第492回 「内向的な人」が秘めている力とは(3)

2012年6月28日

 スーザン女史は、自分の夫や親友たちを始め、外向的な人たちのことも好きだそうです。カール・ユングが「内向的・外向的」という言葉を広めましたが、人間は極端にどっちかの人もいるけど「両向的」な人もいます。社会は両方の個性を必要とし、そのバランスも大切なのだと説きます。創造性は、共同作業からも孤独からも生まれます。時には人びとや電子機器から離れて「荒野で思索する」時間も人間には必要だと話しています。
 彼女は別の著作で、現代の社会で「イントロバート」がその逆の「エクストロバート」をふるまい、変わるように強制させられる傾向を指摘します。現代の資本主義社会では、深い思考は苦手で口先が巧みなエキストロバートを量産するシステムが教育でも日常化してはいないかと問いかけます。人間のコミュニケーションのスタイルは多様であり、それぞれの長所を生かし合う社会、人間の多様性を認め合う社会が大切なのだと力説しているようです。

 少し難しい話になりましたが、このような主張には、私たち教員や親御さん保護者の皆様に、一人ひとりの子どもを理解し、個性を認めて関わっていく上で重要な知恵があると思われました。それぞれの特性を生かして、可能性を発揮できる人生の方向を選択していけるように、寄り添って助言していくこと。その課題の上で学ぶことが大きいと思われ、紹介した次第です。

 スーザン女史のこの講演は、ネットの動画で視聴することが出来ます。米国のカリフォルニアで毎年行われる大規模な講演会「TEDカンファレンス」のシリーズからです。超著名な人物から無名な人物までその講演の豊かな軌跡は、「TEDTalks」の動画で自由にご覧になることができます。スーザン女史の、明快で見事なスピーチを直接観て頂ければと思います。