第428回 高校・中学の始業式~新年度がスタート!
今年度、ひきつづき湘南学園中学高校の校長を務めます、山田明彦です。
この「校長通信」では、湘南学園キャンパスの内外をめぐる様々な動きや取り組みについて、「登校日は毎日」を原則にご紹介に努めてまいります。
校外の方々にも校内の方々にも、幅広くお読みいただけたらと願っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
寒さの厳しかったこの冬もようやく去って、春本番を感じさせる時期となりました。毎日桜の開花が進行しています。校舎の前に並ぶまだ小さな桜も出番を迎えてはりきっています。明日はどこへ花見に行こうかと思案しています。
生徒諸君は、高校と中学それぞれで、アリーナで新しいクラスを確認し、始業式に臨みました。その後学年ごとに机や椅子の移動や掃除を行い、新しいクラスで出会いのHRを行いました。
新しいクラスに入る期待と不安は、毎年恒例とはいえ、生徒諸君にとって大きなものがあるはずです。前からの友達と楽しく話せる一方で、隣の人や近くの人、少し淋しそうな人などに気持ちを前にして挨拶し、声をかけてみてほしいと思います。出会いと縁を大切に、心を開き合えるクラスを皆でつくっていってほしいものです。
それでは最後に、それぞれの式における校長からの挨拶を紹介させていただきます。
【高校始業式】 皆さん、おはようございます。今日から新しい年度が始まります。今年度も在校生の皆さんとのいろんな接点を大切にして精いっぱい取り組んでいきます。どうかよろしくお願いいたします。 始業式にあたり、皆さんにある1つの事について問題提起をしたいと思います。これからの学校生活、受験勉強、そしてその先の大学や仕事の世界でずっと必要になると思われる、大事な力についてです。それは「続ける力」です。大リーグマリナーズのイチロー選手は、こんなことを語っています。 「夢をつかむことは一気にはできません。小さなことを積み重ねることで、いつの日にか信じられない力を出せるようになっています」「今まで自分がやってきたことをしっかり継続することが、イチローという選手の能力を引き出すためには外せないことです」「過去の積み重ねがどれだけ大事なものかを感じています。それがなければ今の技術や精神は作られなかったのですから」 これらの言葉は、最近読んだある本の冒頭に紹介されていました。その著者は弁護士の伊藤真という方です。日本で一番難しいとされる司法試験がご専門です。司法試験は弁護士・裁判官・検察官になるための国家試験であり、先生は東大法学部を卒業後、司法試験を合格し、今は「伊藤塾」を開いて受験指導のカリスマ専門家として有名です。日本国憲法の素晴らしさを広める講演などの仕事も精力的に進めておられます。 よく「継続は力なり」ともいいいますが、続けることは難しいものです。「わかっちゃいるけど、続けられなくてやめてしまう」というのが多くの現実でしょう。我々大人も同じで、語学、楽器、ダイエット、禁煙など、誰でも「三日坊主」の体験があるものです。なかなか続けられないのは、必ず「退屈で単純なプロセス」が存在するからで、それを長続きさせるコツについて先生は様々なヒントを説いています。 「全体から部分へ」ということも強調されています。先生はまず、司法試験の合格に必要な勉強の全体像を始めに示すそうです。憲法や民法・刑法など主な法律の特有の体系を最後までざっと見通した上で各条文を詳しく扱うそうです。様々な法律の間にある関係性も早めに学ぶことで、その他の法律の学習もはかどるそうです。 また先生は「ゴールの先の一歩先をイメージする」と助言します。伊藤塾では「合格後を考える」というモットーで、司法の現場で活躍する人たちの講演や書籍などをどんどん紹介するそうです。将来のなりたい自分を想像して、合格はそのルートの大事な通過点ととらえるのです。また「ゆっくり急げ」というモットーが紹介されます。ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスが好んだ言葉だそうで、ぐずぐずしてはいけないが慌ててはいけない。未来の大きな夢を描いたら、一日も早く行動を始めるべきです。そして足下だけを見て目の前の一歩一歩に集中することです。 さて皆さんには、改めて初心にかえって、この新しい年度の勉強に全力で取り組んでいただきたいと願っています。 高校2年の皆さん。ここから文系と理系に分かれ、大学受験を意識した勉強にも本格的に着手するべき学年です。皆さんそれぞれ、高い志や目標をすでに持っていますか。難関大学を第1志望にするなら、2年間をかけた地道な勉強の積み上げが必要です。また多くの諸君は、一方では運動部や文化部のリーダーとなることでしょう。技術的にも人間的にも、後輩の手本になるようなリードが求められます。また来月の体育祭を始め、学校行事でも高2がリーダーになる場面が多くなります。特活や研修旅行でも、皆さんの自主的な取り組みが大いに期待されます。いそがしい一年ですし、同じ時期に幾つもの課題に直面することでしょう。でもそこを自分なりに両立させ、優先順位をつけてやりこなしていきましょう。そうした苦労や経験は、将来仕事についてからも必ず役に立つものです。どうか「続ける力」を蓄えながら、達成感を持てるように頑張って下さい。 高1の皆さん。高校時代は、自分のこれからの人生や将来の進路について、その方向を本格的に考え始める時代です。揺れ動く社会の様子にアンテナを張り、自分の個性を見つめ直し、自分にふさわしい進路の分野をゆっくり探していきましょう。
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【中学始業式】
いま皆さんは、今日まできっと心配だった、「クラス替え」の発表を確認しました。 新しいクラスでの出会いを大切に、協力と助け合いを重ねて、明るい和やかなクラスを築いて欲しいと思います。これが私の第一の願いです。初めて身近になった人にも、積極的に声をかけてみましょう。友達に恵まれた人は、元気のない人が周りにいたら、優しく話しかけてみて下さい。同性も異性も、クラスメイトには「おはよう」「さよなら」と挨拶し、「ありがとう」と声をかけてみましょう。小さな心がけが温かな輪を広げていくものです。新しい担任の先生方も、大きな願いを持ってクラスの運営を進められます。学年や学校の行事のあとで「みんなと一緒で、このクラスで良かった」と思えるようにしたいものです。居心地が良くて活気あるクラス、時に意見の違いがあってもちゃんと話し合えて、楽しく取り組めるクラスをつくっていって下さい。 第二のお願いは、もちろん皆さんの勉強に関することです。入学した時の初心にかえって、教科の学習におもいきり取り組み、学力と成績をパワーアップする一年間にしていって欲しいと思います。先月の終業式で、この春に先輩達が残した素晴らしい大学合格の実績についてお話しました。ここにいる皆さんも数年後には、大学受験という試練に向き合います。自分が行きたいあこがれの大学や進路にどこかで出会い、その合格を目指して全力で取り組むことになります。 大きな夢を実現するには、一歩一歩、地道で粘り強い取り組みが必要です。中学時代のポイントは、「自分なりの勉強のリズムをつかみ、自主的な学習習慣をしっかり確立する」ことです。これまでの生活と学習を振り返ってみましょう。毎日の授業に集中する、宿題を前向きにやりきる、試験前でなくても復習や予習に取り組む。こうした姿勢が身についているのか、自問自答してみましょう。成績が伸びる人達に共通しているのは決意です。そして集中力と持続力です。苦手な教科も、どうせダメだと決めつけずに、まず「小さなパーフェクト」を本気で心がけて、小さな成績アップを積み重ねていきましょう。 そして、これからの学校生活、受験勉強、さらにその先の大学や仕事の世界でずっと必要になると思われる大事な力は、「続ける力」です。 ただし、続けるためにはコツや技術もあるとしています。皆さん、「三日坊主」という言葉を知っていますか。経験のある言葉でしょう。自分にもたくさんの経験があります。恥ずかしい例ですが、運動不足を解消したいと買ったランニングマシンや中年になって出てきたお腹をへっこませたいと買った腹筋マシンは、三日坊主どころか、一日坊主か二日坊主でした。ダイエットや禁煙や楽器など、決意して始めたけどなかなか続けられずにあきらめる大人はおおぜいいます。伊藤先生は、続けられないのは「時間がとれない」からでなくて、「生活のリズムに組み入れる工夫が足りないから」だと指摘しています。毎日の歯磨きや入浴のような「生活の原則」に組み入れる決意と努力がカギだというのです。 そのために伊藤先生が指摘するポイントから少し紹介してみます。まず「ゴールからの発想」という考え方です。山登りやマラソンも頂上やゴールが何キロ先にあるかわかると最後まで頑張りきれるものです。大会の優勝を目指すスポーツ選手も同じです。自分の目指すところが具体的にイメージできれば、限界を感じて挫けそうになった時、目の前の壁を突き破るエネルギーが沸いてくるものです。 皆さんの学校生活でも、これらのアドバイスは参考になるはずです。ふだんの一週間の生や習い事などで忙しい時でも、この勉強だけは必ずやるという決意をして「続ける力」を発揮していきましょう。まず好きな教科で例えば「今回は必ず90点以上取る!」と心決めして、必要な勉強の全体像をつかんでパーフェクトにやり切ることです。クラブ活動だったら重要な大会でここまで勝ち進むぞ、という目標を持って練習を続けることでしょう。学校行事ならば優勝という明確なゴールを意識して取り組むことになるはずです。特に「勉強と部活の両立」は中学生の皆さんの重要な課題です。多くの先輩達もいろんな苦労を重ねながら立派に実現していきました。 伊藤先生の本で、いま『続ける力』という幻冬舎新書が注目されています。その本の始めで、大リーグマリナーズのイチロー選手の次の言葉を引用しています。 大きな夢や目標を掲げて早めに行動を起こすこと。そして目の前の小さな課題を大切にして一歩一歩地道に努力を続けること。この両方が重要なことを、イチロー選手も指摘しているのです。
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