第283回 教育実習生の皆さんの貴重な実習体験
今日は、先週の土曜日まで行われた本校の教育実習のことを紹介します。
教員を将来目指す人は、大学生の時代に「教育実習」を経験しなければなりません。とりあえず教職免許を得たいという人も、教育実習の単位を取得する必要があります。今年度は、4名の卒業生諸君が母校での教育実習にやって来ました。一人は実習期間が2週間でしたが、あとの三人は3週間で6月13日から7月2日まで長丁場のたたかいでした。
4名のうち保健体育のA君だけ、6月25日までの実習でした。社会福祉を専門とする大学へ進学して、職業教育・キャリア教育のゼミで学んでいます。就職で行き詰まった若者の就労支援など、いま切実な社会テーマに取り組んでいます。社会のK君は、歴史学科で日本史を専攻しています。日本近現代史のゼミで「横浜と長崎~2港の盛衰」をテーマに研究中です。複数の大学にまたがり手話サークルに入って熱心に活動していました。就活を模索しつつ第一志望の教職に寄せる彼の強い願いを聞きました。数学のT君は理工学部で「ヒューマンメディア工学」を専攻し、人間の感性の世界を対象にその微妙な差異をアンケート分析などを通じて数理的に表現し、商品デザインなど実用的な貢献につなげる研究をしています。中高で続けた陸上競技の鍛錬を大学でも続けています。大学院に進んで研究を深めてから、教職を第一に目指していきたいと語ってくれました。英語のNさんは文学部でイギリス文学を専攻しています。シェイクスピアから英文学に興味を持ち、今は19~20世紀の現代作家を選んで研究しています。大学ではチアリーディング部で仲間と目標を掲げハードな練習を頑張ってきました。教員への志望は彼女もかなり明確に持っていて嬉しかったです。
ここ数年、大学生の就活の厳しさは増すばかりです。大震災の影響から正規採用を更に控える傾向も強まっています。教育実習の2~3週間の間にも、説明会や面接で駆け回っている大学の友人や知り合いが大勢いることでしょう。
その中で実習生諸君は、母校で奮闘しました。授業の見学と準備、何回かの試行を経て研究授業の実施が本線です。朝と帰りのHR、そして掃除等でもクラスの生徒達と交流を深め、学年の総合学習にも参加し、懐かしい部活に顔を出したり、配布物や日誌などでも関わり、やっとクラスの大部分の顔を覚えて時期に実習は終わりとなります。かつて生徒だった母校と生徒達を「教員室」の視点から見直し、お世話になった先生方の仕事ぶりを実習生の立場から見直す機会でもありました。
将来の進路選択へ向けて、有力な選択肢として「教職」を掲げる諸君にエールを送ります。教職の大変さも楽しみ、やり甲斐も垣間見えたこの実習体験を、どんな分野へ進もうとも、今後の人生に生かして欲しいと思います。
今回の貴重なたたかいの日々を糧に加えて、残されたそれぞれのキャンパスライフを充実したものにしていって欲しいです。