第682回 中学生の心に届けて励ます歌(2)
昨日のつづきです。2013Nコンの中学課題曲、『友~旅立ちの時』の歌詞は、“ゆず”らしく温かく励ましに満ちています。
歌の始まりは次のような問いかけです。
・・・・・・♪友 今君が見上げる空は どんな色に見えていますか?
友 僕たちに出来ることは 限りあるかも知れないけれど・・・・・・
そして歌の最後は次のようなメッセージです。
・・・・・・♪友 僕たちが見上げる空は どこまでも続き 輝いている
同じ空の下 どこかで僕たちは いつも繋がっている
「見上げる空」が歌のキーワードになっています。中学生の迷う気持ち、悩める気持ちに語りかけます。そして葛藤や困難もあるけど、前に進むんだと踏み出し、何かを信じて希望を持とうと見上げる場面でしめくくられます。
空を見た時にみんなとつながっている感じ、同じ空の下で生きているんだと確認する気持ちが印象的です。「空」は自分と誰かをつなげる存在、つながっていると感じさせる存在なのです。仲間と心ひとつに歌うことで体感してくれればと期待されているのです。
岩沢氏は「思いきり聴かせてほしい。堂々と、我が校の歌を聴いて下さい!という強い気持ちで歌ってほしいです」と語り、北川氏は「この曲をどう捉えてどう歌うかはそれぞれの学校の自由だし、歌いこんでいく中で見つけるものがいっぱいあり、歌うたびに一歩ずつ前に進めるように歌ってほしいです」と語っていました。
この課題曲は、昨年がYUIの『fight(ファイト)』、その前がflumpoolの『証(あかし)』でした。いずれも中学生をめぐる現実に思いをはせ、その苦しみや悩みに寄り添ってメッセージを届けるコンセプトが共通しています。東日本大震災の経験もそこには投影されています。いずれも優しく素適なメロディーが印象深く、筆者も良く口ずさみます。さらに本格的な合唱曲は自由曲でトライできるので、この課題曲でコーラスに挑戦する中学校が増えて欲しいとの願いが理解されます。
つらい気持ちの続く中学生がこの歌に出会い、前向きに受けとめて元気を回復する小さなきっかけになればと思われました。
動画サイトで、この新曲を試聴できますので、ご覧になって頂きたいです。