第1398回 11月22日の朝礼

2018年11月30日

11月22日(木)、中高の朝礼が行われました。この朝礼は、中学1年生から高校3年生まで在籍1166名全校の生徒諸君が集まる場です。

実は高校3年生の諸君にとって、これが中高6年間の学校生活で最後の朝礼となります。

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近年、大学の選抜方法にも様々な変化が起こっています。

かつて大学入試と言えば、ほとんどが「一般入試」、そしてごく少数の「推薦入試」・・・というものであったと思います。今は、AO入試や推薦入試の拡大に伴って、進路が決定する時期も「人それぞれ・・・」という現象が起こっています。受験生は、それぞれが自身の人生を設計して、それぞれの方法で取り組んでいかなければならないのです。

受験生の彼らにとっての日常は、「毎日、隣の席の友人と同じことをして・・・」というものではなくなるのです。

クラスや学年の友人と同じ時期に定期試験があり、同じ時期に学校行事があり・・・・

これまで友と共に歩んできた彼らも、いよいよ人に頼らず自分の力で生きていかなければならない時が来たわけです。

時には孤独に闘わねばならず、苦しい時もあるでしょうが、これまで仲間と過ごした思い出を力に、立ち向かって欲しいと願っています。

 

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本日の朝礼は、高校3年生に対するメッセージです。

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もう何年も前、私が高校3年生を担当していた時のことです。

 

なんだかいろいろなことがうまくいかない生徒がいました。特に寝不足ではないのに授業では眠たくなってしまう。こちらも起こすのですが、どうしても寝てしまうのです。勉強に身が入らない・・・、そういう状態でした。

 

友達ともなんだかうまくいっているようには見えませんでした。教室の中では、ごく少数の親しい友人と、いつも静かに過ごしている人でした。他にもいろいろなところに悩みがあったようです。

 

恐らく、心が疲れていたのだと思うのです。

 

「だから、眠かったのかなあ・・・」と、私は想像していました。

 

 

いつも眠い・・・・勉強に身が入らない・・・・

 

その様子は、高3の9月になっても改善しませんでした。10月も、11月も同じ状況だったのです。声をかけても、かけても・・・・、うまくいかない日が続きました。

12月の終わりごろ・・・受験生にとって大切な冬休みが近づいてきたある日のこと・・・突然、その生徒は私のところにやって来たのです。そして、・・・いつもとは少し様子が違っていました。

 

「先生・・・」

「どうした?」

「受験勉強、間に合うかなあ・・・」

「うむ・・・・今から頑張ったとしても、これまで一生懸命に頑張ってきた他の受験生に追いつくなどということは簡単ではない。それでも頑張りたいということか?」

「頑張ってみたいです・・・。大学に行きたい・・・。」

「受験勉強は、そんなに甘くはないと思うよ。でも今から、冬休みの間、休みなしでやれば何かが変わるかもしれないね。どうだい、やってみる?」

「やります。」

「よし。」

 

その生徒は、学校で勉強をすることにしたのです。

 

さて、約束の初日・・・9時の約束でした。

その生徒は、約束通りに来たのです。

私は少し驚きました。「もしかしたら、来ないかもしれない」と思っていたくらいでしたので・・・。

 

その日は、お昼まで勉強して、お弁当を食べて・・・、午後も頑張って、夕方まで続けました。

 

次の日も、その生徒は学校に来ました。そしてその次の日も来たのです。そして、12月31日の夕方、いつものように一日の勉強を終えて、その生徒は帰っていきました。「良いお年を!」と言ってその日が終わりました。

そして翌日・・・変わらず登校しました。1月2日も、3日も、来たのです。

 

1月3日の夕方、その生徒が帰るときに、私はこのように言ってみました。

 

「もう大丈夫じゃないかな? ここからは自分でやれると思うし、一人でやる方がいい。」

「はい、自分もそう思います。」

 

その生徒は、それからしばらく私のところには来ませんでした。おそらくその後の1か月の間、自分の人生の時間を大切にしながら過ごしたのだと思います。

 

さて、2月がやってきました。そして入試。ついに本番です。その日が来たわけです。

 

2月後半のある日、一通り入試を終えたその生徒は、私のところに来ました。

 

「先生・・・」

「おう・・・」

「先生、合格しました。第一志望。」

「ええ? 本当に? そうか、おめでとう!」

「ありがとうございます。」

 

「・・・ところで、英語、どんな問題だった?」

 

その生徒は、当日の入試問題を持って来ていました。問題には、自分の答えを書き入れていましたので、さっそく見せてもらいました。

 

・・・すると、なんと、・・・正解に次ぐ正解!

 

「どうしたの? すごいじゃないか。」

「何だか解けました。」と、その生徒は嬉しそうでした。

「合格できてよかったね。おめでとう。」

「ありがとうございます。」

 

 

それから、卒業式が近いある日、その生徒は私のところにやって来て言いました。

 

「先生・・・」

「うん・・・」

「自分の受験のことなのですが・・・・」

「どうした?・・・」

「自分の受験のことを振り返って考えたのですが・・・、実は自分では・・・、自分のやり方は良くなかったと思っています。たまたま結果は合格でしたが、『ちゃんとやった』という気がしません。後輩にも自分のやり方は勧められません。でも、この受験を通じて、自分の何がいけないのかを真剣に考えることができたことは、本当に良かったと思っています。」

そう言って、その生徒は卒業していきました。

 

 

さて、高校3年生のみなさん、こうして朝礼で皆さんに会うのは、今日が最後ですね。次に皆さんにお会いするのは卒業式。これからの一日一日を大切に過ごしていってくれたらと願っています。

 

私たちは学校で祈っています。

(朝礼の内容は以上です。)

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色々なことがうまくいかなかった生徒が、いつの間にか自分で行動するようになり、やがて自分自身をしっかりと見つめるような立派な人に成長するのを見て、私はとても嬉しかったのです。

自分で「よし、やろう!」と決めたこと。その生徒は、自分で自身の人生を切り拓いたのだと思うのです。

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・・・私は、この朝礼で中高のみんなの顔を見ていました。

みんないい顔していましたね。

大丈夫、君たちは立派な大人になる!