吹奏楽部より定期演奏会のお知らせ
3月も終わりに差し掛かり、生徒たちは今年度の振り返りをしつつ、来年度に向けた準備を着々と進めています。吹奏楽部は3月30日(木)に第29回定期演奏会を迎えます。2016年度は夏の吹奏楽コンクールで18年ぶりに県大会に出場するなど、実り多い飛躍の年でした。生徒たちはこの一年の「集大成」としてこの定期演奏会に向け練習に取り組んでいます。23日からは定期演奏会に向け5日間の合宿を山梨県の河口湖で行い、最終調整を行います。一人でも多くのみなさまに参加していただけると幸いです。
この場をお借りして、演奏する予定の楽曲の一部について解説させていただきたいと思います。
レインゴリト・グリエール作曲 バレエ《青銅の騎士》より
Рейнгольд Глієр из <<Медный всадник>>
この曲は2016年度湘南学園吹奏楽部の快進撃を思い起こさせる名曲です。この曲に出てくる青銅の騎士とはロシア第二の都市サンクトペテルブルクの河畔にたたずむピョートル大帝の銅像のことです。この銅像はサンクトペテルブルクの人に親しまれているようで、日本で言うなら上野の西郷さんといったところでしょうか。この銅像をモチーフにロシアの文豪プーシキンが詞を書き、その詞に構想を得たグリエールがバレエ音楽を作曲しました。堂々とした響きと、優美でメランコリックな旋律をお楽しみください。
樽屋雅徳作曲 《斐伊川に流るるクシナダ姫の涙》
この曲は日本の古典「古事記」上巻に記されている出雲神話「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)退治」の話に着想を得ています。話の概略を記すと、神々の暮らす髙天原(たかあまのはら)を追放された素戔嗚尊(スサノオノミコト)は美しい娘のいる老夫婦に出会います。老夫婦曰く、彼らには8人の娘がいたが、毎年現れる八岐大蛇に一人ずつ食べられてしまった。このままだと今年は残されたクシナダ姫が食べられてしまう。それを聞いた素戔嗚尊はクシナダ姫との結婚を条件に八岐大蛇の退治を請け負い、計略を巡らして八岐大蛇を退治するという話です。この曲の聞き所はなんと言っても美しいメロディーラインです。川の流れるごとく涙の流れるごとく、時に優美に時にもの悲しく奏でられる演奏を是非お聞き下さい。
カミーユ・サン=サーンス作曲 オペラ《サムソンとデリラ》よりバッカナール
Camille Saint-Saëns l’Opera <<Samson et Delilha>> Bacchanale
サン=サーンスはまれに見る天才で、今日では作曲家として人々の記憶にとどまっていますが、作曲のみならずオルガン奏者・作家・詩人・天文学者・教育者としての功績を残しました。オペラという総合芸術は天才サン=サーンスにとって最もやりがいのあった仕事だったことでしょう。今回演奏する曲目は旧約聖書の士師記に登場する怪力の持ち主サムソンと彼を誘惑し破滅に導く女性デリラのエピソードに基づいています。今回演奏するバッカナールはオペラの第3幕第2場で演奏される異教の神殿での踊りです。力強いリズムで進行するエキゾチックな音楽をお楽しみ下さい。