第1171回 ネット通販の普及について ②

2015年9月28日

昨日からのつづきです。ネット時代のライフスタイルは、若い世代にはすでに当たり前のことでしょう。しかし我々の世代にとっては大きな変化であり、その背後にある状況にも関心を寄せることがあります。今回は「ネット通販」という主題について、在校生や保護者の方々にも考えていただく材料になればと思い、取り上げてみました。

 

「居ながらにして注文してすぐに届けられる」。圧倒的に便利で革命的なスタイルです。ある別の特集記事を引用させてもらいながら探ってみたいと思います(朝日新聞2015.4.19日曜版GLOBE)。「夕方までに持ってきて」で物が届く社会の到来。「スマホの画面に触れるだけで、その日に頼んだ物が届く。物流の進化は、私たちの生活に大きな変化をもたらした。毛細血管のように張り巡らされた物流網は、どこまで人間の欲望に応えられるのか」という印象的な表題の特集でした。

最初の事例は、「熊本県の農家が朝摘みのイチゴを午前中に発送すると、翌日午後には香港の注文客のもとに届く」ケースでした。1箱2パックで5千円の高級品でも、“日本の果物は美味しくて安心”と香港などアジア各地の富裕層に人気でリピーターも増えているそうです。このケースでは、熊本~羽田~那覇~香港と4空港を経由し、日本の宅配大手と空輸大手の会社が提携する「国際宅配便」が関わっています。

 

約40年前から日本の宅配事業をリードしてきたこの会社は、日本各地の生鮮食品を集荷するため、日本国内に大型物流センターが約70か所と配送拠点約4000か所を設置し、毛細血管のように配送網を広げました。外国の現地でも同じ会社が再び宅配するのです。

このような国をまたいだ「越境通販」は米欧が先行しましたが、日本・中国・台湾・シンガポールなどアジア各国でも爆発的に利用者が増えているそうです。個人が海外から衣類や家電、食品を買う動きが本格的になり、深夜に空港を行き交う貨物機には、主力の精密部品以外に生鮮食品など多様な商品が積載されているのです。

 

中国でも、宅配便は急速に普及し、すでに米国を抜いて世界首位だそうです。中国の宅配最大手は海外進出もねらい、中国のネット通販大手では日本の化粧品や紙おむつなどが日々数万個も売れているそうです。

この特集記事にはドイツ最大手の事業展開も紹介されていました。世界約220の国・地域の主要都市を貨物便で結び、24~48時間以内に配送できるネットワークを築いたそうです。(明日へつづく)