第579回 スポーツを通じた新たな国際交流

2012年12月4日


 朝のNHKニュースで、ある嬉しいミニ特集を観ました。極東ロシアのサハリン州で、子どもから高齢者まで多くの人たちが、日本人専門家の指導を受けながら「ミニバレーボール」を楽しんでいるというニュースでした。

 ミニバレーボールは、ママさんバレーの指導から日本で生まれて40年経つそうです。柔らかいボールと低いネットを使って気軽にプレーできることから、幅広く老若男女に勧められるスポーツです。それが、極東ロシアの各地で人気のスポーツになってきたというのです。
 冬の長く厳しいロシアでは、人びとの慢性的な運動不足が悩みでした。若い世代だけでなく高齢者もミニバレーの楽しさに開眼し、サハリンでは幼児教育の場でも組織的に導入されて、小さな子ども達がおおぜい熱中して楽しむようになったそうです。怪我の心配も少なく体調を維持させ、何よりも皆で楽しめること。また試合を通じて観客も団結させ、出会いや触れ合いを広げられること。日本ミニバレー協会の指導者の方々のリードを受けて、サハリンの担当者の人たちは愛好者の増加、更なる普及を図っているそうです。
 ミニバレーは日本国内では北海道が中心であり、東北の被災地でも静かに広がっているそうです。「日露ミニバレー交流セミナー」等を通じて、ロシアの内陸部やモンゴルにも、生涯ス
ポーツの1つとして普及し始めているそうです。

 サハリン・極東ロシアといえば、北海道より更に北に位置する寒い地域のイメージがまずあります。漁業資源や石油・天然ガスなど国際経済の熱い視線が集まる地域の1つでもありますが、日本とロシアの間の北方領土問題の延長もあって、「近くて遠い所」のイメージが残っているでしょう。
 そこに日本発祥の身近なスポーツを通じてこのような国際貢献、国際交流が進んでいる事実を知って、心が温かくなりました。民間レベルでのこうしたつながりを地道に積み重ねていくことが、国際平和の土台を頑丈にしていくのでしょう。