第178回 「超就職氷河期」の報道に寄せて
筆者は小田急線で通勤していますが、最寄り駅そばで朝よくネコ達を見かけます。やっと得た日だまりにたたずむ姿は可愛くて、でも寒さひとしおの夜中にはどこで過ごしているのかと気にかかります。ねこちゃん大丈夫かいと声をかけずにいられません。
さて、実社会へ巣立とうとする大学生や高校生にとっては、この冬の寒さに加えて「就職難」の厳しさにも直面し、身を縮む思いを重ねる人達が多いことでしょう。
この春に卒業を予定する大学生の、昨年12月1日時点の就職内定率が「68.8%」とここ10数年間で最悪であったことが、文科省と厚労省の調査で分かったとの報道がありました。
グローバル化と不況のもとで、企業が採用をしぼりこむ傾向が続いています。産業界は先行き不安も背景に正社員の採用を限定し、一方では大企業などでは海外の優秀な学生や留学生の採用枠を広げる動きすらあります。
今回は全国62校の抽出調査であり、地域差や男女差もありますが、昨年10月1日時点の「57.6%」に続く「過去最低」のニュースは注目されていま す。短大生に至っては今回「45.3%」です。四年生大学ですら卒業を前にして3割以上も就職先が決まらず、更に一年後輩の大学3年生達が就活に合流して くるのです。
大学や高校など卒業後三年間は「新卒」扱いにするよう求める政府の提案に対して、産業界でも就業経験がなければ「既卒」と「新卒」を区別しない方針が大 手を中心に広がってきました。文科省や厚労省は、2~3月の既卒者採用の事業者への奨励金拡充、中小企業を中心とした就職面接会の追加開催、ハローワーク の特別相談実施と利用奨励、ジョブサポーターによる個別支援や大学のキャリアカウンセラーとの連携強化などを打ち出しています。
こんなニュースを前にして、卒業生諸君の状況はもちろん、いずれその岐路を迎える在校生諸君が、どんな気持ちで受けとめているかも気になります。
本校の教育目標は、「社会に貢献できる明朗で実力ある人間の育成」です。この時代にあっても自分の志を持ち、その実現へ向けた自覚と努力があれば、必ず 道は拓けるものです。自分を生かせる進路を、輝けるポジションをそれぞれきっとつかみとっていこう!とのメッセージや助言、情報提供に、我々教員はいっそ う努めていかねばならないと思います。