第733回 それぞれの人生~7年ごとの記録(1)

2013年9月11日

  前期期末試験の第3日です。
 今日は、先月TVで観た、ユニークで素晴らしいドキュメンタリー番組についてご紹介します。今月下旬に一部構成し直して再放送がある予定なので、ご家族で視聴して頂ければと願ってお勧めしたいと思います。

 

  「7年ごとの記録~28歳になりました」というNHK総合の番組です。
 日本全国、様々な境遇の下で暮らす13人の青年が登場します。実はこの人達は、7歳の時、14歳の時、21歳の時にもそれぞれ取材を受けています。7年ごとの密着取材で、それぞれの人生はどう展開され、どう変化があったのかを追跡してきているのです!

 私もこの番組を欠かさず観てきました。僅かな時間で編集された範囲内とはいえ“ひさしぶりの再会”であり、妻とわくわくしながら放映を待ちました。一人ひとりの生活の姿とインタビューの様子が懐かしくて興味津々でした。

 

 まず尚紀君です。7歳の時には練馬区の団地でゲームに熱中する姿が少し心配な子どもでした。14歳の時は近くの学習塾に通っている中学生の姿がありました。21歳の時には私立大学法学部の学生で検察官になりたいとしていました。そして28歳の今、その受験をやめて全国チェーンのコーヒー店で店長をしています。接客業の日々の厳しさに鍛えられ、使用する従業員との関係に悩みながらも仕事に誠実に励み、表情豊かな頼れる青年になっていました。“ゲーム中毒”だった少年期や第一志望とした職の挫折も経て、こうして立派な社会人に成長していくのだという感動を覚えました。

 

 次に優美さんは、豊田市で育ち、本が大好きな可愛い子ども、聡明で勝ち気な女子でした。語彙の豊かさと上昇志向の強さが印象的でした。その後地元の女子大へ進学し、21歳の時は就活中でしたが、希望した出版者には全て採用されず、栄養学を学んだのを生かして地元企業の社員食堂で管理栄養士として働き始めます。その後週末には東京へ出かけて転職活動も続け、24歳の時についに出版社への就職を実現しました。詳しい食と栄養の分野も生かして雑誌編集に勤しむ姿がありました。

 

 こうして、それぞれの“7年後”の姿が、現在のプロフィールが紹介されます。このシリーズの取材が開始された20年以上前は、まだ日本の経済力が国際的な注目を受け続けていました。その後、バブル経済の破綻があり、長期的な不況が続きました。この番組に出た青年達も、そうした時代の推移の中で、進学や就職の課題に向き合い、それぞれの進路を切り拓いてきたのです。(明日に続く)