第756回 ドキュメント72時間

2013年10月16日

台風26号の接近で関東地方の天気も大荒れとなりました。天気は回復に向かっていますが、今朝も各種警報の発令が続き、電車の不通など交通事情も厳しく、残念ながら臨時休校の判断をいたしました。

 

校長通信の方は、せっかくなので予定したものを載せさせていただきます。

今日もあるテレビ番組をご紹介します。中高生や保護者などご家族そろって視聴され、お茶の間の話題となればと思える、ユニークな番組です。

NHK総合で金曜日に放映されている、『ドキュメント72時間』という番組です。

 

毎回テーマ性のあるどこかの場所が選ばれてカメラが据えられます。そこに出入りする人びとの様子を、72時間=3日間の昼夜にわたって定点観測するというコンセプトです。縁あって会った人びとを観察しインタビューを続ける中で、様々な人びとのいまの生活ぶりや人生模様が浮かび上がってくるのが、とっても興味深いです。現代日本の社会のかかえる様々な問題や苦悩、切ない願いがジワッと伝わってくるのが印象的です。

 

今月はこんなテーマでした。4日は「よしもと正念場の夏合宿」でした。お笑いタレントの志願者が集まる吉本興業。東京と大阪から集まった300名以上の若者達が9月に静岡のとある合宿所に集合し、2泊3日の熾烈なドラマが舞台となります。大部分の参加者は容赦なく厳しい評価にさらされ、ソロもペアも微かなプライドを砕かれていきます。ひとまずデビューの希望が芽生えるのは最終選考に残れた10組だけです。就活に失敗した打撃からの自尊心回復をこの世界で目指す男性、大震災で絶望した親族に朗報を届けたいと精進を続ける女性ペアなど、それぞれの生活の軌跡が垣間見えました。

11日は「汗と涙の24時間スポーツジム」でした。早朝から深夜まで24時間営業のジムは利用者を増やし続けています。会員になればいつでも利用できる手軽さの中で、マメに身体を鍛える人びとには様々な背景がありました。体型を維持しないと今の仕事が成り立たない人、親の介護のために体力づくりに励む人、ストレスだらけの職場に残って切り替え耐えられる力をつけようとする人、ガンを克服して次の東京五輪まで生きようと誓う人。今日も何かを変えようとジムに通う人びとがいました。

 

これまで特に興味深かった回をあげてみます。「ファミレス人生劇場(埼玉・上尾市)」、「新大久保の国境なき八百屋さん」、「雨のち晴れコインランドリー物語(茅ヶ崎市)」、「熱唱ひとり!カラオケ(新宿)」「健康ランドの“幸福論”(船橋市)」・・・・・・。  全体を通していつも感じるのは、深夜に様々な職場で働く人たちの実に多いこと。離婚や死別などによりひとり暮らしをする人の多いことです。現代はかつての社会と比べて「家族揃っての団欒」がもはや当たり前でないことを感じさせられる場面が普通にあります。それでも人びとは様々なハンディの中でわずかな休息・くつろぎやささやかな楽しみ・交流などを求めてそれぞれの場所に集まっていました。

私たちが暮らすこの社会の様々な断面を、身近な題材を通していろいろ知り、考えるきっかけになる素適な番組です。