第707回 テストの解き直し~解説プリント作成の意欲
高3社会の授業を担当する先生から、興味深い話を聞きました。
「選択世界史」の講座です。前期中間試験の答案を返却した後で、受講生のひとりがテストの解答に合わせて解説プリントを作ってきたというのです。
センター試験を目標の中心にする講座で、試験は大問5つで試験時間60分、22頁の問題用紙はボリュームがありました。作成した彼は、納得できる得点ではなかった反省も踏まえて、全ての設問ごとに丁寧に要点を調べ確認して、テスト全体の徹底復習をしたのです。
その内容に感心した担当の先生は、本人の了解をとって印刷、配布しました。
「本解説は素人が作成した」ので「誤字・脱字の可能性もあるので注意」、「一部作成者の愚痴が混ざるので注意」など笑えるコメントもあり、興味深く読みました。
世界史は、筆者も長く大学受験の指導を担当した科目なので、同様の思い出がいくつかあります。世界史が超得意だったある男子生徒は、全国模擬試験の中の論述問題に対する「模範解答」に不足を感じ、自分なりに改善した論述例を作り、理由を記した手紙を添えて模試の会社へ送りました。その彼は教材の世界史図表も用語集もボロボロになるほど使い込んで勉強し、定期試験はいつも満点近く、“あいつは世界史を究めている!”と一目置かれていました。
ふたりに共通するのは、自分が受けた定期試験や模擬試験を徹底的に点検、復習する強い意志です。大学受験へ向けてこの姿勢を確立した諸君は実力の伸びが著しい例をたくさん見てきました。「テストの解き直し」という大事な課題は、いまも在校生諸君の前に明示されています。