第184回 冬を楽しむ~遠い日の想い出

2011年1月29日

毎日の天気予報を見るたびに、日本列島の冬の気候がいかに変化に富んでいるかを痛感します。
一日中氷点下の北海道や、毎日のように雪が降る新潟など日本海側の生活に思いをはせ、沖縄の別格の暖かさに驚きます。「関東地方は連日晴れに恵まれてい る」点はいつもありがたく思います。空気の異常乾燥は火事の危険につながりますが、天気がいいと昼間は割と暖かいし交通の便もまず守られるのです。

今日は、筆者の子ども時代の冬を述べてみます。小6の始めまで信州育ちの自分にとって冬の寒さはひとしおでした。井戸水を使うため、早朝に氷りついてす ぐに水が使えない日がよくありました。家々の軒下には「つらら」が並び、登校では「耳当て」をかぶるのが必須でした。晩秋から各家庭では、家の前で白菜や 大根を洗って大きな瓶に漬け込み、長い冬に備えました。信州各地の風物詩です。

市の郊外にあった小学校には、庭がいくつもありました。一番日の当たらない「北庭」と「北中庭」は、雪が降り積もると児童達が一列に並んでまんべんなく 踏み固めて、その上にホースで放水しました。翌朝には即席の「スケート場」が完成するのです!体育の時間や冬休みはスケート三昧でした。でも当時革のス ケート靴は高嶺の花でお金持ちの子が得意げにはきました。筆者のような庶民は「下駄スケート靴」が相場でした。下駄に長い金物を付けた安物で足が寒いのも 難点でしたが、スケートは冬の身近な娯楽でした。大雪が降ればもちろんクラス総出で「雪合戦」に燃えました。教室には大きなだるまストーブがあり、お芋な どを並べることもありました。
田舎の小学校で、校内各地にはウサギや小鳥や豚までいました。どのクラスも小動物の世話から花壇の水やり手入れなど、動物や植物に親しむ当番の分担があ りました。樹木や花々がいっぱいで、全校で出る大量の落ち葉を集める「堆肥場」まであり、野菜の栽培スペースまでありました。
掃除の時間が大事にされ、長い廊下をぴかぴかになるまで雑巾がけしたこと。何かあるたびに校歌または「信濃の国」(県歌で今でも歌える!)を斉唱させら れたこと・・・・・・小学校時代の強烈な想い出です。そして特に冬といえば、下駄スケート、雪合戦に雪だるま、そしてだるまストーブでした。

わが湘南地域は、めったに雪が降らなくなりました。ずっと以前に大雪のため、雪かきをして中学入試の時間を順延したこともありましたが、その心配はもうしばらくありません。
この寒い時期に、コートもマフラーもせずに登校する生徒諸君がけっこうな人数に及んでいて驚きます。丈夫な身体でうらやましいです。