第714回 世界に目を向けて考える~高校2年生の総合学習

2013年7月5日

 7月の前半は、多くの学年の総合学習が、校外訪問の機会も含めたヤマ場を迎えます。6年間を通した総合学習を通して、社会に生きる様々な人びとと出会って学び、人間観や社会観を深め、将来への生きる意欲を育む取り組みです。本日は高校2年の総合学習について、今年度前半の取り組みを中心にご紹介します。

 

 今年度高2のテーマは、「MDGs その目を世界へ~今、日本にいる私達が出来ること~」という国際的な課題です。
 ここ数年間に定着した高2の基本プログラムです。国際連合が提起している「ミレニアム開発目標(MDGs)」を対象として、生徒諸君が最も関心を持つ目標・ターゲットを選び、班に分かれて活動するのです。
 中1から始めて5年目を迎える総合学習では、世界と人類のかかえる困難な課題を直視し、どう解決を目指すのか、これからの生き方の中でどう向き合っていくのかを考える場を設けます。前年度の高1総合で取り組んだ「生命の尊厳と社会のあり方」のテーマをさらに発展させ、より広い視野から世界全体の状況を考え、ものの見方や考え方を深めてもらいたいと願っています。

 

 年度当初から動き出した総合学習委員会で事前学習を進め、テーマ分野の設定を行いました。学年全体では、外務省の「出前講座」を受講しました。各テーマごとの小グループは、クラスを越えて関心の近いメンバーで組まれます。事前学習を行い、訪問先のアポ取りを進め、質問事項を用意します。高校2年生はクラブ活動や学校行事でも役割が大きく、中間試験をはさむ期間のアポ取りは、相手先のご都合にも直面して苦労もあったことでしょう。

 そして今週火曜日に、終日の校外フィールドワークを行いました。学年全体で25の班に分かれ、「環境」、「飢餓」、「国際」、「医療・予防」、「平等・人権」の分野ごとに、各班は原則2か箇所ずつの訪問先のご協力を得て、取材学習に出かけました。それぞれの訪問で現状を深く理解する大きな発見があり、新たな問題意識が芽生えたことでしょう。
 訪問先リストを見ると、多彩な国際NGO、官公庁、大学、研究所、民間企業など多岐にわたっています。そこで新たに知ったことや考えたことについて、頂いた資料も生かしてまとめ作業を行い、来週には分野別報告会、再来週には全体報告会を行います。

 

 「若い世代は、世界・国家・地域での意思決定に、積極的に参加する機会を与えられねばなりません」と、現国連事務総長のバンギムン氏(元韓国外相)は呼びかけています。この総合学習を通して国際的な視野や問題意識を十分に深めるとともに、この先もこうした諸問題に関心を寄せ続け、議論や発信をできる大学生、社会人になってほしいと願っています。