イングランドセミナー 9日目
昨日のイングランドセミナー8日目は、生徒達はみな、まる1日をホストファミリーと一緒に過ごしました。
僕達引率教員は、イギリスののんびりとした時間の流れの中で、それぞれに満喫した時間を送りました。僕は、宿泊しているB&B(Bed and Breakfast)で『学びブログ』を書いたり、エクセターの街の博物館(拝観は無料です)に行ったりしました。圓谷教諭は、なかなかアクティブで、電車に乗ってエクセターを離れ、イギリス1日一人旅を楽しんだようです。昨年は、マグナカルタ(大憲章)がみれるソールズベリーに行き、今年は、タイタニック号がアメリカに向けて出航したサザンプトンまで足を伸ばし、サッカーの吉田選手が活躍するクラブチームのサッカースタジアムを見て来たそうです。イギリスは、本当に歴史ある国ですよね。
さて、本日9日目は、いよいよ湘南学園一行は、慣れ親しんだエクセターの街に別れを告げなければならない日となりました。生徒達はみな、朝の7時30分にホストファミリーに送られてバスの駐車場にやって来ました。そのお別れの直前に、ホストファミリーへのお礼の手紙を渡して、一緒に目に大きな大きな涙を浮かべて、数十秒間じっとホストマザーを抱き合っている生徒も複数いました。EFLでお世話になったアンドリュー先生やジル先生へのお手紙や寄せ書きを渡して、最後にリョウガくんがみんなを代表して、英語でお別れの挨拶をして、僕達はバスに乗り込みました。「さよならエクセター。でも必ず僕達はいつの日にかここに戻ってくるよ!」そんな思いを胸に秘めて、僕達はロンドンに向けて出発しました。
ロンドンには、残念ながら予定よりも到着が1時間遅れ、急ぎ足での観光となりました。でも、バスの窓から目に映る風景は、まさに歴史都市『ロンドン』で、バースと同様に絵葉書の中にいるようでした。バッキンガム宮殿・ウェストミンスター寺院・イギリス国会議事堂・ビックベン・トラファルガー広場・拝観料無料のナショナルギャラリー・ロンドンの2階建てバス・ロンドンタクシー・イギリス王室を護衛する騎馬兵・ロンドン塔など、どれをとっても、ズシンとしたヨーロッパの深い歴史を感じさせるものばかりがロンドンにはあります。生徒の皆さん、また是非、何度となくロンドンを訪れてみて下さい。ロンドンは、1週間やそこら滞在しても、その魅力をすべて満喫することは出来ない程魅力ある街だと言われています。
ここで少し余談ですが、イギリスの税金についての興味深い話を伺いましたので、紹介させて戴きます。日本では、2014年4月1日より消費税が8%に上がりました。「8%に上がったとしても、日本の消費税は、ヨーロッパのそれと比較するとまだまだ税率が低い」という話をよく耳にしましたが、その話にはいささか語弊があるということを知りました。イギリスの消費税は、一般市民が日常生活で必須とされる食料品などや子ども達が学ぶために購入する文房具や本などには、1%もかかっていないそうです。税金がかかるのは、贅沢品とされる商品やレストランなどでの外食での食事に対してなのだそうです。「ヨーロッパの税率が高い」というのは、確かにこうした贅沢品についてはそう言えますが、総じてみると、すべての商品に8%の税金をかけてしまった日本の方が恐らく税率は高いのではないかという話を聞きました。イギリスが日本と大きく違う点としては、ごく一部のパブリックスクールなどの私立校を除いては、高等学校まで学費が無料ということや、病院に行っても診察費が1ポンドもかからないということです。こうした事は、税金のあり方やその使われ方をしっかりと国民が監視して、政治に一般の人々が深い関心を持ち、主権者として政治に関わっていることを表す事実の1つではないかと思います。民主主義の成熟度が、やはりヨーロッパの国々と日本も含めたアジアの国々とでは、大きな差があるように思えました。
ただ一方で、少々ショッキングなお話も伺いました。イギリスでは医療費が無料であることを理由に、ヨーロッパの妊娠中絶を認めていないカトリックの国から、無料で中絶手術を受けることを目的にイギリスに移民して来る人々が増えているということなんです。う~ん、これも考えものですね。
いずれにしても、『百聞は一見に如かず』と言いますが、テレビやネットなどを通じた情報だけではなく、実際に自分の足で外国を訪れ、自分の耳で現地の人々の話を聞き、自分の目で様々な事実を見て、自分の体で自分とは異なる生活を送る人々と接することが必要なんだと切に感じます。今回、イングランドセミナーに参加した生徒達も、いろいろなことを自らの体で吸収してくれたことと思います。ヒースロー空港の羽田空港行きのJAL402便の搭乗口で、「日本に帰りたくないよォ~! イギリスにまだまだいたいよォー!」と口にしながら本当に悲しそうな 涙を流している湘南学園生達を目にしました。このセミナーが、参加した生徒達にとって、何らかの生きる糧となってくれたことを期待しています。
子ども達よ! 是非、もっともっと世界に羽ばたいて下さいね! そして、君達が、大人になった時、君達の御両親が君達にしてくれたように、自分達の子どもにも是非、世界に羽ばたく機会を与えられるような実力ある人間へと成長して下さい。そして、今回、こうしてイングランドセミナーに気持ちよく行かせてくれた御両親に感謝することを決して忘れずに! Good luck!