第85回 豪州・メルボルン・ノックス校との出会い(その2)
オーストラリアは、18世紀末から、まずイギリス系の白人が移民して形成された英国の植民地が起源です。ですから、公用語は英語です。
白人だけで社会を作ろうという「白豪主義」が唱えられた時代もありましたが、日本の高度経済成長の時代に、両国の貿易関係がグンと深まった頃から、この国は「多文化主義」に転換していきました。
先住民の「アボリジニー」の生活や文化も尊重されるようになり、労働力の不足もあって、各方面にアジア各地からの移住者も増えていきました。「となり」のアジアとのつながりをもっと大事にしていこうという豪州の姿勢は、APECなどの国際会議でも明らかになりました。
今でも日本は豪州から、石炭、鉄鉱石、ボーキサイトなど膨大な地下資源や、小麦、牛肉、羊毛などを大量の農産物を輸入しています。日本経済にとっても、オーストラリアはとてもお世話になっている国です。
メルボルン郊外にある「ノックス校」。その近くのショッピングモールや周辺を歩いてみました。中国系やインド系の住民が多いことには驚きました。レスト ランもファストフードも多国籍です。メルボルンは国際都市で、たとえば「ギリシア人」や「イタリア人」が集住する地区などもあります。
ただハイウェイを走るクルマは、8割以上が日本車だと思われました。さすがだなと少し誇らしい思いもしました。一番びっくりしたのは、学校と宿舎を往復した時の「広い歩道」です。歩道自体が木々や芝生に囲まれて、とてもゆったりしているのです。散歩やジョギングを楽しむ住民の方々とよくすれ違いました。そのまま横に入ると公園につながる所までありました。
クルマなしには生活できない社会です。市街地を離れると果てしない大平原が続きます。「牛」や「羊」が伸び伸びと放牧されています。そのスケールの大きさは、カナダへ行った時と共通の印象を持ちました。
ある一日、学校の先生方の運転により、約40名の一行で、メルボルン南方の「フィリップ島観光」に連れて行ってもらいました。信号のないハイウェイを120キロも進んで、貴重な観光スポットに案内して頂いたのです。
ペリカン親子来訪の海岸、手つかずの自然が残り家畜がいっぱいの不思議な島、サーフィンで有名な砂浜海岸、遊歩道で行ける絶壁の景勝地、コアラの自然保 護区(ユーカリの樹上に野生のコアラが見えて一同感激!)、そして「フェリーペンギンのパレード」が見えるスポットでした。
世界一小さい、可愛いペンギン達が、夕方から夜にかけて海の中から集団で上陸し、砂浜を大急ぎで横断して草むらに入っていく、そのライヴを海前のスタン ドから静かに見守るのです。幻想的で美しい、稀な光景でした。草むらに分散する「フェリーペンギン」もライトで見ることが出来ました。
どこのスポットでも若い女性達が、使命感に燃えて熱心に事前説明ガイドをする姿に感心しました。学園の生徒達とともに、ドキドキ、ワクワクの一日でした。