イングランドセミナー 5日目
今日は土曜日。普段は多くの車が行き交う町中の道路は、すっかりと休日モードに入り、小鳥の声がさえずるとても閑静なすがすがしい朝を迎えました。湘南学園中高イングランドセミナーも今日でなか日を迎え、生徒達が楽しみにしていた世界の歴史都市バース観光へと向かいます。
今朝も元気に登校して来た学園生達は、チャーターしてもらったバスに乗り込み、一路バースに向けて出発しました。バスの車窓の外に流れるイギリスの田園風景は、とても美しいもので、高い山々のないこの国の国土は、地平線までずっとずっと黄緑色の平野や小高い丘が続きます。その光景の中には、世界史の教科書にも出てくる歴史用語である「エンクロージャー(囲い込み)」を実感させてくれるように、羊さん達が、平和そうにポツンポツンと草原の中に現れます。
ロンドンヒースロー空港に近づく飛行機の窓から目に写ったロンドン市街の様子は、きれいな赤レンガの建物が建ち並ぶ街並みでした。僕達が研修をしているデボン州の州都であるエクセターの街も、赤いレンガ作りのかわいらしい家が建ち並ぶまさに Very English な所です。しかし、バースの街は、その風景が一転します。赤レンガの建物はほとんど見あたらず、辺り一面に白い石で出来た建造物が建ち並びます。ナショナルトラスト運動の発祥地であるイギリスは、景観保護を強く押し進めている国だけあった、こうした昔ながらの景観を21世紀の今となってもずっとずっと守り続けています。イギリスの家は、建てたばかりのピカピカの新築の家よりも、中古の家の中をリフォームした物件の方が、値段が高いというのは、こうしたイギリス人達の伝統ある街並みを守ろうとする意識の現れなのではないでしょうか。
ここブリテン島を征服した古代ローマ人達は、バースの地で温泉がわき出るのを発見し、ここに公共大浴場を建設しました。この大浴場 には、裕福なローマ人達が集い、重要な社交場として、娯楽だけでなくビジネスの商談なども行われていたそうです。また、温泉からわき出るミネラルをたくさん含んだ水は、当時の薬としても役割を果たしたようです。学園生達は、まず、この温泉水を飲みに行きました。なま暖かいこの水は、あまりおいしいものではありませんでしたが、ミネラル分がたくさん含まれていることはとても実感出来ました。
ローマ公共浴場後に建てられた博物館では、日本語ガイドが流れる音声機を各々借りて、博物館内を見学しました。途中で、古代ローマ人の格好をした方々に会い、そこで記念撮影をしたりして、見学を楽しんでいました。しかし…..。学園生の一人が、なんとなんと、写真を撮ろうとし た時に、うっかりと手をすべらして、スマートフォンを公共浴場の水の中に「ポチャン!」と落としてしまったのです。「オーマイゴット!」博物館の係員の方が、必死にそれを水の中から拾い上げようと努力してくれましたが、その努力は報われず、彼のスマートフォンは、古代ローマの公共浴場の温泉の中で、気持ち良さそうに入浴したままとなってしまいました。ありゃりゃりゃ。しかし、このスマートフォン君にとっては、ずっとずっと温泉につかってのんびりと余生を送ることが出来るんだと思ってあげられるんですよね。幸い、現代の科学技術はすごいもので、浴場の中に落としてしまったスマートフォンのデータは、バックアップされているとのことでした。
見学開始からおよそ1時間、ほとんどの学園生達が、見学を終えて出口に戻って来ましたが、タカラとケンヤは、じっくりとこの歴史のタイムスリップを楽しんでいたようで、最後の最後まで、博物館から出て来ませんでした。これには、ジル先生も大変感心されており、熱心に学ぶ二人を誉めてくださいました。
博物館での見学を終えて、生徒達は、2時間半のバースの町中でのフリータイムに入りました。待ってましたとばかりに、子ども達は町中に繰り出し、ショッピングや外食を楽しんでいたようです。集合時間になると、手にいっぱいお土産を抱えた笑顔の生徒達が戻って来ました。皆さん、それぞれにバース観光を楽しんでもらえたようです。
明日は、ホストファミリーとまる1日を過ごします。「お好み焼きを作ることになったんだよ!」「海岸へ行ってラグビーをするみたい!」「まだ予定が分からないけど、英語で『明日何をするんですか?』って今夜聞いてみますね!」「明日もショッピングに行きたいな!」などなど予定はいろいろなようですが、それぞれの1日を楽しんでもらえればと思います。また、休日なので、1つ家のお手伝いでもして欲しいなと期待しています。