第214回 桜の花に見守られて、中学校入学式を実施!
日に日に桜の花がどんどん咲いています。同じソメイヨシノでも、すっかり満開になっているスポットもあります。湘南学園中高も、今の校舎が建築された時に表通りに沿って植樹された桜の木が、年々育ってきました。まだ小ぶりですが、ほんのり桜の花が咲いている姿は可愛く、今日の良き日を祝ってくれました。
中学校入学式は、アリーナで開催されました。例年通り、生徒会の総務委員や新入生歓迎実行委員の諸君が、新入生と保護者の受付や誘導で手伝ってくれました。開式は、吹奏楽部の演奏~♪Flashing Winds♪~で始まり、力強く華やかな演奏に大きな拍手が寄せられました。学園歌斉唱、校長式辞に続いて、教頭より学校執行部と中1学年会スタッフの先生方の紹介がありました。
その後5クラスの担任より、クラス全員の名前をそれぞれ読み上げ、新入生の皆さんはその場で返事をして起立しました。各担任から、点呼の後で新しいクラスの願いについて一言メッセージがありました。
「歓迎の言葉」は、在校生を代表して中3の田中智大君がスピーチしました。野球部の選手で成績もグングン伸ばしている頼もしい先輩です。中学生になったら自分の行動や発言に自覚と責任を持ち、周りの友達や先輩との話し合いや協力を大事にして、勉強を頑張りながら部活や学校行事でも目標を持って取り組んで欲しいという呼びかけでした。
「新入生挨拶」は、新入生を代表して岩尾波輝さんがスピーチしました。満開の桜に見守られて、新しい扉を開く希望いっぱいに心はずませて今日を迎えたこと。大震災の被災地の早い復興を祈りながら、自分達に出来ること考えて実行したいこと。中高時代は将来の自分の土台を築く大切な時代なので、先輩や先生の力をかりて1つひとつ困難を乗り越えていきたいこと。勉強、学校行事、部活動など一生懸命に取り組み、楽しみ、一日一日を大切に過ごしていきたいこと。ここで生活を共にする仲間を一生の宝物にしたいこと。そして入学式の準備をして下さった教員と、いつも寄り添ってくれる家族への感謝の気持ちが表明されていました。
岩尾さんの挨拶を対面の位置で聞いていて、語り口の温かさや説得力に深い感動がこみあげました。話す姿はとってもすてきで、中1とは思えないほどのおちつきと気品に満ちていました。
その後、保護者の方々は残っていただき、学園長からご挨拶があり、学校法人とPTAからご案内のお話がありました。新入生の皆さんはクラス毎の記念写真の撮影があり、教室へ入りました。「学級開き」では担任の自己紹介やクラスの願い表明、様々な連絡がありました。おおぜいの保護者の皆様が立ち会って参観して下さいました。ご両親でお揃いのご家庭、ご家族多数でお越し頂いたご家庭も多く、皆様の入室をかなえられずに申し訳なく思いました。
帰りには入学式の立看板の前で、お子様とご家族のお写真を撮られるご家庭が続きました。多くの皆様に声をかけていただいて本当にありがとうございます。学年教員スタッフの連携と全校教職員の協力を大切に、新入生の皆さんの中学生活スタートを指導し、見守ってまいります。
それでは、本日入学式の校長式辞の内容を紹介させていただきます。
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。
私は、本校の校長を務める山田です。よろしくお願い申し上げます。
今週後半になって、一気に桜の満開の時期がせまってきました。
この良き日に入学式を迎えることができました。
さて本日、この入学式には、
学校法人を代表して、理事長の、高尾 信様、
PTAを代表して、PTA会長の、辻 彰彦様、
そして全学を代表して、学園長の、仲本 正夫先生、
以上の方々の、ご列席を頂いております。
湘南学園全体を代表して、一同、心からお祝い申し上げます。
さて新入生の皆さん、新しい制服に身をつつんだ感じはいかがですか。
今日からいよいよ、中学校生活がスタートします。
ここには男子97名、女子94名、合わせて191名の人たちがいます。
皆さんのお住まいは、神奈川県の全域や県外にもまたがっています。
中にはたとえば、小田原・中井・熱海方面や、厚木・秦野方面、川崎方面、横須賀・葉山方面などから、電車やバスを乗り継いで、新たな通学を始める人たちもいます。本当にいろいろな所から、この新しい学年に集まってくれました。
皆さん、この出会いを大切にしましょう。
これから6年後、この湘南学園の高校を卒業するまでの間に、まずここにいる学年の仲間達と、いっぱい交流の輪を広げていきましょう。
さて皆さん、この入学式でまず、大切な事柄をお話しなくてはなりません。
この春休みに続いた様々なニュースに、皆さんはどんな気持ちで接していましたか。
去る3月11日、東北関東地方におきた巨大な地震と津波によって、2万人を越える人たちがいのちを奪われ、行方不明になりました。
家も、財産も、根こそぎ奪われた人たちは、もっと大勢います。
さらに今も続く原発の危機が加わって、遠く離れた土地で避難生活を続ける人たちは、大変な人数になっています。皆さんと同じ世代で、家族を、また故郷の地を失って、通う学校が決まらずにいる人たちも、大勢いるのです。
ここで、皆さんに注目して欲しいことがあります。今回の大震災を受けて、実に多くの人たちが、さまざまな支援に立ち上がっていることです。
被災した現地では、家族や我が家を失った住民の方々まで、身を粉にして周りの人たちを助けています。全国各地から、緊急の物資や義援金が続々と届けられています。
様々な業界や団体や会社が支援に立ち上がり、テレビに出る有名な人びとにも行動が広がりました。人命救助のためすぐに海外からかけつけてくれたボランティアの方々は、20か国近くから約千名もいました。日本への支援活動を進める、またこれから予定の国や地域は、世界で140か国近くに及んでいます。
現地の情報は、インターネットですぐに世界中の人びとに届く時代になりました。
広い世界はちゃんとつながっているし、お互いに助け合っていけるんだと実感できることは、未来に希望を拡げていけることです。
皆さんには、自分のいまの暮らしについて、もう一度大切に受けとめ直して欲しいと思います。いつも当たり前だった電気や鉄道が、止まることがあること、スーパーに行けばいつも必ず手に入っていた食材が、棚から消えることがあること。世の中は、様々な人たちの仕事がつながって成り立っていることに気づきましたね。
この機会に改めて、毎日の自分のいのちと暮らしを支えてくれるご家族の人たちや、世の中の人びとに、感謝の気持ちを持ってほしいと思います。また自分自身がこれから先、社会に対して、どんな形で役に立っていけるのかも考えていきましょう。
湘南学園があるこの地域は、小田急線や江ノ電の通行を保証するため電力会社がとった対応と同じ区域にあるため「当面は計画停電の対象とはならない」との朗報が届いています。新学期のスケジュールは、しばらくは予定通り進めていけそうです。
ただし何か不測の事態がおこれば、変更や制約を余儀なくされる可能性もあります。皆さんもふだんから節電に努め、学校の備品や施設を大切に扱い、校内の美化に協力して下さい。
ではこれからの学校生活で特にお願いしたいことを、3つにまとめてお話しします。
第1番目は、皆さんの周りの一人ひとりを大事にして、新しい友達の輪を広げていくことです。
学園小学校から進学した皆さんは、クラスが一緒になった友達を見つけて、もうさっそく声をかけたかも知れません。
一方、受験で合格して入学した皆さんは、この時点ではいわば「ひとりぼっち」ですね。期待の一方で緊張や不安もいっぱいあることでしょう。
でも皆さん大丈夫です。日に日に新しい友達ができます。クラスや学年だけでなく、この先クラブや学校行事などで、優しい先輩達とも知り合いになれます。
まず今日から、同じクラスの隣の人、近くの人、さびしそうな人に、少し勇気を出して声を掛けてみて下さい。そのうち電車などでも、一緒になれる知り合いが出てきて、毎日の通学が楽しみになっていくと思います。
クラスには、身体の大きな人もいれば、小さな人もいます。おとなしい人もいれば、元気で少しうるさいくらいの人もいることでしょう。
みんな顔が違うように、人間は性格も個性も様々です。
気をつけて欲しいことは、見かけのいろんな違いを理由に、他の人を攻撃しないことです。「あいつは変だぜ」とか「あいつはきもい」みたいな悪口は、絶対に慎みましょう。からかい、おちょくり、悪ふざけ、暴言などが重なり、いじめや大きなけんかにつながることもあります。また仲がいいんだからとつい乱暴な言動をして、相手を傷つけることもおきやすいものです。
「親しき中にも礼儀あり」という言葉がありますが、皆さん、どうか心機一転して、まわりの人たちを大切にするようにしましょう。
お互いに気持ちよく、安心して学校生活を送れるように、心がけましょう。
この中高の6年間で学ぶのは、勉強だけではありません。
人間関係の大切さについても、いろんな機会に学んでいって欲しいと思います。
2番目のお願いは、自分から進んで学習する中学生に成長することです。
中学になると、授業を担当する先生は毎時間変わります。「算数」は「数学」と名前が変わって難しくなります。新たに「英語」も始まります。各教科の宿題も、小学校の頃よりずっと多くなって、復習や予習も必要な時が出てきます。
皆さんは、中学受験へ向かって猛勉強したり、「まとめのテスト」へ向けて総復習をしたりしてきました。でもそれは、塾での受験指導や、先生方とご家族のバックアップがあって、やっと進めてこられた勉強だったと思います。
中学や高校では年に数回、いろんな科目のテストが続く「定期試験」も行われます。一人ひとりの成績もバッチリと出されて、皆さんやご家族のもとに報告されます。
そして6年後には、大学進学という、重要な旅立ちが待っています。
皆さんどうか、高い学力を身につけ、自分が進む将来の進路を選び、あこがれの大学に合格して進学しましょう。
そのために、中学生になると、自分から進んで取り組む学習習慣を身につけることが重要になります。まず毎日の授業にしっかり集中しましょう。先生の話をよく聞き、ノートをこまめに取り、指示された作業や宿題、復習に積極的に取り組みましょう。
特に自分の好きな教科は、好奇心や興味を持って関係する本を探して読んだり、テレビやネットでも知識を増やし、世界を広げていきたいものです。
中学では、取り組みを時々チェックする「小テスト」や「単元テスト」も行われます。それはある程度時間をかけて準備すれば、満点を取れる内容です。
皆さんに呼びかけたいメッセージは、「小さなパーフェクト」です。
パーフェクトとは、完璧にやることを指します。
勉強は何よりも、「一歩一歩地道に積み上げていくこと」が大切です。
どの教科も、できるだけ「小さなパーフェクト」を心がけ、丁寧な努力を重ねて、
勉強に自信をつけていって欲しいと思います。
3番目、最後のお願いは、いろんな本をたくさん読んで、自分の世界を豊かに拡げることです。読書の習慣を身につけて、「考える力」や「感じる力」を豊かにしましょう。
皆さんは、小学校時代にすごく感動したり、心に残っている本はありましたか。
図書館や図書室へは、よく行きましたか。
この学園の図書室は、皆さんの教室のすぐ近くにあります。ぜひ早めに行ってみて下さい。日当たりが良くて、すごく気持ちのくつろげる、すてきな部屋です。
3万2千冊もの本が並んでいて、絵本やCD・DVDも置いてあります。
司書の先生に、新入生にお勧めのビジュアルな本を何冊か、紹介してもらいました。今日はその中から2冊選んで、例としてお見せします。
1冊はこれです。『たべよう!つくろう!47都道府県、郷土料理のおいしいレシピ』
という本で、これは東日本編です。
日本全国の各地には、とっても美味しい、すてきな御馳走がいっぱいあります。
この本は、北海道から沖縄まで、各地の有名な料理とレシピが写真入りで紹介されています。では皆さん、神奈川県では何が載っていると思いますか。
まず・・・「けんちん汁」でした。もとは鎌倉の建長寺が発祥といわれる精進料理です。あと江の島でも有名な「生しらす丼」や、横須賀の「海軍カレー」、横浜中華街で生まれた「サンマーめん」などが載っていました。
もう一冊はこれです。『目で見る数学』という絵本です。人間は大昔から世界を見つめ、ものを数えて測って、仕事や生活と結びつけて数学の世界を究めてきました。
この本には人類が太陽や月から暦をつくり、エジプトの巨大なピラミッドやローマの水道橋を築いた古代から、この現代までの数学をめぐる歴史のドラマが紹介されています。すごく中身が濃くて、しかも絵本なのです。
皆さん、図書室にはこんなステキな本がいっぱいあります。大きな本屋さんとか街の図書館でもなかなか見つからない、選りすぐりの素晴らしい本がたくさんあります。ぜひ図書室に行って、いろいろ探して、直接に手に取ってみて下さい。
学年でも、「朝読書」の時間を設けることを決めています。
「朝読書」では、それぞれ読みたい、好きな本を持ってきて読みます。
多くの人達が小説を読んでいます。いまはやりの人気作家の作品から、定評ある日本や世界の名作まで幅広く読んでいるようです。通学の電車の中で本を読む習慣がついて、一年間に30冊も40冊も読むようになった先輩たちもいます。
良い本に出会うと、自分の悩みや苦しみについてヒントをもらうことがあります。
自分だけが悩んでいるのではないと気づいて、解決の方向が見えてくることもあります。また、将来の自分の夢や目標を描けるきっかけになることもあります。
大学ではこんな勉強をしてみたい、将来はこんな仕事で頑張ってみたい、こんな人生を送っていきたい、という希望がわいてくると嬉しくなります。
人生は、ある意味ではとても短いものです。良い本をいっぱい読まなければ、もったいないともいえるでしょう。一人ひとりの生活や人生は、限られた幅の中にありますが、本を読むことで世界がグンと広がるものです。
以上、3つのテーマについてお話ししました。
友達の輪を自分から広げていこう、勉強は自分から進んで積極的に取り組もう、
読書にどんどんチャレンジしよう、この3つです。ぜひ心がけて下さいね。
ここにお迎えした皆さん一人ひとりが、この湘南学園で楽しく充実した生活を送り、ぐんぐんとご成長されることを心から祈って、式辞を終わらせていただきます。