第834回 年度末へ向けた全校朝礼
今日は、一昨日の全校朝礼について紹介いたします。高3以外の5学年がアリーナに全員揃う、久しぶりの貴重な機会でした。
1月下旬の合唱コンクールを経て、2月初旬の中学入試期間が終わり、3月初めに待つ学年末試験へ向けて、年度まとめの勉学、総復習へ向かう気持ちの切り替えを促す位置づけがまずありました。
また国際教育主任の荒木先生から、ユダヤ人の救出に貢献した杉原千畝氏の偉大な足跡にふれながら、当面する国際交流のイベントが紹介されました。
そして来日した雲南市の女子大学生が、自己紹介を日本語で行ってくれ、大きな拍手を受けました。更に書道部、卓球部、陸上部の活躍について、該当生徒の皆さんを表彰しました。では、校長からのお話の内容を紹介しておきます。
しかしその後、大雪警報が静岡県から神奈川県へと短時間で広がり、JRなど鉄道で遅延や停止の情報も入り、朝のHRでは午後2時までとしましたが、2校時で一斉下校へと急遽変更しました。
この日は、午後の漢字検定試験の受験予定者が467名もいました。部活の練習では大会を間近に控えたクラブもありました。理科研究部のサイエンスカフェ、バレンタインデイを前にしたチョコレートカフェの企画もありましたが、全て順延や中止の扱いにせざるを得ませんでした。帰宅するまでそれぞれ何時にない苦労がそれぞれあったことでしょう。本当にお疲れ様でした。学校からの説明とお詫びの文書を帰りに配るのでご家庭へ届けて下さい。
次に中学入試についてです。今年も2月1日から6日まで4回にわたる中学入試を実施しました。昨年、学園は神奈川県内で志願者と受験者が最も増加した私学として注目されました。今年はその分いわゆる偏差値も上がって、ある程度人数がそれなりに減少するのはやむを得ないと思っていました。
ところが少しは減ったものの、予想以上に志願者・受験者の人数は多くなり、狭き門となりました。しかも前半の入試に合格した人達が、昨年よりずっと入学手続きをして下さり、その分、特に最後のD日程はすごく厳しい入試となってしまいました。170名受験して、合格者は定員ぴったりの20名、競争率は8.5倍でした。学園に入学したいと最後の最後まで受験へ向かってくれた大勢の小学生とお母様お父様のご期待に沿えない結果になってしまい、心苦しい思いも強く持っています。
入試期間中、補助生徒として中1と中2の皆さん、そして高3の先輩達がのべで200名近くもお手伝いをしてくれました。巡回や監督、仕分けや掲示などの補助業務で、朝と帰りの挨拶で、元気と笑顔いっぱいに取り組んでくれました。高3の先輩達は、カフェテリアに集まった保護者や受験生に的確に指示して、質問に応えてくれました。
皆さんの働く姿は大好評であり、あんな優しくて素適な先輩が待っているからと、学園へのあこがれを強めてくれたのです。
考えてみると、年間を通して在校生の皆さんの素晴らしい協力に恵まれてきました。学校案内やビデオの作成があり、オープンキャンパスや学校説明会、校外イベントなどで、部活体験やパフォーマンス、個別相談や代表スピーチ、国際や生徒会、制服などの数多くのブースでも「もてなしと語らい」に努めてくれました。湘南学園の人気がここまで上がってきたのは、皆さんのおかげ、皆さんの魅力がすごく大きいのです。心から感謝しています。
次に嬉しいニュースを1つ伝えます。湘南学園中高が申請していた「ユネスコスクール」への加盟が正式に認められました。これは国連やユネスコが提唱している“持続可能な未来のための教育を推進する”学校として、湘南学園が国際的に認められたことを意味します。このことによって、同じ志を持つ日本と世界の様々な学校とつながっていける可能性が広がります。
湘南学園は中高6年間をかけて、社会に生きる人びとからも直接に学びながら総合学習を進めている学校です。中3と高2の研修旅行もその一部といえます。訪問した地域に生きる住民の方々が、地域に根ざした仕事や暮らし、文化を保とうと努力する姿から、持続可能な社会を担う生き方について深く学べるはずです。
人類と地球は、いま困難な課題を数多くかかえています。皆さんの子どもや孫の時代まで、はたして現在の生活や環境を残していけるのか、人類はこれから先本当に存続できるのか、という課題がつきつけられています。地球環境の悪化、原発も含んだエネルギー問題、貧困と格差の問題、食糧や農業の危機、孤独や孤立化、高齢化の進行など様々な問題が横たわっています。
「持続可能な世界」を目指してどのように社会と関わっていくべきか。皆さんには中学高校の時代にこそ、その問題意識と認識、行動力を深めていってもらいたいです。そして自分の良さを生かし、社会に貢献できる場所をつかんで活躍して欲しいと願っています。
延期された「サイエンスカフェ」や「チョコレートカフェ」の企画も広い意味でその一貫です。遺伝子組み換えやバイオテクノロジーの世界、チョコレートをめぐるフェアトレードと先進国&途上国の関係などについて、共に考える機会なのです。本校はそうした新しい学びの場を、積極的に皆さんに提供していきたいと思っています。
最後のテーマになります。今年も中国の雲南市から日本語を専攻する大学生をお迎えしました。昨年度は「日中国交回復40周年」にあたり、湘南学園の同窓会や藤沢市、多数の会社の援助を頂いて、藤沢市の姉妹都市・昆明市から日本語を専攻する大学生8名と先生1名を招待しました。授業体験や江ノ島・鎌倉散策、餃子作り、日中豪青年シンポジウムなどで様々な交流を深めることが出来ました。“中国の政府は好きになれないけど、中国の大学生は皆まじめで温かい人達で友達になれた”といった感想にも少なからず接しました。
そこで今後へ向けた継続性も大事にしたいと、今年は2名だけだがやはり雲南大学から女子学生を2人お招きしたのです。日本と中国の間には尖閣問題などの確執があります。でも一方で日中間には長いおつきあいの歴史があります。 私達の名前は漢字であり中国で生まれました。弥生~大和時代には数多くの渡来人が大陸の文化を伝えてくれました。遣唐使で日本が吸収した文化も多彩で深いものです。日宋貿易や日明貿易の時代にも文化交流が進展しました。日本は中国や朝鮮から、後には欧米の文化を積極的に学び、それらも統合して生かしながら、日本の独自文化を更に磨いてきたのです。
日本の貿易相手国は、いまやアメリカを抜いて中国がトップです。大学生が英語の次に学ぶ第2外国語も中国語が首位になりました。自分の大学時代はようやく国交が回復した直後で、中国語を学ぶ人はごく少数でしたが、いまでは就職にも有利と学習する人が激増し、ビジネスの世界でも大企業や中小企業がどんどん中国へ進出し、同時に中国語を学んでいるのです。
向こうでは日本のことが大好きで、日本語を学ぶ学生達も多いです。ネットや携帯を使い、就活や恋愛に悩み、自分と母国の将来を真剣に考える青年たちが大勢いるのです。人間と人間が直接に会って話してみること、いろいろと解り合えることがまず大事ではないでしょうか。
本校はそんな機会も可能な範囲で重視していきたいと思います。今回お迎えした二人は、在校生のお宅でお世話になり、ホームステイしてもらいます。通常の授業にも入ってもらいます。日本語講座やシンポジウムも用意されています。日本語を話せるのですから、どうか気軽に話しかけてみて下さい。
以上です。寒さがまだ厳しい時期ですが、体調に気をつけて、年度末の総復習を意識して勉強に励んでいきましょう。ご静聴ありがとうございました。