カナダセミナー第3日目

2018年7月25日

日本文化の継承と発信

~カナダに咲き誇った日本からの贈り物~

 

カナダセミナー第3日目は、今回のカナダセミナーのプログラムの中でも、最も重要な位置づけにある一日と言えます。午後には、いよいよカナダセミナーで初めての試みとなる老人ホームへの表敬訪問が行われるからです。
 
ホームステイ先での生活にもすっかり慣れた様子で登校して来た生徒たちは、午前中の前半に“カナダ 101”と題されたレッスンを受け、後半は老人ホームへの表敬訪問に向けたリハーサルを行なうことになりました。

カナダ101のレッスンは、明日のバンフへの観光に向けての事前学習の意味も含まれていて、カナダで特徴的な動物やスポーツ、文化的な風習や会話表現などを学習します。
 
例えばカナダの大草原で見られるバッファローなどの動物たちの紹介は、それぞれの動物たちの鳴き声などの映像を交えて説明がなされました。また日本では“もぐもぐタイム”でお馴染みになったカーリングやホッケー、ラクロスなどはカナダの国民的なスポーツで、生徒たちも大変興味深く説明を受けていました。
 
カナダ人は日本人と同じように大変親切で礼儀正しいため、何も間違ったことをしていなくても、“Sorry”、“Please”、“Thank you”などの表現を度々使うことがあるそうです。また人によっては、How are you?”の略語を意味する“Howdy!(ハウディー)”や、頑張れよを意味する“Git‘er done!(ギターダン)などの表現を使うこともしばしばあるそうです。
 
午前中後半の授業は、いよいよ老人ホームの訪問に向けてのリハーサルです。生徒たちは日本から持ち寄ったけん玉やコマ、色とりどりの折り紙やあやとりなどの道具をテーブルに広げ始めましたが、まずは合唱のための練習が肝心です。ここは一端、ローラ先生とテラ先生の手から引率教員の手に託されました。今回の老人ホームの訪問に際しては、プログラム企画のコーディネーター側から、伝統的な日本の遊び道具や絵本などを持ち寄り、紹介して欲しいとの依頼がありました。学園側からはそれに加えて、是非歌を披露させて頂きたいと参加者に投げかけ、再度打診したところ、心よく承諾して頂くこととなりました。セミナー参加者に選曲を委ねたところ、二曲のうち一曲は英語の歌を、そしてもう一曲は日本の歌を歌いたいとの提案があり、“Country Road”と“花は咲く”を披露することが、訪問直前の約二週間前に急きょ決まりました。
 
「完璧でなくてもいい。心を込めて歌って欲しい。」との教員の呼びかけに生徒たちは素直に応えてくれて、セミナー開始後の数回の練習で合唱の形にまでこぎつけることになりました。
 
合唱の練習後は、日本から持ち寄った遊具を中心とする伝統文化の紹介をグループに分かれて、アシスタントの高校生たちと共に練習しました。互いが中高生どうしということもあり、けん玉やコマの練習では思いのほか盛り上がりをみせ、ここでも既に日本とカナダの若者どうしの親睦が始まっています。アシスタントの六人の高校生たちは、練習を共に行いながらも老人ホームで想定される質問事項の会話練習をとても熱心に行ってくれました。昼食後、私たちは現地の高校からバスで30分程の所にある老人ホームを訪れることになりました。残念ながら老人ホーム内での様子は撮影が堅く禁止されているためにホームページでの掲載はできませんが、大成功に終わったことをご報告させて頂きます。
 
今回訪れた老人ホームは入居者が約百数十名という施設でありましたが、当日は20名〜30名程の施設内の方々が、我々との交流の場に足を運んで下さいました。数カ所のテーブルに分かれ、折り紙、あやとり、けん玉などを中心とする日本の伝統的な遊びの紹介から始まった交流は、生徒たちの慣れない緊張感もあり、初めのうちはいささか硬さが見られていました。40、50分経過したところで、おやつ休憩の時間が入るとのことでしたので、その前に合唱を披露することに決めました。合唱曲の披露が始まった瞬間、施設内の空気が一変したことを、今でも強く感じることができるのです。
 
軽快な曲である“Country Road”が始まると、一緒に口ずさまれる方、リズムにのって下さる方、そして何より先ほどの表情とは異なり、笑顔がこちらに返ってくる様子がひしひしと伝わってくるのです。

二曲目の“花は咲く(Flower will bloom.)”の前には、次のようなご説明を致しました。
 
This song was made after a big earthquake in Japan in 2011.

Seven years ago, there was a terrible earthquake in Japan and more than

10 thousand people died.  Still now there are mamy people who have physically

and mentally injured and damaged by the earthquake and tsunami.

And this year,  a few weeks ago, a terrible heavy rain happened in the west area

of Japan and more than 200 people died.  We have to pray to God for them

after singing.  This song will give us courage in order to live our lives hopefully

and happily.  We hope people all around the world will spend their lives healthily

and happily forever.
 
2曲目の披露が終わると、生徒たちへの大変温かな拍手と同時に、涙ぐまれるご老人の方々もいられました。その後は多くの施設内の方々が「とても美しい曲をありがとう。」、「また是非いらして下さることを楽しみにしています。」とたくさんの声をかけて下さいました。ご老人の方々の所に近づく度に、温かい握手を求められたことは、今でも忘れません。
湘南学園のカナダセミナー参加者たちが、今まさに日本とカナダの親善大使になった瞬間でありました。カナダセミナー参加者の皆さん、本当に有り難うございました。教員として、そしてグローバル教員の一員として、この場に携われたことを心から誇りに思います。
 
明日は皆さんお待ちかねの、バンフ国立公園への観光です!