第109回 秋本番・今日から後期がスタート
10月も半ばに入りました。本日から後期が始まります。
1校時、まず全校生徒がアリーナに集合し、始業式を行いました。
2校時は各クラスでホームルームを行い、中2は学年集会をひらきました。
3校時から、後期の授業開始です。秋から冬へと向かう後期、まず生徒諸君に伝えたい言葉は「実りの秋」です。前期に比べれば、暮らしを整え、新しいリズムを築き直すのにふさわしい日々を迎えます。それぞれの諸君が充実した生活を軌道にのせて欲しいと願っています。
校長通信も今日から再開します。これからも引き続きご拝読をよろしくお願い申し上げます。
先週の前期終業式の分と合わせて、本日始業式の表彰事項について、まとめて掲載いたします。また本日の校長からの話も、参考までに載せてご紹介したいと思います。
【前期終業式・表彰関係】
体力テスト表彰賞 体育の授業で実施され、基準点を超えた優秀者が対象です。
高2の山本祐司、西山沙樹、高1の徳長貴哉、高橋七望
中3の木田 優、堀田実希 中2の山口祐介、山口有沙、志賀なつみ
中1の篠山静渚、小林実可子
理科の夏休み自由研究 各学年の指定・自由部門のグランプリ・準グランプリ
を受賞した諸君が対象です。学園祭で多数の優れた作品が展示されました。
中3の長野恭子、田中阿子、藤田航規
中2のテイラー貴安努、平本康介、高田莉里、佐藤瑠美、塩賀彬裕
中1の大脇いずみ、山口聡太
陸上部 県私立中学陸上競技大会 男子110mH 第2位 中3石井皐晶
藤沢市陸上選手権大会 中3男子110mH 第3位 中3石井皐晶
中1女子800m 第3位 中1桝井奏
卓球部 県私立中学卓球大会 中1女子 第3位 中1天野里香
合気道 全日本心身統一合気道競技大会 金賞 中3落合俊介
一輪車 全日本一輪車競技大会 グループ演技部門 中学第6位 中3熊澤典子
【後期始業式・表彰関係】
2010年度後期奨学生 中学1年~高校3年 各学年3名ずつ
前期の成績で各学年上位3名ずつの優秀な諸君を対象と
しています。
2010年度前期成績努力賞 中学2年と中学3年 各学年5名
ずつ 前期初めと比べて成績の上昇が著しかった諸君を対
象としています。
書道 公式書写検定 1級合格 高2の納富晶帆、永田志帆、
義盛光代
剣道部 藤沢市中学剣道新人大会 準優勝 中1沖津和明
ゴルフ 全日本レディースゴルフ選手権大会 第5位
中3安田彩乃
【校長からの話】
全校生徒の皆さん、おはようございます。今日から、後期が始まります。
この秋休み中は、それぞれ、リフレッシュして過ごせたでしょうか。
今日はまず、この秋休み中にも、世界中の注目を受け続けていたニュース、そしてまもなく画期的な取り組みがスタートするある事件について、お話をしたいと思います。どんなニュースのことか、わかる人もいると思いますが、どうでしょうか。
いまから2か月以上前の、8月5日、南米のチリで大きな事故がありました。
南アフリカのサッカーWカップでは、日本と同じく、決勝Tに勝ち進んだ国です。そのチリの北部の、サンホセ鉱山という所で落盤事故があり、作業員33名は 地下700メートルもの深い場所に閉じこめられたのです。当初は生存について絶望視されていましたが、万一の救いを求めて現場まで掘削が試みられました。
17日後の8月22日、坑道にある避難シェルター付近まで掘削ドリルが届いたところで、ドリルの先に「我々33人は元気だ。シェルターにいる」と赤いインクで書かれたメモがついて戻ってきました!
現場に立ち会ったチリのビニェラ大統領は「彼らは全員生きている」と伝え、集まった家族や友人から大歓声がわきました。彼らはわずかな水と食料を分け合い17日間を生き延びていたのです。幸いなことに避難所の換気も保たれていました。
作業員の一人が家族へあてたメモも回収されました。メモはポリ袋に入れ、大きな輪ゴムで器具に縛り付けられていました。それはこんなメッセージでした。
「愛する妻へ。片時もお前への思いがやむことはない。私は元気だ。生きて外に出る。我慢して信じていてくれ」・・・・・・書いたのは、そこにいる最年長の 男性で63歳のマリオ・ゴメスさんでした。妻のリリアナさんも「夫は強い男よ」と胸を張り、満面の笑みを見せたそうです。
翌日の8月23日から、地下700メートルの避難所に、食料や水、酸素、懐中電灯、医薬品などをチューブで送る作業が始まりました。たった直径10センチ 程度の管を使って物資を差し入れ、医薬品の飲み方や「我々はあなた達と共にいる。鉱員の皆さんよ頑張れ」と激励の言葉を記したメモも同封されました。安否 の確認後、穴につり下げたカメラには、ヘルメットの明かりに照らされた元気な作業員の姿が映っていました。トランプなどを楽しむ様子もわかりました。しか し内部は30度以上の高温です。作業員は上半身裸で過ごしていました。
当初、全員の救出には4か月程度はかかると見られ、肉体はもちろん精神状態や避難所内の衛生環境も、そこまで持ち堪えられるのか、疑問だとの声もあがりました。
その後、現場付近には、救出を待つ家族の人達の「テント村」ができました。
9月14日、作業員で29歳のアリエル・ティコナさんの、妻エリザベスさんが、女の子を出産しました。お父さんの無事生還の願いを託して、テント村と同じ名前の「エスペランサ(希望)」と名付けられ、他の家族の祝福を一身に集めました。
赤ちゃんの様子はビデオ撮影され、地下の避難所に送り届けられました。
その後、井戸掘り用の高速掘削機で直径30センチの穴が地下633メートルまで掘削して、貫通の見通しがついたと発表されました。それから、穴の直径を71センチにまで拡大して、鉄骨で補強する作業も始められました。
9月18日はチリの独立記念日に当たり、事故現場で行われた式典では「鉄の意志と魂を持った33名はチリ国民のお手本だ」とたたえられました。
地下にいる作業員とテント村の家族は、この日正午に同時に国歌を歌い、作業員はミートパイと清涼飲料水(ワインは見送る)が届けられました。
33名の顔写真が現地に掲げられ、翌日またピニェラ大統領が視察と激励にやって来ました。救出はもっと前倒しして実施できると発表されて、希望が広がりました。
9月30日には、宇宙飛行士のために開発された日本製の下着が、チリの日本大使館向けに、100セット提供されました。特殊繊維を織り込んで汗を吸いやす く、におい消し効果も強力な下着ということで、「少しでも地下にいる皆さんに快適に過ごして頂きたい」と、日本のスポーツ用品メーカーの担当者は話してい ました。
さて皆さん、作業員の人達は何を掘っていたのでしょう。・・・・・・それは「銅」です。チリの貿易について、習ったことを覚えていますか。チリを支える資 源は銅です。いまでも輸出の40%を銅が占めます。その最大の輸出先は日本です。日本からは一番遠い位置にある国のひとつですが、やはり日本とは大切なつ ながりがあるのです。事故のあった鉱山のあるチリのアタカマ州には、小さな鉱山が2千以上もあるそうです。出稼ぎで働く、貧しい労働者も多いそうです。今 回の事故をきっかけに安全基準が厳しくチェックされるため、閉山する所が増えて、これから失業者が一気に増える可能性も大きいそうです。
チリ政府は、安全対策と失業対策のバランスを取るのに苦労しているようです。
さて今月、最近の動きに話を戻して進めてみましょう。
先週の10月7日~9日に一気に情勢が進展しました。救出の具体的な段取りが、ついに発表されました。作業員は、救出の6時間前からわずかな流動食にとど めて排泄しないようにする。太陽の光に直接当たるのは危険なので、紫外線をカットするサングラスを付ける。一人ひとりの体型に合わせた特別の緑色の服を着 用する。特別に作られたカプセルに一人ずつ乗せて地上へ引き揚げる。体調が良ければ、救出後に家族一人とまず5分ほど面会し、2時間かけて精密な健康診断 を行い、その後病院へヘリコプター輸送する。しばらくは「闇の中」で生活し、その後も人工の光の中で一定時間を過ごし、家族との面会も制限される、などと 発表されました。
一人ずつ引き揚げる特殊カプセルは「フェニックス=不死鳥」と名付けられました。高さが3メートル以上あり、中の直径は54センチ、万一に備えて、酸素ボンベや連絡用の通信機器が付いています。
地下の33人からは、「全員救出まで地上の現場に残りたい、全員の生還を現場で分かち合いたい」という希望が表明されました。しかしそれは無理だと説得さ れました。引き揚げに備える準備体操が指示されました。33名の引き揚げの順番についても慎重に検討されました。地上では、救急救命士・医者・看護師など 医療関係者20人が1つのチームを組み、12時間交替の2チーム体制で救助に当たることになりました。
作業員33名の引き揚げ作業のために、実は3本のトンネルを同時並行で掘っていましたが、「プランB」が真っ先に到達しました。プランAは掘削作業を停止し、プランCは万一に備えて念のために続行しています。
マニャリク保健相が会見し、「作業員はみんな自分が最後に出ると言い張っている。彼らは驚くほど堅い友情を見せている」と語りました。
最初に引き揚げられる一人は、相当に心理的な負担が重く、引き揚げ作業中のトラブルに対処できる経験豊かな人が選ばれたそうです。最後に地下を後にする人は、33人のリーダー格の人と決まりました。
そして現地時間9日の午前8時、ついにトンネルが開通しました。33人の健康状態が改めて発表されました。精神状態はかなり良いが、10人が皮膚病にかかっており、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患が心配される人達もいたそうです。
2人の息子が地下にいるアルフォンソ・バロスさんは、ぼろぼろとうれし涙を流しながら、「男は泣かないものだが、この時ばかりは泣くべき時だ、本当に長い間待っていたんだ」と語っていました。
おととい10月11日に、ゴルボルネ鉱業相が、「フェニックス」を実際に地下まで卸す実験に成功したと発表しました。トンネルの内壁を鉄製の壁で補強する作業も地表部分の56メートル分について完了し、安全には自信があると語りました。
そして、13日午前0時(日本時間同日正午)から救出を開始する、救出開始から48時間程度はかかる予想である、とついに発表したのです。
この発表を聞いて、家族の人達は抱き合って喜び、泣き、思い極まって倒れ込む人達の姿までありました。
そして、先ほどのニュースで、救出開始を早めて、日本時間の10時からスタートさせると伝えられました。
今夜、この救出の模様が必ず報道されるはずです。皆さんにも、ぜひそのニュースを観て欲しいと思います。救出の完全な成功を共に祈りましょう。
2か月以上に及んできたこのニュースで、皆さんはどんなことを感じるでしょうか。私は、もし自分の家族が同じ境遇にいたら、と考えてみることがまず一番大 切なことだと思いました。いのちの重さ、家族の絆、社会や政府のサポート、・・・・・・いろいろ大切なことを、深く考え直してみる機会にしたいと思いま す。
始めに戻りましょう。今日から後期です。
これからしばらくは、とても過ごしやすい、素晴らしい季節が続きます。
この時期にまず大切にしたい言葉は、「実りの秋」です。
どの学年の皆さんにも、まず後期には授業がたんたんと進んでいくことを、しっかり受けとめて欲しいと思います。
また高校2年と中学3年の皆さんは、もうすぐ研修旅行という素晴らしい行事が待っています。中2の皆さんも1泊の学年の日がもうすぐそこです。高1の皆さ んには特活や文理選択という大切な課題があります。中1の皆さんはまず教科の学習にじっくり腰を入れるべき時です。そして高3の諸君には改めて「実りの 秋」を期して、地道に強気に戦いを続けて欲しいと願っています。
私たちは安全な環境の中で、まずは健康に暮らしている人が大部分でしょう。
皆さん、どうか健康と安全に気をつけて、自分の幸せを見つめ直して、充実した後期の毎日を過ごしていって下さい。
・・・・・・それでは、以上で私の話を終わります。