第1155回 昨年度中3生の「卒業論文集」を手にして

2015年9月4日

今日は、現在の高校1年生が、中学3年生の昨年度に取り組んだ「中学校卒業論文」の作成について取り上げます。今週初めに生徒諸君に届けられた文集で、「For the people」と題された1冊を私もいただき、ぜひ紹介したいと思いました。

 

中高一貫教育の中で前半の中学時代を終えるにあたって、中3研修旅行の学習体験を軸にして、事前と事後の総合学習を結びつけ、自分が何を学びどう考えたのか、本格的なまとめの文章を作成したものです。

そこでは本校が深めたいと願うESD(持続可能な社会の担い手を育てる教育)の視点が大切にされ、問題意識を深めて地域を訪れ、様々な体験学習を総合して認識を深めて表現することが、一人ひとりに求められました。

秋の研修旅行では広島での平和学習、瀬戸内海の島々訪問と周防大島等での民泊がメインとされました。特に瀬戸内海を舞台に産業や文化を守って発展をはかる住民の暮らしや願いを知り、持続可能な社会を築く生き方に学ぶことが大事にされました。

 

「平和」「環境」「暮らし」の3大テーマから各自がテーマを設け、個人個人の考えをしっかと卒論に入れるために各テーマ毎の事前学習が行われました。2千字以上の文章を目標に、学年の先生が分担して個別にアドバイスをしました。「15歳の地図」のノートには、英語・社会・理科・国語の事前学習で考えたことが記録され、旅行委員から各テーマの留意点が示され、夏休みの読書課題もあり、全体学習の機会もDVDやワークシートを使って設けられました。話題の本『里山資本主義』の通読が奨励され、例えば「Iターン・Uターン」「里海」といったキーワードを理解し、研修旅行で問題意識を持って現地で見聞することが大事にされたのです。その後の文集作成でも、自分の学びを振り返り、関係する学習を広げることが貴重な体験になったはずです。

 

先生方の指導が浸透し、生徒委員達も頑張り、それぞれの論文はなかなか立派な内容になっています。文集の最後に担当の先生方から「この学びが今後を生きる人生の糧にしてほしい」、「15歳でまだ出来ることは少なくても、自分の考えを持ち、感じて表現することはできる。自由な希望のある未来を築いてほしい」とのメッセージが心に響きました。皆さんのこれからの成長ぶりを期待して見守っていきます。