第884回 ユネスコスクールへの加盟について①
本校は、昨年12月に「ユネスコスクール」への加盟を実現しました。今回はその意義やねらいについてお伝えしたいと思います。
「ユネスコ」は、国際連合の専門機関として、教育・科学・文化・コミュニケーション・情報の分野を通じて、平和の構築、貧困の削減、持続可能な開発、異文化間の対話に貢献することを任務とする、重要な国際組織です。
ユネスコは、二度目の世界大戦が終わった直後に、世界で共有された不戦の誓いを土台にして設立されました。
ユネスコスクールは、そのユネスコの理想を実現し、国際的な平和と連携、交流を学校教育を通じて促進することを目的にして1953年に設立されました。
その後世界各国に仲間を広げ、公式サイトによると2014年4月現在では、世界の加盟校は180か国にまたがって約9600校にも及び、日本の加盟校も705校に達していました。
近年では、深刻化する地球環境問題への危機感をまず第一に、「持続可能な地球社会を築かねばならない」との課題意識が世界中に広まり、学校全体でこの観点からの教育を充実させていこうとの意志が広まりました。そこではESD(持続発展教育)という共通の教育の旗が掲げられ、日本でも文部科学省や環境省もこのESDを先導するようになりました。
東日本大震災を経て、日本国内ではユネスコスクール加盟校が更に増加しました。たとえば宮城県気仙沼市は、震災前から小中高と全市をあげて公立校が加盟をしていましたが、震災後の取り組みを強めているそうです。神奈川県は首都圏でも加盟校が少ない現状ですが、湘南学園中高は申請の準備を急ぎました。昨年いっぱい時間がかかりましたが、日本ユネスコ国内委員会を経由して、パリのユネスコ本部で申請を承認してもらい、認定証を送って頂いた次第です。
湘南学園中高は、「社会の進歩に貢献する、明朗で実力ある人間を育てる」ことを教育目標に掲げています。その実現のためにこれまで20年以上、中1~高3の一貫教育を通じて本格的な総合学習を進めてきました。特に社会に生きる様々な人びとに出会い、そこから直接に学ぶ機会を大事にしてきました。
これまでの総合学習の取り組みを振り返って検証し、指導プログラムの更なる改良を図りながら、他の様々な教育実践も含めて「ESD」の観点から統合し、わが学園教育のミッションを実現していきたいと願い、その有効な契機としてユネスコスクール加盟をはたそうとしたのです。(明日へつづく)