湘南学園ESDとは

【湘南学園ESDの概説】
ESD(Education for Sustainable Development)は、「持続可能な開発のための教育」と訳されます。これは、私たちとまだ生まれていない私たちの子孫も含めて、すべての生き物の生存を困難にするような問題について考え、立ち向かい解決するための学びです。

今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。

文科省HP ESD(Education for Sustainable Development)より)

湘南学園では、「持続可能な社会の創り手」を育てることにつながるすべての教育活動を「湘南学園ESD」として位置づけています。



この「湘南学園ESD」の軸として位置付けられているのが「総合学習」です。中高6ヵ年の発達段階を考慮したした様々なテーマを設定し、広く人間の生き方やものの見方・考え方、様々な文化に出会うことを通じて、生徒諸君の認識と行動を豊かにしていくことを目指す「人格形成のためのカリキュラム」です。

中1の総合学習では、「人が生まれ存在していることのかけがえのなさ」について学んでいきます。「ひとり一人にはみんな個性=違いがあって、なんらかのハンディキャップをもっていたとしても、みな、自分と同じように様々な願いをもち、苦労や努力をしながら生きているんだ」という認識を育てていきます。中2では、自分の生きる場としての『地域』を守り育てるために、人々がどのような努力や工夫をしているのかに触れ、体験を通じて「協力・協働する」ことの意味…つまり口ゲンカや対立もあっていいこと、互いの持ち味を大事にすることで、様々な困難も乗り越えていけることを学んでいきます。中3では、人々が大切にされる「持続可能なローカル」の創造に取り組む方々との出会いを通じて、自分とは異なる地域に住む人たちのものの見方や、考え方に触れ、「持続可能な未来」について考える土台を育てていきます。

高校は、社会の諸課題を本格的に学ぶ場となります。
高1では、国連が掲げるSDGsなどを切り口に、“個人の尊厳”や“生物多様性・“地球環境”などにフォーカスしたテーマを設定し、「解決への糸口」を共に考えあえる関係を、学年の中で育んでいきます。高2では高1までに培った現代社会に対する問題意識をもとに、それらを「解決する力」を養う、つまり「現代社会の中で、人間らしく生きていくための主体性」を育むことを目標とします。
高3では、社会を支えている人々の生き方に学ぶ機会を設け、「持続可能な未来をつくる主体者として、自分はどう社会に参加していくのか」をじっくりと考えていきます。



【湘南学園ESDの目的】
本校では、校内・校外における様々な学びを総合的にとらえる「湘南学園ESD」の理念のもと教育活動を展開しています。日常の全ての出来事が「学び」であるという視点に立ち、それらの学びをつなげ、発展させていくことで、社会の中で主体者として考えて歩んでいく力を養います。

そのなかで、ロータリークラブやNPO等の外部機関や、卒業生・保護者・地域の方々、他のユネスコスクール(海外も含む)等との広範で強固な協力関係を築くことで、「開かれた学び」の実現とともに、湘南学園の目指すESDのさらなる強化・発展を志向しています。

 また、グローバル化が進展するなかで、「グローバル市民」「良き市民」となるために必要な認識や行動を育てることを目指しています。

具体的には、「様々な問題について自分で発見・理解し、適切に行動できる能力や態度」「多様性を認めて、他者と共に高めあっていく能力や態度」「国際的に活躍できる能力や態度」等を生徒が身につけられるようにしていきます。

「大学に入りさえすれば、後はどうにかなる」という時代はとうに過ぎ、今、若者たちは“先が見えない”不安な時代に生きている…そのような中で、一人一人が自分らしく生きていくためには、社会の真実を求めて探究し、時には「正解のない問い」にも挑み、解決しようと努力する力を育まねばなりません。このような力を身につける基盤づくりを中高の時期にせねばならない…それが「湘南学園ESD」の使命であると考えています。

学年 総合学習のねらい
中学1年

自分と他者、どちらも同じようにかけがえのない存在であるという認識を育てる。

中学2年

人々が協力・協働していくためには、対立や意見の違いがあっても、それを乗り越える努力と工夫が必要であるという認識を育てる。

中学3年

自分と他者との違いに気づき、対立を恐れずに話し合ったり、その違いを尊重しあえる気風が大切であるという認識を育てる。

高校1年

自分と社会との関わりを考えながら、真偽を訳へ立つ判断力を身につけるべく、生徒自身が学びの主体者となることを目指す。

高校2年

地球規模の諸課題にも目を向けながら、異なる文化や生き方を尊重し、諸民族が相互に助けあうことの必要性を理解する。

高校3年

社会を支えている人々の生き方に学びつつ、自分が望む未来について考え、広く社会に寄与できる人間性を培う。


【ユネスコスクールに加盟】
2013年秋、湘南学園は、創立80周年の節目を迎えました。私たちは、これまでの歴史と伝統を育んだ「建学の精神」が、ユネスコ憲章の理念とも合致していると考え、ユネスコスクール加盟校となりました。

ユネスコスクールは、1953年、ASPnet(Associated School Project Network)として、ユネスコ憲章…すなわち “ 戦争は、人の心の中で生まれるものだから、人の心の中に平和の砦を築かねばならない ” …という理念を、学校現場で実践していくための共同体として発足しました。現在、世界181カ国でやく10,000校が加盟して活動しています。

本校も、このグローバルなネットワークの中で、世界各地の学校と交流し、生徒間・教師間で情報や学びを分かち合いながら、地球規模の諸課題にも立ち向かえる、力量ある若者を育てていきたいと願っています。