学園創立80周年の記念行事のなかで立ち上げられたカフェテリアと「NPO法人湘南食育ラボ」の活動が、それぞれ共有できたのではないでしょうか。
午後は4つの分科会、それは①「授業 主体的で深い学びをどう求めるか」、②「幼稚園から小学校へ とまどいと成長」、③「小学校から中高へ 変化と成長」、④「子どもたちの自主活動をどう広げるか」により構成されました。分科会全体を通じての特色を挙げると、①の「授業分科会」においては、新しい「主体的で深い学び」を中心に考え合うこと、②と③の「幼小と小中の接続」については、進学した子どもたちの姿から各パートの教育を考えること、③の「子どもたちの自主活動を対象とした分科会」については、生徒会総務委員や児童会執行委員の有志参加が実現したこと等をあげることができます。今回の全学教研を通じて、実行委員会は、「子どもたちの視点から学園の教育全体を考え直す」場にしていきたいとの狙いがこめられていました。
最後に全体のまとめとして、共同研究者の佐藤隆先生(都留文科大教授)による「学力とは、学ぶとは、わかるとは」の講演が行われ、学びの振り返りと課題確認ができました。
ところで全学教研の出発は、2010年9月の「湘南学園幼小中高第1回ミニ教研」に遡ります。その「報告」によりますと、参加者は、幼稚園、小学校、中高、学園長、事務局長および保護者を合わせた36名と記録されています。そこで注目したいのは、参加された保護者の方から「ありがたい。こういうことを背景にして行われていたのか」「先生たちがこんなに一生懸命にとりくんでいてくれたことがわかってうれしかった」「横浜から自然豊かなところで教育を受けさせたいと思ってこの学園に入れたが、この学園を選んで良かった」などの感想が述べられたことです。
こうした保護者の皆様からの感想は、いま行われている湘南学園教育の「背景」を分科会の参加を通じて確認することができ、率直な意見交換がなされ、それまで疑問に思われたことが一つひとつ理解ないしは納得することにつながったのではないでしょうか。
来年度は、教職員、生徒・児童に加えて、保護者の皆様の参加のあり方も考えていきたいものです。