第566回 巨大店舗の再建へ向けた協力と努力に学ぶ
『ガイアの夜明け』というテレビ番組に注目しています。テレビ東京で火曜日に放映される、経済ドキュメンタリーの番組です。
先行きの見えない混迷する日本社会のさまざまな現場で、懸命に働き、仕事の業界やニッポンの再生を目指して奮闘する人たちを追いかけている番組です。登場する人びとの生き方にいろいろと励まされ、元気をもらう思いで観ています。
先月末の特集は、「反日暴動に負けない!平和堂・45日間の全記録」でした。ていねいな密着取材により、中国現地でビジネスを展開する日本企業の底知れぬ苦闘と、そこで働く中国人従業員の切ない願いが浮き彫りになり、深い感動を与えてくれました。
将来海外で働く可能性もある在校生諸君にも、国境を越えた仕事の協力と努力のあり方を伝えたくて、少し時間は経ちましたが、ここで紹介したいと思います。
9月中旬の数日間を中心に、中国の多数の都市で、尖閣諸島問題から反日デモが勃発しました。湖南省に百貨店3店舗を展開する日本の平和堂は、反日デモの襲撃に会い、店舗の閉鎖を余儀なくされます。
多くのテナントが破壊され、激しい略奪があり、被害総額は約35億円にも達しました。乱入の場面と荒れ果てた店内の様子には息をのむばかりです。店舗は警察の管理下におかれてしばらく掃除も出来ず、現地の日本人幹部社員はホテルをしばらく転々とします。
悔しい思いをしたのは中国人の従業員も一緒でした。当日暴徒と化したのは日雇い労働者や無職の若者達でした。「心が痛みます」「大部分の中国人は良い人達なのに・・・」と泣きながら語ります。ひとりも会社をやめずに、“撤退か否か”の岐路を前に日本から現地入りした夏原社長を待ち、「再開させたい」「頑張りたい」と涙ながらに語ります。
社長は、きれいな店舗がこんなみじめな状態になったことを嘆き、子どもを想う親の気持ちや家を失った家族の気持ちを例に出して、「待っているお客様のために」「また良い店をつくろうとの思いを一緒にして、早く新しいお店を再開したい」と宣言するのです。用意したはっぴを皆で着込み、一人ひとりと握手する誠実な社長の姿が立派でした。
若い従業員達は「店を支えていきます」「頑張りますから社長さんは安心して下さい」と社長に声をかけ、「この悲しみを力に変えていきます」と決意を語るのです。(次回へ続く)