第863回 全校対面式&新入生歓迎会~先輩達のおもてなし!

2014年4月10日

今日は、中学高校の6学年でそれぞれ、学年集会とクラスのLHRが行われます。学年の先生方からは、今年度の各分野における重点目標やメインテーマが説明されます。教科の学習、生活指導、生徒会行事、総合学習や研修旅行、学年イベントなど多岐にわたります。それぞれ担当の先生から判りやすい説明がなされることでしょう。
LHRでは、担任の先生の自己紹介やクラス運営の願いが語られ、新しいクラスメイトが自己紹介をしたり、時にはゲームを交えて最初の交流を図ったりします。生徒会・クラスや行事などの役員、担当者決めにもつながっていくはずです。

 

昨日の中高始業式では、校長の話に続いて、生活指導主任の福田先生から、登下校のマナー、いじめ問題、携帯電話やスマートフォンの使用ルールなど、重要事項を中心に大切な話がありました。
次に山口教頭から、教員の異動、新任の紹介と新任教員の挨拶、そしてお待ちかねのクラス担任や学年スタッフの発表がありました。いわば年に一度のセレモニーでもあり、5つの学年の担任発表の場面はいつもながら興味深い光景でした。

 

 

対面式は、昨年度から始めたイベントです。中1新入生は、先輩達全員が学年ごとに並ぶ間を、アリーナ前方とその上のサブアリーナへクラスごとに移動し、盛大な歓迎の拍手を受けました。松本京子総務委員長から熱い激励メッセージがあり、新入生の学園仲間入りを祝福しました。その後新入生はアリーナに残ってもらい、学園の立地や沿革も踏まえた学校ガイダンスを校長中心に行いました。

 

午後の新入生歓迎会は、新入生のいる3階フロアからオーバーブリッジを通って階段を下りアリーナへ入る沿道が、運動部と文化部の先輩達による花道となり、拍手やハイタッチでクラス毎に新入生を歓迎しました。
アリーナは、実行委員会の高2佐々木瑠美さんの溌剌とした司会で始まり、同じくキャラクター衣装の高2後藤慧君から温かい委員長挨拶がありました。総務委員長の松本さんから学園生徒会の独自性と、新入生も生徒会会員として主役になれることについて力強い説明がありました。
その後クラス毎に円陣で着席してもらい、実行委員のメンバーのサポートで集団ゲーム(何でもバスケット、ビンゴ、○×ゲーム)が行われ、その間に力作と評判の高い部活紹介がDVDで上映されました。
会場までの往復も誘導係の生徒諸君が行い、全ての運営は在校生が計画して仕切っていくのが学園生の行事パワーです。新入生には緊張の続くスタートですが、先輩達の歓迎とおもてなしが心に響き、学園生仲間入りの喜びを強めてもらえたものと思います。

 

では最後に、中高始業式における校長式辞の内容を紹介させて頂きます。

皆さん、おはようございます。
ようやく春本番となり、今年は新学期が始まるまで桜の花に恵まれました。
これからは新緑が美しい季節です。お家の周りや公園や街角で鮮やかな緑にも目をとめてほしいと思います。
今日からいよいよ新年度が始まります。今年度も在校生の皆さんとのいろんな接点を大切にして、精いっぱい取り組んでいきます。どうかよろしくお願いします。

まず、新入生歓迎会の実行委員会の人たちにお礼を伝えます。もうこのアリーナいっぱいに素適な装飾が施されています。入念な準備を重ねてくれたことでしょう。この始業式の後に新入生との対面式を行い、午後にはもう新歓の本番になりますが、どうかよろしくお願いいたします。
今年度は、新中1が6クラスになりました。湘南学園への志願者や受験者は今回もとても多くて人気がありました。それは嬉しいことですが、実際に入学する人数が予想を越えて、8年ぶりに1クラス増加となりました。そのため教室配置などが難しくなり、迷惑をかけるクラスもあります。体育祭など学校行事にも負担をかけることになります。お詫びするしかないことです。どうか理解と協力をお願いします。
またカフェテリアは、今日から営業が再開されます。新しいメニューも続々登場して、皆さんをお待ちしています。ラボカードのチャージはお早めに。友達と誘い合って、出来るだけたくさん、美味しいランチを楽しんで下さい。

 

さて、新しいクラスを確認して着席してもらいました。「クラス替え」は特に中学生の皆さんには、すごく気になる一大事だったはずです。同じクラスに仲の良い友達がいるかどうか、気の合わない苦手な人はいないかどうかなど、メンバーが気になるのは当然です。中には一番の仲良しと離れて「友達が少ないな」と不安な気持ちの人もいることでしょう。また担任の先生が誰になるかも、もちろん気になることでしょう。
「クラス替え」は毎年行われます。期待も不安も混じるクラス替えは、実は人間関係を広げていく大切な機会でもあります。
学年全体で友達の輪が広がるという手応えは、いろんな交流や体験を重ねて、高校生になってからやっとつかめるものだと思います。そのつながりや絆は、大人になってから更に意味を深めて大事なものになっていきます。
新しいクラスで出会った縁を大切に、いろんな人に声をかけてみましょう。友達に恵まれた人は、元気のない人が周りにいたら、カバーしてあげて下さい。同性も異性も、クラスメイトには「おはよう」、「さよなら」と挨拶し、「ありがとう」の言葉を心がけましょう。毎日の挨拶が、温かな輪を広げていくももです。

担任の先生は、持ち上がりの先生も、その学年に新たに入った先生も、大きな願いを持って新しいクラスの運営を始められます。居心地が良くて活気のあるクラス、意見の違いが出てもちゃんと話し合えるクラス、行事も燃えて「みんなと一緒で良かった」と思えるクラスをつくりましょう。
改めて、全校的な挨拶の励行を呼びかけたいと思います。
校舎の中でも学校の外でも、同級生はもちろん先輩や後輩に、先生方はもちろん事務や用務の方々に、学園に来られた保護者など全ての方々に、いつでも気持ち良く挨拶できるようになって欲しいです。
運動部の人達など、いつでも爽やかな笑顔で挨拶の出来る人達は大勢います。一方、挨拶に返事が出来ない人がいます。大人になっても人間関係の基本になる事柄です。今年は全校で挨拶の励行を図りたいと思います。どうか皆さん、心がけて下さい。

 

さて、湘南学園は昨年秋に創立80周年を迎えました。今年度はその成果を受けて再出発する一年となります。まず一番重視したいことは、在校生の皆さんの学力向上です。ここで6年間の学園生活を送る皆さんにとって、その先には大学受験という共通の課題があります。特に高校生は、大きな進学の目標を持ち、その夢を実現するために、日々の勉強に対して「ひたむきな努力」を改めて求めていきたいと思います。
中学生はまず毎日の授業に集中し、家庭学習の習慣をしっかりと確立することです。
高校生も中学生も、現在の成績には大きな差があっても本気になって開始することです。そして続けていくことが出来れば、必ず劇的に向上していけるものです。日々の勉学でも、第一志望校を目指す受験勉強でも、さらにその先の大学や仕事の世界でも、必要になる大事な力は、「続ける力」です。

最近読んでとても強烈だった本があります。名古屋のある女子校生の受験体験を記したドキュメンタリーです。上に大学のあるのんびりした高校のクラスで、成績は学年ビリ、学校は嫌いで家庭も複雑で、見かけも生活も相当に荒れていた女の子です。
ある出会いをきっかけに彼女は猛勉強を始めます。英語の初歩や国語・社会の常識的な知識もなかった彼女が、恥を恐れずに指示に従ってテキストや問題集に猛烈に取り組んで、本番ではまず関西学院、そして明治大学に合格し、最後に私立最難関である慶応大学に合格するという実話です。
これは彼女の境遇も含めて特殊な例ではありますが、「目標を持ってひたむきに頑張る」ことは誰でも可能だし、そうして夢をつかめることはどんなに素晴らしいことかと感動しました。周りの助言や支えがあってこそ、つらい努力が続けられることにも共感しました。

 

 

勉強も、学校行事も、部活動も、大事なことは「ひたむきな努力」です。目標を持って仲間と共にコツコツと粘り強く取り組むことです。そうして目標を達成した充実感は何物にも代え難い宝になります。すぐに努力が報われないこともありますが、必ずその体験はどこかで生かされるものです。
大事なことは、独りになった時に自学自習へ向かう姿勢、黙々と続けていける習慣です。以前にも紹介しましたが、専門家は2つの強力なアドバイスを伝えています。
まず「ゴールからの発想」という考え方です。山登りやマラソンも頂上やゴールが何キロ先にあるかわかると最後まで頑張りきれます。大会の優勝を目指すスポーツ選手も同じです。自分の目指すところが明確だから、挫けそうになった時に目の前の壁を突き破るエネルギーが沸いてくるのです。
次に「全体から部分へ」という助言です。自分が取り組むテキストやや問題集の「全体像」をまずつかむことです。定期試験の前に試験範囲の全体を確認するのと同じです。その本の目次にも注意し、「これから進める勉強は全体ではこうなっている」とイメージを持つ。勉強の進行状況を意識しながら一歩一歩進めていくのです。
単元テストや定期試験、模擬試験などの徹底的な復習も、成功のカギを握っています。試験の終わった後の復習については、特に意識して追求してもらいたいです。
クラブ活動や生徒会や習い事で忙しい日も、この勉強だけは必ずやると決めて続けられると立派です。日々の暮らしの中で「すき間時間」を生かせるようになると、勉強のリズムが身についてきます。今年はぜひ自学自習の時間を増やしましょう。

 

さて、湘南学園は、昨年秋に「ユネスコスクール」に加盟したことをすでにお伝えしました。「持続可能な社会の担い手を育てる」という教育目標は、国連やユネスコはもちろん日本の文部科学省も提唱している、国際的に大きな願いです。
地球上にはいま、約70億人が暮らしています。現在の人類はもちろん、あとに続く世代の人びとが暮らす地球環境や地域社会の将来が、このままでは本当に危ないという危機感が広まっています。環境破壊を食い止め、生命を維持する食料やエネルギーを保証し、貧富の格差を是正しなければなりません。資源の無駄使いや自己中心的なライフスタイルをみんなで改めていかねばならないのです。
また、民族や国家の対立を克服し、様々な民族の文化が尊重され、様々な諸民族が仲良く共存できるようにしていかねばなりません。

たとえば先月、環境省が出した予測に注目が集まりました。今世紀終わり頃の日本は、このままでいくと年間の洪水による被害額は今の3倍近くになり、砂浜は全国の85%が消失するというのです、年平均気温は3.5度から6.4度も上昇し、暑さが原因で死亡する人が増加するそうです。亜熱帯の果物が首都圏でも栽培できる一方、お米は品質の悪い米の割合が増えるというのです。皆の努力次第で、状況は緩和されます。温室効果ガスの排出を抑える努力が、本当に大事になっていると報告書は述べています。

 

東日本大震災から3年以上が経ちましたが、津波や地震で家を破壊され、原発事故で大気も土も汚染されて、今でも26万人以上の人達が避難生活を送っています。しかし被災地以外の人びとは、あの当時のことを次第に忘れかけ、身の回りの物や電気を大事にしない、節約しない傾向も広がってきていないでしょうか。
現在の便利で快適な暮らしが、今後も当たり前のように続くと考えてはいけないのです。あの大震災を通じて、この世の中は様々な人たちの仕事や善意のつながりによって成り立っていることを再認識したはずです。お金儲けや競争の勝利だけを優先する経済や風潮はもう許されないと考える人びとが増えています。本当の生きがいや幸福を求める考え方が広がっていることに希望を見い出せます。

 

皆さんの将来には、広い世の中が広がっています。社会の動向を十分に見つめながら、時には遠い将来について思いをはせてもらいたいです。
自分の長所や持ち味を伸ばして自信を持ち、大人になったら自分にふざわしい進路や仕事を選び、社会に貢献し、人びとの役に立つ生き方をしてほしいと思います。
皆さん一人ひとりが、この新年度を充実した一年にしていけるように心から祈っています。日々の時間を大切にして、自覚ある生活を送っていきましょう。
以上で、私からの挨拶を終わります。ありがとうございました。