第1070回 東日本大震災から四年間を経て
学年末試験の返却と解説が、昨日の午後から今日にかけて一斉に進められています。試験は「答案が戻ってきた後の徹底した点検と振り返り」がこの先の前進につながる大事なポイントです。ここがきちんと出来ると勉強は間違いなく軌道にのるものです。先生方のコメントにも集中して、年度末の総整理・総復習に向かってほしいと思います。
さて、東日本大震災が勃発して、四周年にあたる本日を迎えました。
全国各地で追悼の催しが行われ、様々な特集が報道されます。本校の在校生と教職員も午後2時46分に1分間の黙祷を捧げます。高校生は授業中で、中学生は部活中や帰宅後になりますが、各自心をこめて黙祷してもらいます。
私達にまずできることは、被災地の現状についての報道に注意し、事実を知ることだと思われます。いまなお故郷に戻れない人びとの苦しみ、帰還された住民の方々の新たな苦悩、現在の仮設住宅に暮らす人びとのご様子、復興計画の遅延で希望を一方的に先送りされる方々の思いに注目したいです。地域と家庭が個別のより複雑で困難な状況におかれて立ちすくむ状況や、行政の施策と被災者の間の大きなギャップに対する志ある方々の支援の動きに目を向けていきたいものです。
防災教育の第一人者である片田敏孝先生(群馬大学教授)が、昨年秋の創立記念日に、学園小学校へ「関東地区私立小学校教員研修会」のご講演のご担当で来園して下さいました。「想定外を生き抜く力を育む防災教育」と題する講演会は、大勢の参加者一同に深い感銘を与え、今後の教育課題を明示して下さいました。
その片田先生が最近記されたある記事に出会いました。
防災教育の本質とは、「生き方を問う」ことだ、と先生は論じておられました。“釜石の奇跡”のお話はよく知られています。釜石市内のほとんどの児童や生徒が自分の判断で避難行動を取ることができた事実は重要です。
各地で片田先生のご指導を受けた児童は帰宅後にご家族と語らいの場を持ちます。そこで母親や父親がどんなに自分のことを大切に思ってくれているか、親子の絆に触れて涙する子もいるし、「自分の命を自分で守ることが両親の命を守ることにもつながる」ことを洞察するのです。
防災教育とは、避難の方法だけを教えるのでなく、「災害と向き合うことを通して家族を思い、自分の命の意味や自分の命を守ることの意味を突き詰める」教育である、いわば「生き方を問う」教育なのだ、との片田先生のご教示に深く学ぶ思いでした。子ども達の生き方が変わり、家庭が変わり、地域社会が変わっていく。防災教育にはそんな大きな可能性がある、と片田先生は大切な信念を述べられていました。親も教員も、この社会に生きる広範な人びとが、反芻して深めていきたい真理であると思われました。