第1350回 鵠沼、秋の文化展覧会

2017年10月13日

~鵠沼郷土資料展示室より~

 夏の名残の暑さも遠のき、秋本番を思わせる季節の到来となりました。
 ここ鵠沼・松が岡界隈の曲がりくねった通りを散歩していますと、それぞれのお庭から秋の草花が目を楽しませてくれますし、学園内の小さく可憐な草花も秋を告げています。また日が暮れますと秋の虫たちの音が私たちの耳を優しく包んでくれる、何とも安らぐ初秋の頃です。

 さて、ここで鵠沼郷土資料展示室より、「第39回 写真に見る鵠沼南部の変遷」(展示期間:2017年10月1日~2018年2月15日、10:00~16:00、月曜・年末年始休館、問い合わせ:0466-33-2001)と題した企画展をご紹介しましょう。湘南学園のOBである、内藤さんにご説明いただきました。
 
 この企画は、定点から新旧を比較して、鵠沼南部の景観の変遷を展示したものです。その構成は3つによって成り立っています。

 ①景観の定点観測(調査・資料協力:建築家 前田忠厚氏撮影)
 ②記録として残したい景観の写真(旧鵠沼書店店主 故 福地誠一氏撮影)
 ③半纏(はんてん)物語(半纏が語る風習)
 
 なかでも興味をそそられたのは、③の半纏です。鵠沼郷土展示資料室の上段には、所狭しと半纏が展示してありました。それは、「鵠沼の別荘の仕着せ半纏」というものです。

 鵠沼が別荘地として開発が始まったのが明治の頃であり、当初、「松の植樹、別荘番の定住を条件に分譲、賃貸された土地は大変広く、主に京浜地区の富豪が進出した」(「鵠沼郷土資料展示室だより第39号」)といいます。内藤さんの説明では、その土地の区画は3000坪が基準であったとのことで、大変驚きました。その別荘を管理する別荘番は、都会での大店の風習を取り入れて、出入りする職人や仕事師(土木労働者)に、「仕着せ半纏」を着せ、別荘番に出入りを管理させたとのことでした。この「仕着せ半纏」は、そのデザイン性といい、なかなか粋でいなせな感じが伝わってくるものでした。これも「鵠沼別荘文化」の1つといえるでしょう。
 
 ①②の写真は関東大震災から最近にいたる鵠沼南部をテーマにした映像資料としての価値があることはいうまでもないことですが、この写真からいまの風景にいたる経緯を想像させる魅力もあります。
 
 来る10月21日(土)には、すでに本学園HP等でのお知らせの通り、「第3回湘南学園中学校高等学校学校説明会」が予定されています。是非のお越しを心からお待ちしています。なお学校説明会に参加されたお帰りに、「鵠沼郷土資料展示室」を訪ねられ、この企画展を楽しんでいただくことをお勧めします。

 歴史ある鵠沼海岸駅商店街でショッピングをされるのも良いでしょう。個性豊かで多彩な業種のお店があちこちに点在しているのも鵠沼の魅力の1つといえます。もうすこし足を延ばせば、鵠沼海岸に辿り着き、そこから相模湾を左手に、正面に富士山と箱根連山が、左に伊豆半島の遠景、右手には丹沢連山が織り成す山並を楽しむこともできます。秋の一日を鵠沼周辺の散策を通じて、とっておきのスポットをお探しください。