第497回 高校2年生の「特別教育活動」~本校の総合学習から
7月の前半は、多くの学年の「特別教育活動」が、校外学習も含めたヤマ場を迎えます。6年間を通した総合学習を通して、社会に生きる様々な人びとと出会って学び、人間観や社会観を深め、将来への生きる意欲を育む取り組みです。本日は高校2年の特活について、今年度前半の取り組みを中心にご紹介します。
今年度高2のテーマは、「Think Grobally, Act Locally~世界のために何が出来るか~」という国際的な課題です。このテーマに対して、生徒諸君から選出された特活委員たちから「世界中の笑顔のために~小さな優しさを集めて」という印象的なタイトルを考えてくれました。
ここ数年間に定着した基本プログラムがあります。国際連合が提起している「ミレニアム開発目標(MDGs)」を対象として、生徒諸君が最も関心を持つ目標・ターゲットを選び、班に分かれて活動します。
中1から始めて5年目を迎えた特活では、世界と人類のかかえる困難な課題を直視し、どう考えていくべきか議論し、これからの生き方の中でどう向き合っていくのかを考える場を設けるのです。前年度の高1特活で取り組んだ「一人ひとりのいのちが大切にされる社会とは?」というテーマをさらに発展させ、より広い視野から世界全体の状況を考えてみることで、各自のものの見方や考え方を深めてもらいたいと期待されています。
年度当初から動き出した特活委員会で事前学習を進め、テーマ分野の設定を行いました。また学年全体では、外務省の出前講座を受講しました。各テーマ毎の小グループは、クラスを越えて関心の近いメンバーで組まれます。事前学習を行い、訪問先のアポ取りを進め、質問事項を用意しました。高2は部活動や学校行事でも役割が大きく、中間試験をはさむ期間のアポ取りには、相手先のご都合もあって相当の苦労もあったようです。
そして昨日、終日の校外フィールドワークを行いました。学年全体で31の班に分かれ、「飢餓」「平等・人権」「医療・予防」「環境」「国際」の各分野ごとに、各班は原則2箇所ずつの訪問先のご協力を得て、取材学習に出かけました。4月に外務省の谷口さんから、「単に金銭を送るのでは本当の支援にはならない。何が出来るのかを考えるため、まず今の世界の様々な状況に眼を向け、事実を知ることが大切です」との呼びかけがありました。昨日のそれぞれの訪問では、現状を深く理解する上できっと大きな発見があり、新たな問題意識が芽生えたことでしょう。
訪問先リストを見ると、多彩な国際NGO、官公庁、大学、研究所、大使館、病院、マスコミなど多岐にわたっています。そこで新たに知ったことや考えたことについて、頂いた資料も生かしてまとめ作業を行い、来週には分野別報告会、再来週には全体報告会を行います。
「若い世代は、世界・国家・地域での意思決定に、積極的に参加する機会を与えられねばなりません」と、現国連事務総長のバンギムン氏(元韓国外相)は呼びかけています。多忙な日々を送る高2の諸君ですが、この特活を通して国際的な視野や問題意識を十分に深めるとともに、この先もこうした諸問題に関心を寄せ続け、議論や発信をできる大学生、社会人になってほしいと願っています。