第725回 先週土曜日~全校朝礼・防災避難訓練を実施
先週土曜日から、本格的な学校生活を再開しています。
1校時の全校朝礼は、中1~高3まで全校6学年、1100名以上の在校生諸君がひさしぶりに集合する大切な時間でした。
校長の話に続いて、山口教頭から防災の心構えの要点と当日の防災避難訓練についての説明がありました。中泉学習進学指導主任からは、9月19日に行われる「卒業生による個別相談会」の説明と参加奨励がありました。
続いて生徒会クラス委員長の高2高橋慶君から、夏休み前の「通学路マナー向上週間」のキャンペーンに対するお礼報告と、秋以後の継続の方向性について説明アピールがありました。高橋君のユーモアも交えた堂々たるスピーチは大したものです。
2校時はクラス毎のLHRが行われ、3校時に全校防災避難訓練を行いました。地震発生~津波警報発令を想定して、各エリアの最上階への避難、そして屋上への全校避難を、放送の指示と教員の分担誘導で行いました。本日確認された諸事項を踏まえて、必要な対応と計画の改善に努めていきます。
【校長からの話】 朝礼での話をこれまで同様に掲載いたします。
他の私学でもは8月下旬から学期が始まる所もあります。学園は今日から再開です。今年度もカレンダーの都合上、この後の試験や学園祭の日程を決めるのに制約が多く、授業日数を確保する必要もあって、8月最後の今日を始業の日としています。
この夏は、40度前後を何度も記録するような史上最高の「猛暑」と、全国各地を襲ったすさまじい「豪雨」が注目された夏でした。明日から始まる9月は、厳しい残暑に始まりますが、月末には秋の気配が感じられる、気温差の大きい1か月です。
夏の疲れやだるさも残っているはずですが、気持ちを切り替え、早めに学校生活と登下校のリズムを回復して、元気で生活して欲しいです。
今日は、この夏のニュースから、特に気になった報道を1つ取り上げます。
厚生労働省が、全国の中学・高校に依頼して集計した、大がかりな調査結果です。
それは、「インターネット依存症」の疑いが強い高校生と中学生が、推計で全国で約52万人に増加したというニュースです。皆さんご存じですか。
パソコンやスマートフォンなどで情報交換やゲームに夢中になり、日常生活や健康に深刻な影響の出ている生徒が激増したことが浮き彫りになりました。
全員に尋ねた使用時間では「休日に5時間以上」と答えた高校生が男女とも20%を越えていました。夜遅くまでパソコンやスマホを使って「睡眠の質が悪くなる」とか「毎日午前中は調子が悪い」という回答が目立って多かったそうです。
私の世代の教員が中学生~高校生だった頃は、携帯電話やインターネットは全くありませんでした。これらは、とつぜんこの世の中に登場した新しいツールです。
これら便利な道具は、私たちの世代も今では重宝しています。インターネットでは様々な事柄を検索できますし、私もメールは家族や同僚や友人と、仕事でもプライベートでも頻繁に使っています。
ただし「ツイッター」や「フェイスブック」や「ライン」などはやっていません。便利だから試してみたらと誘われますが、時間がもったいないし、これ以上振り回されてはいやだなと思って、自分は控えています。
でも多くの皆さんは、もう日常的に利用しているかもしれません。部活の連絡や学園祭の連絡でも、ラインやメールなどを頻繁に使っている人もいると思います。
特にスマホは、家でも休日でも、誰かといても肌身離さず、いつも開けていないと落ち着かないという人がいる気がします。便利で大切な物ですが、適当な距離を保ち、時間を区切って使えているか、自問自答してみて下さい。
今回の厚労省の調査に限らず、深刻なネット依存の若者や大人に関わるお医者さんやNPOの人達から、依存症の事例が次々と報道されています。
家族と一日中ほとんど会話もせずに画面に向き合い、ゲームや各種のSNSを続ける。中には一日の半分以上、10数時間も画面から離れられなくなるとか、完全に昼夜逆転して、学校や会社をやめて「引きこもる」人達もいます。掲示板やチャット絡みで誘拐事件や殺人事件につながるケースも続発しています。
アメリカや韓国、中国ではすでに深刻な社会問題となりました。全国で予防教育の徹底を図り、ネット依存症に対応する政府系のクリニックを増設する国もあります。民間でも専門のカウンセリングや「ネット断食」の取り組みなどが広がっています。
ネット依存症の程度をチェックする質問から、5つの項目をあげてみます。
皆さんにも、当てはまることはないかどうか、念のため考えてみて下さい。
①「家族や友達といるより、インターネットをしている方が楽しいと感じる」
②「気がつくと何時間も、一人になるといつでも、インターネットをしている」
③「携帯のメールなど何度も何度もチェックする、書き込みの反応が常に気になる」
④「気がつくと過激なジョークや、相手に対する挑発(フレーミング)をしている」
⑤「リアル友達よりネット友達の方が多く、ネットで知り合った人の方が大事になる」
・・・・・・どうでしょうか。依存症の様子もいろいろです。「メール依存」から「Youtube依存」「facebook依存」「twitter依存」「mixi依存」「オンラインゲーム依存」「チャット依存」「掲示板依存」「ネットサーフィン依存」「性情報のサイト依存」「ネットオークション依存」など多種多様です。大人の世界では、自分の名前や会社をいつも検索して、世間の評価を常にチェックするといった症例もあるようです。
ここにいる学園生の間では、このような極端な状況はほとんどないはず、と思いたいのですが、どうでしょうか。
たとえば中学1年の皆さんも、入学後クラスやクラブでおおぜいの友達が出来て、アドレスを交換し合い、一気に交際範囲を広げた人が多いかなと思います。
連絡とか問い合わせ、おしゃべりの延長で、時には写メールを添付したり、ラインの仲間とやりとりしたり、楽しんでいるかもしれません。でも時には返信するのが億劫になり、かったるく負担になり、制限したい時もあるのではないでしょうか。
ものすごく便利だけど、思わぬ大きなリスクも持つのが、パソコンや携帯・スマホです。その使用については、改めて一人ひとり、また友達どうしで、節度ある利用を心掛けるように、強く訴えます。
特にコミュニケーションの道具として危険な要素を持つことを自覚して下さい。
相手の生活に負担をかけ過ぎない、不快な思いをさせない、配慮ある送信が必要です。また「一日何時間まで」とか「食事中など家族といる時は控える」とか「勉強中は出さないでしまっておく」といったルールを自分で決めて欲しいです。
“親がうるさい”からではなく、自分の生活を、自分の時間をもっと大事にしよう!という決意からスタートすべきではないでしょうか。
「光陰矢のごとし」という言葉があります。時間はいつでも駆け足で過ぎ去ります。もっと自分の周りの世界に目を向け、人間どうしの直接の会話を大事にしてほしいものです。
朝や夕方に、通い慣れた通学路や街でも、周りの風景に注意してみましょう。季節の変化を見つけ、行き交う人びとの様子に目を留め、世の中の様々な動きに積極的に目を向けましょう。家族や近所の人、学校の友達や先生に、進んで声をかけていきましょう。小さな機器と向き合う時間を制限し、生活を区切る「それぞれの時間」をもっと大切にすること。私も改めて心掛けていきたいと思います。
ここで一年前の朝礼で紹介した、ユダヤ人の精神科医・フランクルのメッセージを、もう一度紹介します。第二次世界大戦中にドイツの迫害を受けて強制収容所に入れられ、奇跡的に生き延びた人物です。日本では東日本大震災の後、再びフランクルの本を読み、励まされる人達が増えているそうです。
・・・・・・「複雑な現代社会で、私達は人生のあり方に悩んで疲れやすくなっている。しかし欲望中心の人生には際限がなく、欲求不満の状態が続くだけだ」とフランクルは指摘します。そして「どんな人間にも唯一無二の価値がある。どんな人間にもその人を必要とする何かがこの世界にあり、この世の中の誰かが、何かが自分を待っている。それを何かを探しながら生きていこう」と呼びかけます。「自分の人生に届けられる意味と使命を発見して、実現していけるように懸命に生きていけば、幸福の手応えがおのずと生じてくる」とフランクルは説いています。
毎日の生活は忙しく慌ただしいですが、皆さん時々立ち止まって考えてみましょう。たった一回限りの人生です。この学園で生活する中高6年間の時代に、またこの先の学生時代に、様々なことにチャレンジして学び体験し、その中で将来を展望していきましょう。君が輝ける進路をきっと見つけて欲しいです。
そのために、日々の時間を大切にして下さい。
9月は、毎年正念場です。まず前期期末試験が来週の月曜日からスタートします。もう「試験直前モード」に、生活のチャンネルを切り替えられましたか。
けさラウンジへ行くと、高3の諸君が20名近く、黙々と勉強していました。
前期の成績は高3や中3の諸君にとっては特に重い意味を持ちますが、他の学年の諸君もここは頑張り所です。中間試験の時の反省をもう一度思い返し、気合いを入れて総復習を進めましょう。
そして今月末には、学園祭があります。クラス・文化部・実行委員会などですでに様々な準備が進められています。あまり話せなかったクラスメイトとも力を合わせて、楽しい協力の輪を広げていけるのが学園祭です。知恵や工夫を出し合って取り組みましょう。
また9月16日から学園祭の初日まで約2週間、今年もメルボルンから「ノックス・ジャパンツアー」のご一行をお迎えします。日本からのオーストラリアセミナーのリターンで、ノックス校の生徒と先生の皆さんが来日されるのです。いろんな場面でウェルカムし、カルチャー講座や、授業・昼休み・放課後、遠足などを通じて思う存分交流や会話を楽しみ、友情の輪を広げて頂きたいです。
最後に、80周年記念館についてふれておきます。
もう気づいた人も多いと思いますが、カフェテリアの建設は順調に進み、その全貌が見えるようになってきました。皆さんのために、多数の学園関係者の方々が大変な準備を重ねて下さって、このカフェテリアが完成されます。クラスエリアの一階から最短ルートで行けるように必要な工事もして頂いています。最後の検査などを経て学校側に引き渡されるのは、10月半ばになります。また80周年の記念行事や記念式典も急ピッチで準備が進められています。それらは後ほど詳しくお伝えしますが、皆さん楽しみにしていて下さい。
まずは当面、重要なイベントが続きます。残暑にまけない体調の維持と気持ちの切り替えが大切です。それぞれに、メリハリある充実した毎日を過ごしていってください。・・・・・・それでは、以上で私の話を終わります。ありがとうございました。