第1394回 上手に生きるコツ
これまでの校長通信では、主に教職員、卒業生あるいは学校で取り組まれていることを中心に、ご紹介してきました。
さて、本日は「中高の皆さんへ」というメッセージです。
「私がみなさんの担任だったら、」
・・・ということを思い浮かべて、お伝えしますね。
テーマ:「上手に生きるコツ」
「そんなものあるものか!」
・・・と、異論を唱える前に少しお聞き下さい。だれもが、これまでの人生の中で何度かつらい出来事を経験してきたのではないですか?
波風が立たず無風の状態で人生を送ってきた・・・、という人は多くないと思うのです。私が思うに、きっと人生の中で苦労はなくならないのだと思うのです。ですから、ここでは「苦労なく楽に生きていくコツ」を語ろうというわけではないのです。
さて、「人生における悩み」というのは、どのようなものが多いのでしょうか。まず、そこから考えてみたいと思います。
これを考えてみると実に不思議なことなのですが、ふとある一つの共通点が浮かんできます。
実は、多くの悩みは「人との関係の中から発生する」ということです。
そう思いませんか?
もちろん、人との関係ではなく、別の種類の悩みだってあるでしょう。「お腹いっぱい食べたいのに、十分な食物が得られない・・・・」というようなものです。
話を先に進めたいと思います。
人との関係の中から発生する悩みの代表的なものは何でしょうか?
あなたならどのようなことが代表的な悩みだと思いますか?
「自分は友だちに大切にされていない」
「あの人にはいつだってバカにされているような気がする」
「あいつはオレのことを見下しているんじゃないだろうか」
「なんで私だけキツイ言い方されるの?」
「いつも待たされるのはワタシ・・・・」
「なんであの子だけ怒られないの?」
「彼女は、私にいつも嫌なことを言ってくる。なんだか、ムカツク・・・・」
たくさん挙げれば際限がありません。
どうやら、こうした悩みに共通することは何かというと、
「相手に尊重されない」ということなのではないでしょうか。これが悩みの代表中の代表ではないでしょうか?
「相手に尊重されない」という状況は自分にとって屈辱的ですね。できれば即座に解決したいことですね。しかし、尊重してくれないことを嘆いているだけでは、こうした問題はほとんど解決しません。
例えば、友達とお話をしている場面を思い浮かべてください。そこで、楽しく会話が行き交えばよいのですが、「相手ばかりおしゃべりの主導権をにぎってしまって、自分にはほとんど発言のチャンスがめぐってこない。」・・・という状況になったとします。
「〇〇ったら、言いたいことだけ言っちゃってサ・・・・こっちの話なんかぜんぜん聞こうとしないんだから・・・・本当に腹が立つ!」
・・・友だちと、あるいはグループでお話をしているときに、このような事は起こりませんか?
さあ、ここから本題です。
聞く耳を持たないような相手とも上手に付き合っていける方法についてのお話です。
さてさて・・・、そんな方法などあるのでしょうか?
実は、あるのです。
しかもとても単純です。
だれにでもできる方法です。
それによって、人生で得をするのです。
それは「聞き上手になるということです。」
「そんな表現は聞いたことがない!」という人もいるでしょうが、簡単に言うと「相手の話を面白がって聞いてあげる」ということなのです。
さて、この「相手の話を楽しそうに聞いてあげる」というのは一見、「自分を押さえつけるストレスのたまるような方法」に感じられます。しかし、違うのです。
もし、あなたの目の前にいる人が、あなたの話を楽しくニコニコしながら聞いてくれたらどうですか?
・・・・悪い気はしないでしょう。
では、例えば・・・のお話をしましょう。
あなたが、四人の友達とお話をしていると仮定します。その中で、「ウンウン、そうだね」と頷きながら、興味深そうにあなたの話を聞いてくれる人が一人だけいたとします。あなたはどのように感じるでしょうか? あなたは、「ほかの三人に対して」ではなく、あなたの話に耳を傾けてくれる「その一人のために話そう!」っていう気になりませんか?
なるでしょう?
何故か?
・・・つまりこういうことです。「聞き上手になる」という技術は、
「いつの間にか相手が自分のことを大切にしてくれる」
という状況を生み出す魔法のような技術だということなのです。自分を尊重して自分の話に耳を傾けてくれる相手を(普通の人間なら)大切に思うのは、当然のことであると思いませんか?
やってみてください。
「聞き上手は、生き上手」なのです。
だって、あなたの言うことを聞きもしないで一方的に話し続けるような自己中心的な人と、あなたの話を大切にしてくれる人のどちらがいいですか?
誰かが話しているときにその人の話に集中してみて下さい。集団の中であっても、その人はいつの間にかあなたのために話をしているのです。
あなたの存在に気づくというわけなのです。
勉強は大切です。これは間違いありません。しかし、人生の中では上のようなことが実は本当に大切なのではないでしょうか。