中学2年英語 「英語で英語を教えるには?」

2017年2月24日

 いきなりですが、みなさんは英語をどのように教わったか覚えていらっしゃるでしょうか?中学・高校生のお子さんをお持ちの保護者の方ならば「文法を教わった上で教科書を日本語に訳しながら読んでいく」という教わり方をした方が多いのではないでしょうか?もちろん、文法を教えることや、教科書の内容を細かく読み込んでいくことは21世紀の英語教育でも重要なことです。ただ、文部科学省は2013年の時点で「2018年から中学校でも英語の授業を英語で行うことを目指し、2020年からは完全実施とする。」ということを打ち出しています。湘南学園の英語教育でも、従来の教え方を大切にしながら、部分的に「英語を英語で教える」という試みをしています。今回ご紹介するのは中学2年生で扱った内容についてです。

 

単現名:Let’s Read 2

タイトル:Landmines and Aki Ra(地雷とアキ・ラー)

目的:中学2年生までで学習した文法事項が使われた文章を読み込む

   戦争を経験したアキ・ラーさんの話から平和について考える

 

 

英語の教科書:New Crown English Series 2

 

 この単元は、悲惨なカンボジア内戦で少年兵として戦うことを強制されたアキ・ラーさんが戦後、カンボジアの人々のために地雷除去に取り組むという話です。日本人には地雷の危険性は今ひとつピンとこないところがあります。授業担当者としてはぜひ、生徒全員に地雷の恐ろしさと非人道性を知ってもらいたいところです。さらに、この説明を英語でしたいところです!「えー!難しすぎないですか?」という声もあるかと思いますが、ここが英語教員の腕の見せ所です。イラストを駆使しながら英語で説明していきます。

 

   Let’s imagine.

You are with your friend.

You are talking with your friend. 

想像してみて下さい。あなたは友達と一緒にいます。

友達とおしゃべりしています。

   But your friend hit a landmine.

And the landmine exploded. 

しかし、友達が地雷を踏んでしまいました。

地雷が爆発します。

    Your friend was hurt.

You see a lot of blood. 

友達は負傷してしまいました。

たくさんの血が見て取れます。

    Your friend need your help.

Your friend says “Help me!” 

あなたの友達は助けが必要です。

「助けて」とあなたに伝えてきます。

   You really want to help your friend.

But you can’t help your friend.

Because landmines are all around. 

あなたは友達を助けたいと本当に思います。

でも助けることができません。

あたり一面に地雷があるからです。

   Your friend is dying.

But you only watch your friend dying. 

友達は死にかけています。

しかし、あなたは死にかけている友達をただ見ていることしかできません。

   If you are in such situation, how do you feel? 

もしあなたがこのような状況にいたらどのように感じますか?

  Student A: Sad.

Student B: I feel sorry.

Student C: 絶望・無力感

Teacher: Hopeless and helpless in English. 

生徒A:哀しい

生徒B:とてもかわいそうに思う。

生徒C:絶望・無力感

教員:英語ではhopeless, helplessですね。

 

英語も極力すでに習った表現を使いつつ、イラストを駆使して地雷の怖さを伝えることができたとおもいます。それ以外にも、プロジェクターを使用して、イラストをホワイトボードに写しながら解説を進めて行きました。

 

 

左:少年兵の写真 右:太平洋戦争の沖縄戦で捕虜となった少年兵

 

アキ・ラーさん:生年が1973年頃となっているのは幼くして父母と死別したため

 

 この単元を扱った時間は合計4時間でしたが、生徒たちは教員の提示する写真・疑問や現実に真摯に向き合っていました。湘南学園が目指す「持続可能な社会の担い手を育む教育」には当然のことですが平和教育が含まれています。平和について考えることは授業時間だけの一過性のものではなく、日常において地雷や戦争のない世界を実現するために私たちに何が出来るのか考え続けていくことこそが私たち全員に求められていることではないでしょうか。