第1440回 合唱コンクールの前日に思うこと
湘南学園中高合唱コンクールは、今回で第30回目を迎えることになりました。気がつくと立派な本校の伝統行事になりました。まずは、この合唱コンクールの運営を粘り強く進めてくれた実行委員会のみなさん、お疲れ様でした。そして本当にありがとう。
湘南学園の生徒諸君の歌声は、やわらかで暖かい。これは第1回合唱コンクールのときから変わらない。友を思う心が歌に込められているのです。
コンクール当日は、各クラスがそれぞれの思いを込めて晴れの舞台で歌声を響かせてくれる。会場は温かく素敵な空間となります。
私は・・・、
実は・・・、
合唱コンクールの前日がずっと好きでした。何度も何度も修正箇所を確認しながら、明日の舞台に向かってクラスの仲間が寄り添い合って最高のハーモニーを求めていく姿を見るのは何とも言えない。
「では、次が最後です!」と、リーダーがクラスのみんなに声をかける・・・・
「そうか、次が最後か・・・・」
「この教室で練習するのも最後になるのか・・・」と、切ない思いがこみ上げてくる・・・・
そして、最後まで歌い切り、「じゃあ、あしたね!」と言って学校を出る・・・・
特に・・・、高校2年生にとって合唱コンクールは特別なもの。
春の体育祭、秋の学園祭、そして研修旅行・・・・。友と共有する楽しかった時間を振り返り、この合唱コンクールが「自分たちの最後の思い出の行事」となることを思うと、「大切な本番に向かって懸命に練習をするのだけれども、本番当日は来てほしくない・・・・」という複雑な気持ちでいっぱいになる。
そういう彼らの姿をすぐそばで見ていると、学生時代のもっとも大切な瞬間のひとつに立ち会っているという感動を覚える。教師としてもっとも「贅沢な瞬間」を生徒から与えてもらっている・・・。
「前日の最後の歌声」が、教室に響き渡る・・・。
(明日は、観客席から見ているよ。力を合わせて頑張ってね・・・。)と祈る。
クラス合唱は、歌いたいという気持ちと「あまり歌は好きではないのだ・・・」という気持ちが一つの教室の中に同居するところから始まる。だから練習は最初からうまくいかないことがある。しかし、やがて、それぞれが互いの思いを理解しようと寄り添い、力を合わせ始めるころから温かい空気に包まれる・・・・・、教室にいいハーモニーが響き始める・・・・。日ごとに笑顔が多くなる・・・・。本番を迎えるまでのクラス合唱には、もう一つの輝きがある。この合唱コンクールに向けて友と共有した時間の一瞬一瞬が、君たちの人生の宝物であってほしい。