イングランドセミナー 6日目

2013年4月1日

 数日前の週間天気予報では、バース市内観光で1日中外に出る29日(金)の天気予報は、雨だったのですが、実際には、時折太陽も出る雨が1滴も降らない1日となりました。(湘南学園の皆さん、ラッキーでしたね!)朝、続々とホストファミリーの車に乗せてもらって生徒達が登校して来ましたが、今日からセントジェームズ校は、約2週間の春休みに入ったため、学校は駐車場へ入る門も含めて完全にロックされていました。
 
 日本の学校では、長期休暇中でも、講習があったりクラブ活動があったりして、中高生にもなると、なかなか家族と一緒に旅行に出かけたりしてゆっくりと過ごすことが出来なくなってしまいます。そのあたりの時間の使い方が、ここイギリスと日本とでは大きく違うようです。土曜日・日曜日は、言うまでもなく学校は完全に休みとなり、長期休暇中も完全オフです。日本人生徒が放課後に通う塾や予備校という存在もありません。しかし、世界の大学ランキングには、オックスフォード大学やケンブリッジ大学は、常に上位5本指に入るのに対して、日本ナンバーワンの東京大学は、30位台~40位台の間をうろうろとしています。超難関私学である早稲田や慶応にいたっては、200位前後です。さて、これらの差はどこから生まれて来るのでしょうか?
 
 これには、様々な理由があると思いますが、日本人は、もっともっと世界を見て、大いに見聞を広めて行かなければならないと痛感しています。イングランドセミナーに参加してくれた生徒達は、恐らく、イギリスを目の当たりにして見ることによって、いろいろなことを感じたと思います。日本に帰ってからも、ここで得たものを是非、友人や教師、御両親や知り合いにどんどん伝えて行ってもらえたらと期待しています。
 
 さて、今日は大きく生徒達の見聞を広めるために、世界の歴史都市バースへと向かいました。エクセター市内は、まるで自分が絵葉書の中にいるかのように、とてもきれいな赤煉瓦の建物で街が作られていました。しかし、バース市に入ると景色は一転して、薄い黄色の建物で街全体が白っぽく彩られていたのです。これらの建造物は、コッツウォード地方の石で出来ていました。イギリスは景観をとても大切にする国で、電信柱もなく、古い建物がきれいな形でいつまでも残されています。ここバースでは、昔ならではの白っぽい大変美しい景観が、今でも私達の目に飛び込んで来るのです。
 
 同じ島国でありながら、日本には、鎌倉時代に中国から元が博多に2度襲来したことと、第2次世界大戦での連合国との戦争を除いては、日本は外国の軍隊からの侵略を受けた歴史を持ちません。しかしながら、イギリスは、遠い昔から、ローマ、サクソン、アングロ、ケルト、バイキング、ノルマンなどなど、様々な民族からの侵略を受けながら国を形成して来ました。言語についても、1066年(うる覚えなので?)のノルマンコンクェスト以来、約300年間に渡って、公用語がフランス語になったことにもその特徴が表れているように、英語は様々な言語の影響を受けて構成されて来ました。バースの温泉は、その当時のイギリス人によって見つけられたのではなく、古代ローマ帝国の2度に渡るブリテン島攻略の折りにに、ここバースで温泉が沸くことが発見されたのです。そして、ローマ人によって、この街に巨大な温泉娯楽施設が建設されました。あのジュリアス・シーザーもここブリテン島に足を踏み入れ、実際にバースにもやって来たのです。
 
 僕達は、まず、Punp Water と呼ばれる所で、バースにわき出る温泉水を飲んでみました。濃厚なミネラル分が含まれているようなここでの水は、大変健康にいいとのことですが、どうも生徒達の口にはあまり合わなかったようです。そこを出て、いよいよ古代ローマの大衆浴場後を見学しました。この浴場博物館の入り口には、日本語を話せる若い女性の係員の方がいました。長野県で英会話スクールの講師をされていたとのことで、日本が大好きで、必ず日本に戻って来るとのお話を伺いました。そして、その際には、是非、湘南学園を訪れて、今日イングランドセミナーで出会った生徒達と交流したり、英語を教えたりしてみたいとのことでした。生徒の皆さん、彼女の再来日を楽しみに待っていましょう!
 
 温泉博物館内は、見事に大衆浴場を発掘し、その一部を再現していました。そして、その再現されたもの一つ一つについてとても詳しく理解出来るように、日本語の説明が聞けるトランシーバーのような形をしたガイド械が生徒一人一人に渡されました。ほとんどの生徒達が、この機械を通じて、説明に耳を傾けてくれました。そして、中には、大変興味を持ってくれた生徒も複数いました。車や列車といった動力を持った輸送機関や、クレーンなどの大型の建設機材がない古代ローマ時代に、これだけの巨大施設をどのようにして建設したのか? それを考えるだけでも、僕にとっては、ここバースの大衆浴場はきわめて神秘的なものでした。また、必ずといっていいくらい、歴史的な建造物には、目を見張るほどの彫刻による芸術作品が伴っています。ここバースでも、古代ローマのシーザーやハドリアヌスなどの皇帝達の彫像やきめ細かい彫刻作品が建造物と一体となって残されています。京都や奈良などで見られる歴史的建造物も大変素晴らしいものですが、ここイギリスにおいても、それよりもはるか昔に作られた様々な歴史遺産が、国中で見ることが出来ます。その歴史と芸術の重みは、ずっしりと見るものの心に突き刺さります。
 
 バースでは、お昼ご飯も含めて、2時間の自由時間をとりました。イギリスに来たからには、フィッシュ&チップスを食べに行ったり、ショッピングを楽しんだり、街の景観を眺めにぶらぶらを散歩したりしながら、みんな楽しい一時を過ごせたようです。帰りのバスの中
では、ホストファミリーの話やセントジェームズ生の話などでずいぶんと盛り上がっていたようで、大声での楽しそうな笑い声が絶え間なく続いていました。
 
 さて、この研修もいよいよ終盤へと差し掛かりました。明日から生徒達は、まるまる2日間ホストファミリーと一緒に過ごします。どんな週末を送ることになるのか楽しみですね! それでは、皆さん、Please have a good weekend!