第1119回 軽井沢・ISAKを視察訪問して ①
前期中間試験の第2日目です。テスト期間中の通信なので、まとまった内容をお届けしたいと思います。5月23~24日に本校の企画主任と二人で視察訪問させて頂いた、「ISAK」=「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」についてご紹介いたします。
これは湘南学園同窓会より、今後のグローバル教育分野の発展を期して定期的に寄せて頂くようになった「湘南学園教育振興基金」の適用により学びに行くことができたものです。見学の希望に対して貴重な援助を与えて頂いた同窓会の関係者の皆様に改めてお礼を申し上げます。
ISAK(アイザックと呼びます。以下この通称を使います)は、昨年8月に開校された新しい学校です。日本で初めての全寮制インターナショナルスクールの高校です。長野県軽井沢駅から約10キロ離れた緑あふれる閑静な地に建設されました。
ISAKの開校は、マスコミでも大きな話題になりました。その理由は独自のミッションにあります。「アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出し、変革を起こせるリーダーを育てること」がISAKの教育目標です。
現在の在校生は第1期生の49名です。希望者230名の難関を突破しました。約7割はアジア太平洋地域からの留学生であり、中にはアフリカのソマリア出身の男子もいました。パスポートの入手に苦労し、前日にぎりぎりで入国したそうです。日本各地から入学した新入生も含めて世界10数か国・地域から集まった同志の若者達でスタートしました。
代表理事を務める小林りんさんが、ISAK開校のリーダーです。小林さんは都内の名門高校を中退してカナダで学び、東京大学を卒業されました。国際協力銀行などで勤務した後、国連児童基金(ユニセフ)のフィリピン事務所に駐在されました。ストリートチルドレンの教育に携わり、識字率が上がっても貧困層が増える様子を見て、「社会に変革を起こせるリーダーを育てなければ、根本的な解決につながらない」と強く実感されたそうです。
2007年から開校の構想を温めましたが、すぐにリーマン・ショック等の影響に直面し、開校へ向けた資金調達は極めて難航しました。何百社にも足を運ぶ長くて険しい道のりの様子は後にテレビ番組でも報じられました。普通ならとっくに頓挫する夢でしたが、粘り抜いた小林さんの執念と努力には頭が下がるばかりです。
やがて政財界にも理解して支援する動きが急速に広がり、世界各地で活躍した有能なスタッフと教授陣が小林さんのもとに結集しました。いまや日本の次世代リーダーの代表的な一人として広く注目を集めますが、幼い二人のお子様の子育てと激務を両立させている女性でもおられます。(明日へつづく)