第303回 将来の職業と大学受験について

2011年9月15日

 月曜日に「昨年ほどは残暑の厳しさはない」と記しましたが、おわびして訂正しなければなりません。秋の訪れはまだ先のようです。今週は「秋よ来い来い」と願いながら、毎日を過ごしています。

 行き帰りの通学路や車内で、たまたま近くにいる在校生とよく話します。
 何かと知っている生徒もおおぜいいます。知らない生徒には「どこから通っているの、自宅の最寄り駅はどこ」とか「部活動はどうしているの」が話の入口です。クラスはどこでどんな感じか、学年の授業はどうか、とか話はいろいろ広がります。生徒の名前も聞いて心に留めます。せっかく縁あって学園にお迎えした生徒さんですから、ひとりでも多く接点を持てればと思っています。

 高校3年生の諸君は、中学時代に少し直接の関わりもあり、だいたいは顔と名前が一致します。大学受験生として日々たたかう彼ら彼女らとも、通学路でときどき一緒になります。志望学部や将来の仕事の夢なども尋ねてみたりします。

 就職難の時代に生きる生徒達は、予想以上に将来の方向を具体的に考えている諸君が多いのです。文系、理系それぞれに多様な夢を聞きます。明確な職業の名前が出ることも少なくありません。教員の自分としては、「将来学校の先生になりたい」という諸君が今年も何名もいるなあ、というのが1つの驚きです。

 私の高校時代は1972~1975年で、国際的には、中国との国交が回復して沖縄が返還された時期から、ヴェトナム戦争が終わり先進国サミットが始まった時期までです。この間にも石油ショックなど大きな事件が続きました。
 多感な思春期で、将来の方向を私も悩んでいました。父親の軌跡を見て戒めとしながら、活き活きと自分が働ける分野はそう広くはないかなと心配していました。漠然と本が好きだから出版社とか、自分らしさを求められる教員にあこがれを持ちました。結果的には大学卒業後に出版から転職して私学にたどりつきました。いわば高校時代の一念がつながった形です。

 「国語の先生になりたくて、A大学とB大学が本命です。教育実習はぜったい学園でやらせて下さい!」と語る、ある高3女子のまぶしい笑顔が印象的でした。「やりたい事がいくつもあるので、いろいろトライ出来る進路として」と志望大学や学部をあげる男子や女子にも会いました。
 現役の高3諸君にとって、この秋は文字通り正念場です。それぞれの夢実現を、来春の歓喜到来を応援しています。