本日は、約1か月ぶりの全校朝礼をアリーナで行いました。前期中間試験の返却が今日から始まり、中学1年生はクラブ活動も正式な入部を経て本格的に始まります。各学年の総合学習も本格的に展開されます。大きな節目に当たる時期であり、これから夏休みまでの期間を暑さにまけないで日々充実させようと、気持ちをリフレッシュして欲しいと願い、その一環として朝礼を行っています。
今回の朝礼は、本年度の教育実習生を迎えて、その初日に全校へ紹介する機会ともなっていました。この四年間では12名、13名、11名、12名と教育実習生の人数は毎年二桁になっています。本校卒業生の間で教職志望者が多くなっていることに注目しています。1100名以上の全校生徒の前で自己紹介するのは、さぞかし緊張したことでしょう。これも大事な経験です。担当するクラスと担当する授業でいよいよデビューとなります。
校長の話に続いて、グローバル教育委員会の岩野先生から、これから発足する「グローバルサークル」についてその概要説明とメンバー募集の呼びかけがありました。今後のフレッシュなアクションが期待されます。また生徒会指導委員会の有薗先生から、直前に部室の周辺を点検して集めた落とし物や忘れ物を示されて、物を大事にする姿勢や部室と周辺の自主的な管理の大切さについて切実な注意と呼びかけがありました。
おわりに、本日の校長からの話の内容を紹介させて頂きます。拙い内容ですが、特に在校生の保護者の方々には、どこかでお子様との会話のきっかけになるものがあればと願っております。
皆さん、おはようございます。
まず、先週土曜日のオープンキャンパスについて、補助生徒として手伝ってくれた300名以上の皆さんにお礼を伝えます。今年も程良い天気に恵まれて、予定通りに実施できました。駅からの挨拶・誘導を担当してくれた陸上部員の皆さん、受付と校舎の全域、カフェテリアや制服試着コーナーで丁寧に対応してくれた生徒会総務の皆さん、海外セミナーの説明を担当してくれたメンバーの人達、そして各クラブの部活体験や午後の部活案内、帰りの見送り挨拶で頑張ってくれた運動部と文化部の人達、本当にありがとうございました。皆さんの明るくて爽やかな挨拶や、懇切丁寧で親身あふれる対応は、来園された小学生や保護者の方々に大好評でした。皆さんに大きな安心と期待の気持ちを持って頂けました。今後の学校説明会や学園祭の場面でもよろしくお願いいたします。
さて今日から前期中間テストの返却が始まります。毎時間「ドキドキハラハラ」が続くことでしょう。実は試験の後こそ大きな岐路であり、本気で復習できるかどうかが問われます。「平均点より上か下か」とか、「友達より点数が良いか悪いか」といったレベルで終わらせてはいけません。
「本気でテストを復習する努力」が出来る人は必ず成績が伸びます。我々教員はそのことを痛感しています。中間試験や期末試験だけではありません。中学生の学力推移調査や、高校のスタディーサポート、大手予備校の全国模試などでも共通することです。ミスした箇所の分析が大事です。「全くわからない」「見たことがあるけど出来ない」「ケアレスミス」のどれかを見分けることです。復習では「人に説明するように勉強する」やり方も効果が大きいと指摘されます。そして最後に何も見ないでもう一度挑戦する「解き直し」が重要です。すぐに無理なら後でもいいので、数科目でも必ず挑戦しましょう。
そして、今回のテスト結果をふまえて4月からの生活と勉強を振り返りましょう。改めて日々の授業に集中し、「すきまの時間」を活用していく決意を期待しています。
特に中1の皆さんは、今週からいよいよ部活動が本格的に始まります。入学した時の初心を思い出して、勉強と部活の両立を追求していきましょう。
関連して暑さが本格化する中で、改めて節電の協力をお願いします。ムダな冷房や照明を極力避けるように、一人ひとりの自覚を求めます。そして登下校のマナーの徹底を求めます。生活指導委員会の先生方が、駅の周辺で毎朝指導されています。私も声をかけますが、なかなか自覚をもてない人がいます。言われなくても意識を持ち、友だちと横に広がらずに、マナーある右側通行を心掛けて下さい。
さて、今日から教育実習が始まります。
今年度も11名の先輩達が、3週間の教育実習を行います。先輩達は将来の進路目標のひとつとして教職の道を選んでいます。学校の先生になるにはこうして「教育実習」を行うとともに、教職向けの専門の授業をいろいろ受ける必要があります。そして大学を卒業する時に「教員免許状」を手に入れます。その前後に「教員採用試験」の関門があります。そこで合格して採用されてやっと現場に入ることができるのです。
実習生の先生達は、授業で、HRで、時には部活で、体当たりで皆さんにぶつかっていくはずです。機会をつくって、大学生活はどんな感じなのか、大学受験はどう取り組んだのか、どんな将来の夢を持っているのかなど、気軽に尋ねて参考にしてほしいと思います。
ここで皆さんに尋ねます。あなたは将来の進路や就きたい仕事についてもう何か具体的な志望や夢を持っていますか。・・・・・・関連して少しショックな情報を紹介します。アメリカの専門家が最近次のような未来予測を発表して話題を集めました。「今年、小学校に入学した子ども達のうち、その65%くらいは大学を卒業してから、今は存在しない職業に就くことになるだろう」という指摘です。大げさな印象も持ちますが、本当にそうかもしれないと話題になりました。それだけ世の中の変化がスピードアップしているからです。
社会に必要な仕事は変わらない部分もありますが、技術の進歩や生活の変化に合わせて流行する仕事もあればなくなる仕事もあります。一例としてインターネットの普及があります。何でも「ネット通販」で購入できる便利な時代になりました。このことは当たり前のことではありません。そのシステムを支えるために大勢の人達が網の目のようにつながりながら、それぞれの新しい仕事に向かうようになって可能になったことです。
そしてグローバル経済の中で、世界の国々や会社は、利潤や生き残りのために激しい競争を繰り広げています。そのために働く人たちが給料を抑えられ、働く人をどんどん、時には国境を越えて取り替えながら費用を少なくする傾向も広がっています。
日本ではこれまで、学校を出てどこかの職場に入って、そのまま真っ直ぐに進んでいけるストレートな人生が多くの人達の標準的なスタイルでした。しかしそのキャリアモデルは次第に難しくなってきており、もっと流動化していく可能性もあります。
湘南学園では、中高6年間の総合学習を通じて、社会に生きる人びと、第一線で働く人たちにいろいろ出会い、そこから直接に学ぶ機会を大事にしてきました。テーマ学習で首都圏の様々な団体を訪問するフィールドワークや、研修旅行の民泊体験もその一環です。
皆さんには、揺れ動く社会の姿にできるだけふれてもらい、世の中のつながりや人びとの願いを知り、自分の将来の進路を大事に考えていって欲しいと思っています。
自分の良さや持ち味を生かせる分野に進むのが大事なことです。仕事を通じて自分が成長できそうな分野、世の中や人びとの暮らしに貢献できそうな分野を自分なりに考えてほしいと思います。こんな時代だからこそ、進路の願いや夢は強ければ強いほどいいのです。ごく大まかにでも構わないので思い描いてみましょう。「コツコツとものづくりをしたい」「子どもに関わる仕事をしたい」とか「新しい会社を興して世界へ出てみたい」「安定した職種に就きたい」とか「この湘南に出来れば住み続けたい」「田舎の暮らしにあこがれている」といった素朴なヒントも手がかりになります。
人生にはこの先たくさんの出会いがあります。その時にヒントや志があれば大きなチャンスに巡り会うこともあります。時には思わぬ転職とか失業にぶちあたるかもしれません。でも失恋や別れと同じであり、人間は苦労した体験をその後の人生に生かして、より確かな充実感や幸福感を得ることができるものです。
これからのグローバル時代にまず大切なのは、「困難にぶつかった時もくじけない精神力」だと第一線の人達が指摘しています。どんな場面でも新たな課題や目標を発見して、家族や仲間と励まし合い、新たな人間関係を広げて挑戦していこうとする楽観的な姿勢がいっそう大切になっていくことでしょう。
現在の学校生活は将来の生活にちゃんとつながっています。皆さんが主役となり活躍し、きっと誇りに思ってくれている、湘南学園の生徒会行事を一例として取り上げましょう。学校行事は楽しいだけではありません。時間的な制約に向き合って、仲間と役割を分担して取り組む体験でもあるのです。全体像をイメージして、デザインして、コミュニケーションを重ねながら周りと協同で取り組んでいく。そんな経験はこの先、大学生や社会人になった時にもきっと役立つものです。
自分にあった専門分野を選んで深めていくことも、将来のキャリア形成へ向けて大事なことです。皆さんの大学受験では学部や学科の選択が重要になります。資格の取得も時には重要ですが、その分野の本をたくさん読んだり、関係する場所を訪問して実習したりお話を直接聞いたりする積極的な人はグングン伸びます。その専門を“究めていこう”“学び続けていこう”と決意できれば、就職の道もきっと拓けていくことでしょう。
高校3年生の皆さんは、いま自分の進みたい専門分野を選び、猛然と受験勉強に取り組む毎日を送っていることでしょう。結果がなかなか出てこないと焦ってはいけません。
夏をはさんで秋から冬へと向かう長い道のりです。いま進めるべき勉学の予定、各教科のスケジュールをしっかりとデザインしていますか。そのルートマップに沿って、進学目標は妥協せずに黙々と地道に進めていきましょう。公開模試のE判定は、過半数の現役生にとって最初の宿命です。歯を食いしばって点検復習するのみです。
受験の戦いは山登りと同じです。急に見晴らしが開けるのはもっと先のことです。頑張って登る人にはちゃんと保証される「未来予想図」です。数多くの卒業生が頑張って乗り越えるドラマを我々は見てきました。皆さんの健闘を心から祈っています。
中高のどの学年でも、これから総合学習が本格的に展開されます。総合学習は、班やクラスや学年の協力関係を広げながら、様々な人たちを知り、お話を聞き、体験や交流を持てる貴重な機会です。世の中には「こんな生き方があるんだ」と知り、「こんな協力やつながりがあるんだ」と気づいてほしいです。ネットの情報は便利ですが、実際に行って会って、見聞きする迫力にはかないません。広くて奥深い世の中に気持ちをしっかりと向けて積極的に学んで下さい。
最後にこの後、生徒の皆さんが主役となる新しいステージについて紹介があります。グローバル教育委員会の岩野先生から呼びかけがあります。英語のスキルアップを図りながら、グローバルな学習と交流に取り組むアクションが提起されます。ぜひ注目して下さい。
・・・・・・それでは以上で私の話を終わります。どうもありがとうございました。