第1065回 “笑顔で生きる仮設住宅”~陸前高田の人びとから学ぶ ①
学年末試験の第3日目です。来週水曜日が「東日本大震災・4周年」にあたるのを機に、被災した各地の現状についての報道が多くなっています。今日は先週に視聴して特に心に残った、あるTV番組からお伝えしたいと思います。
「地方発ドキュメンタリー」というNHKの番組を時々視聴します。今日紹介するのは、『笑顔で生きる仮設住宅~震災4年 岩手・陸前高田~』という大震災関連の特集です。
岩手県の陸前高田市はよく知られた町です。復興の建設工事が進行中ですが、今でも約4000名の人達が仮設住宅で暮らしています。そして市内の中学校の校庭にある「米崎中学校仮設住宅」が番組の舞台です。
そこには現在も約200名の人達が入居し、この3年でここを出られたのはまだ2割のみだそうです。近隣の高台に建設中の公営住宅の完成を待つ世帯も少なくありません。しかし“米中仮設”の人達はいつも笑顔でにこにこ、秋の町民運動会でも結束力の強さが評判になっていました。
小さいけどおしゃれな集会所が、皆さんの大事な集いの場所です。健康サロン「ボンジュール」が定期的に開かれます。血圧測定がなされ、“すてきな語りにお茶一杯”の設定が笑顔を誘います。“ここへ来るとはじけるの”と語っていました。
仮設住宅の生活の中で、「防犯隊」や「美味しい野菜作り隊」など4年間に15ものサークル活動が起ち上がったそうです。誰もが気軽に参加できて交流の輪が広がったのです「人生ベテランズクラブ」は調理も楽しみます。自治会会長の男性・金野廣悦さんがまず始めにカラオケの集いを呼びかけたのがきっかけだったそうです。今では毎週金曜日に開かれる居酒屋「ジュテーム」も大人気です。夢あふれるネーミングも大事だなと思われました。
茶道教室も生まれました。女性の師範・菅原さんは自宅が大震災で全壊となり、教室も蓄えたお茶の道具全ても失って絶望していました。お茶会を開いて欲しいとの要望がきっかけで今では30人以上が集まり、初心者から稽古をつけるようになりました。“また喜んでもらえて、ここが今では一番楽しい場所です”との言葉が印象的でした。
菅原さんはやがて体調に不安が増し、宮城県に住む娘さんの所への引っ越しが決まりますが、中学校体育館の「米中仮設文化祭」ではお茶会を開いて参加者にお点前を披露します。更に自宅の玄関前に床の間を作って椿の花を生け、30人の生徒の皆さんと3時間を共にしたお茶会を笑顔で終えます。こちらに通ってまた指導して欲しいと乞われ、“この仮設にいて幸せだった。楽しいことを精一杯やれた”と述懐されるのです。(明日へつづく)