第646回  中高始業式の日~新しい学年が今日からスタート!

2013年4月9日

 今日は、全校生徒が登校します。昨日の入学式を経た中学1年の新入生は、クラスごとの「LHR」の時間から始まります。中2~高3の在校生の皆さんは、アリーナで各自の新しいクラスを確認し、中高始業式に臨みます。
 その後、中1新入生と中2以上の在校生の「対面式」を行います。今年度から始める新しいイベントです。その後新入生は学校からのガイダンスを受けて教室に戻り、他の在校生は基本的にフロアごとに自分の机と椅子を新クラスに移動して、どの学年もLHRを行います。
 そして中1の皆さんは、昼食をとってから、午後に生徒会主催の「新入生歓迎会」を体験してもらいます。春休み中から直前まで、実行委員会の先輩達が工夫をこらして準備してきたイベントです。
 以上の様子は、明日の通信でお伝えいたします。

 

 さて、昨日の中学校入学式は、春爛漫の素晴らしい天気に恵まれました。
 前日にJR東海道線で起きた事故の関係でダイヤが混乱し、予定時刻に間に合わないご家庭もあって、開始時刻が15分以上も遅れてしまいました。受付やアリーナで新入生・保護者の皆様を長い時間お待たせしたことについて、改めてお詫び申し上げます。
 吹奏楽部の♪マーチ「ブルースカイ」♪の軽快な奏楽で式が始まり、開式のことば、校長式辞、山口教頭による教員紹介と続きました。
 新入生紹介は、各クラス担任が名前を読み上げ、新入生が返事をしてその場に起立していく形で行われました。初々しい新入生の皆さんの制服姿と、はきはきした返事の様子がとてもさわやかでした。こんなクラスにしていこうとの担任の呼びかけも簡潔に心に響きました。

 
 新入生歓迎の言葉は、生徒会中学副委員長の中3樋口諒君が担当しました。新入生がいま抱える不安は学校生活を送る中でなくなるので大丈夫です!の励まし。勉強が難しかったり部活で大変なこともあるけど、特に学園の学校行事はとても楽しくてクラスの友達や先輩との絆を深められる機会がたくさんあること。夢中になれることを見つけ、苦手な人にも声をかけて認め合える努力も心がけて世界を広げて欲しいこと。先生や両親におこられることもあるけど、今日のお父さんお母さんの喜びを心にとめ、悩むことは先生方に相談して、自分の進むべき道を探して下さい~と温かいメッセージを寄せてくれました。
 新入生代表の挨拶は、一色礼智君が担当してくれました。新品の制服を着て鏡の前に立つとあこがれだった中学校生活に心がはずみ、学園生活がさらに楽しみになったとの始めの言葉が印象的でした。まずは勉強をがんばり、特に数学では知識を活用して難しい問題を解けるようにしたいこと。身体を動かすのが好きなので色々見学して運動部で6年間続けてがんばりたいこと。新しい友達や先生、先輩達とうまく関われるか不安もあるけど、助言を求め気づかいにも努めて関係をつくりたいこと。6年間で物の感じ方が変わり心も大きく成長する中で自分の夢を探していきたいこと。最後に先生方と家族への感謝を述べてスピーチをまとめてくれました。

 

 その後、新入生はホール前でクラス毎の記念撮影を行い、保護者の皆様には学園長先生の挨拶、学校法人とPTAからの挨拶と説明があり、その後中1教室へご案内して、各クラスの学級開きを参観して頂きました。お帰りの際には、校門前の立看板の前で、ご家族の記念撮影をされるご家庭が多数いらっしゃいました。私もご家族の大切なお写真に入れて頂くことが続き、ありがたく嬉しい思いでいっぱいでした。誠にありがとうございました。

 

 最後に、入学式における校長式辞の内容を紹介させて頂きます。

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。私は、本校の校長を務める山田です。よろしくお願い申し上げます。今年は、桜の開花が早くて、桜前線はもう北陸地方~東北地方へと北上しています。代わって街や公園は、徐々に新緑の季節を迎えようとしています。春爛漫の晴天に恵まれた、この素晴らしい日に、皆様を迎えることができました。
本日この入学式には、学校法人を代表して、理事長の、辻 彰彦様、PTAを代表して、PTA副会長の、種子島浩子様、そして全学を代表して、学園長の、仲本正夫先生。以上の方々の、ご列席を頂いております。湘南学園全体を代表して、一同、心からお祝い申し上げます。

新入生の皆さんは、新しい中学の制服に身をつつんで、さぞ緊張していることでしょう。ここには男子107名、女子94名、合わせて201名の人たちがいます。
そして湘南学園は、今年度の秋に、創立80周年を迎えます。皆さんの入る校舎の隣には、「80周年記念館」という新しい建物が着工されました。その中心になるのはカフェテリア、つまり食堂です。美味しくてヘルシーなメニューに恵まれて、友だちとくつろげる、新たな場所が加わります。長い歴史を示す「80周年」という記念すべき年に、皆さんは入学されました。皆さんのお住まいは、神奈川県内の様々な地域や東京都内まで、広くまたがっています。中には1時間半以上もかけて、新たな通学を始める人たちもいます。本当に様々な地域から、湘南学園のこの新しい学年に集まってくれました。中学入試を経た皆さんは、受験生がとても増えた大激戦をくぐられた人たちです。受験勉強ですごく頑張って、鍛えられていることは間違いありません。また学園小学校から進学された皆さんは、勉強でも行事でもすごく積極的で活発だったことで定評ある皆さんです。総合学習でも初の「雪の学校」でもおもいきり頑張った様子は、私たちにも伝えられています。新しい中学1年を共に創っていく皆さんは、きっと意欲やパワーにあふれる学年集団をつくっていくことでしょう。特に学年の先生方は、皆さんとの出会いをすごく楽しみにしています。
この湘南学園の高校を卒業するまで、6年間の大切な時代が始まります。まずここにいる学年の仲間達と、いっぱい交流の輪を広げていきましょう。そして大人になってからも、ここでともに生活し、いろいろなことに取り組んだ友達とのつながりを、末長く大切にしていって欲しいと思います。

これから始まる中学~高校時代に、皆さんは子どもから大人へ向かっていきます。「思春期」と呼ばれる時代であり、身体も心も大きく変化して成長していきます。湘南学園は、この時代に皆さんが、様々な教科の学習に取り組み、学校行事やクラブ活動を通して仲間とともに挑戦する舞台です。また社会に生きる人びととおおぜい出会い、海外の若者たちと交流する機会もたくさんある場所です。時には様々な悩みをかかえ、試行錯誤し、時には大きなドラマをくぐっていかれることでしょう。そして自分の個性や可能性を自覚し、希望する将来の進路を見つけて、それぞれ旅立っていくことになります。

皆さんへの一番の願いは、たった一度の人生を大切にすることです。それぞれの人生の舞台で、充実した仕事や生活をつかみ、揺るぎない幸せを築くことです。そのためには、広い世の中に目を向けることも大切です。
いま日本と国際社会は、さまざまな困難や課題に向き合っています。ここで、東日本大震災と福島原発事故について、改めて考えてみましょう。あの日の出来事、計画停電や品不足にいろいろ苦労した日々。皆さんはちゃんと思い出すことができますか。2年以上も経って、だいぶ風化してきているはずです。被災地に関する現在の報道に、時々は関心を向けているでしょうか。

大震災では1万5千人を超える人が亡くなり、行方不明の人はまだ2600人以上もいます。現在も約31万5千人の人たちが全国各地に避難したままであり、そのうち11万人以上の人たちは仮設住宅で暮らしています。地震や津波による「震災がれき」は、全国で年間に出る生活ゴミのほぼ半分にもなり、二年間経ってもまだ半分ほどしか処理できていないそうです。原発事故に直面して、まだ町全体で避難を続ける自治体もあります。いつか故郷に帰りたいと祈りながら、自宅も想い出も全て残してもう戻れないと断念した人たちもいます。仕事や子育てで離ればなれに暮らし、意見の違いに引き裂かれる家族もいます。

ずっと当たり前だった暮らしが、広い範囲で突然崩れる可能性もあるということを、私たちは深く知らされました。同時に世の中は、様々な人たちの仕事や善意がつながって成り立っていることを、深く理解するすることも出来たはずです。震災からの復興へ向けてはかりしれない努力が重ねられる中で、人びとの助け合いが広がり、お金儲けや競争に勝つことだけを最優先する風潮はおかしいと思う人びとが増えています。本当の生きがいや幸福を求める、大事にする考え方が広がっていることに、希望を見出していきましょう。

皆さんの将来には、広い世の中が、大きな可能性が広がっています。将来はきっと自分にふざわしい進路や仕事を選び、社会や地域で人の役に立つ生き方をしていきましょう。愛する人と出会って温かな家庭を築き、心が通いあい感謝の気持ちで結ばれる人間関係に恵まれて、元気で生きていきましょう。この湘南学園は、その旅立ちへ向けて皆さんが様々な分野で学び、様々な体験や交流を重ね、希望いっぱいに社会へ進むための拠点になるのです。

それでは、これからの学校生活で大事にして欲しいことを、3つにまとめてお話しします。第1番目は、これから出会う周りの一人ひとりを大事にすることです。学園小学校から進学した皆さんは、クラスが一緒になった友達を見つけて、さっそく声をかけたことでしょう。一方受験で入学した皆さんは、今は「ひとりぼっち」です。緊張や不安につつまれていることでしょう。でも大丈夫です。日に日に新しい友達はちゃんと出来ます。クラスや学年だけでなくこの先、部活動や学校行事を通じて優しい先輩たちともどんどん知り合いになれます。まず今日から、クラスの隣の人や近くの人、さびしそうな人に、少し勇気を出して声を掛けてみましょう。通学の電車もチャンスです。自分から寄っていって挨拶してみましょう。どんな所でも人間関係でも、大事なのはまず挨拶です。

皆さんは、身体の大きな人もいれば小さな人もいます。おとなしい人もいれば活発でおしゃべりな人もいます。みんな顔が違うように、性格や個性は様々です。気をつけて欲しいことは、見かけの違いを理由に相手の気持ちを考えない言葉を慎むことです。いじめは絶対に許されません。いじめは大抵、小さな「言葉の暴力」から始まります。「お前きもい」とか「あいつは変だぜ」といった悪口や陰口を言わないことです。悪ふざけや暴言が重なり、いじめや大きなけんかにつながることもあります。「親しき中にも礼儀あり」という格言を知っていますか。気心が知れている相手だと、よけいに乱暴を重ねて傷つけやすいのです。メールも気軽にできる時代ですが、メールをめぐるトラブルもすごく起きやすいので注意が必要です。
一番大事な鉄則は、「自分が言われたら嫌な事は相手には言わない!」ということです。お互いに気持ち良く生活できるように、相手の気持ちを思いやれる人間になりましょう。学校で学ぶのは教科の勉強だけではありません。人間関係の大切さについても学んでいきましょう。

第2番目は、自分から進んで積極的に学習する力を身につけることです。中学の授業は毎時間、担当の先生が変わります。「算数」は「数学」と名前が変わり、「英語」を始め新しい教科が始まります。宿題も小学校の頃よりずっと多くなります。年に数回、いろんな科目のテストが続く「定期試験」があります。一人ひとりの成績も詳しく示されて届けられます。大事なことは、自分から進んで取り組む学習習慣を身につけることです。授業にしっかり集中してノートをきちんと取ること。指示された作業や復習に積極的に取り組むことが基本です。時々「小テスト」や「単元テスト」も行われ、家庭学習の定着が求められます。皆さんへ届けたい勉強のメッセージは、「小さなパーフェクト」です。100点満点を取るのは大変でも、小テストで10点満点を取ったり、宿題を完璧にやって出すことは、誰もが出来ることです。一歩一歩地道に積み上げていくことが、勉強の基本です。「集中力」と「続ける力」が一番大事なものです。まず「小さなパーフェクト」を心がけて、勉強に自信をつけていきましょう。
その上で、自分の好きな教科や興味のある分野は、好奇心を発揮しましょう。学校の授業だけが勉強ではありません。本やテレビ番組やネットの情報、また旅行や見学を通じても、知識をいろいろ広げ、ワクワクする発見に出会えるものです。人類がたくわえてきた文化や、科学や、芸術は、すごく奥深くて究めきれない世界です。たくさんの発見と出会いがある6年間であることを期待します。

関連して第3番目には、いろんな本をたくさん読んで、新たな世界と出会い、視野を拡げることです。読書の習慣を身につけて「考える力」や「感じる力」を豊かにして欲しいと願っています。皆さんは、小学校時代にすごく感動したり、心に残っている本はありましたか。いま誰かに紹介したい、「とっておきの本」はありますか。
町の図書館や、学校の図書室や、大きな本屋さんへはよく行く方でしたか。
この学園の図書室は、皆さんの教室のすぐ近くにあります。ぜひ早めに行ってみましょう。日当たりが良くて気持ちのゆったりするすてきな部屋です。3万数千冊の本が皆さんを待っています。絵本や、CDやDVDも置いてあります。お勧めの本には、司書の先生や図書委員会の先輩たちが書いた、お勧めのガイドもついています。中学1年の先生方は、「朝読書」の時間を設けることを決めています。「朝読書」では、それぞれ読みたい好きな本を家から持ってきて読んでもらいます。一番人気はやはり小説です。いまはやりの人気作家の作品から、定評ある日本や世界の名作まで幅広いです。通学の電車の中で本を読む習慣がついて、一年間に何十冊も読むようになった先輩たちもいます。
良い本に出会うと、将来の夢や目標につながるきっかけになったり、悩んでいる事やつらい事にヒントを得たりすることもあります。一人ひとりの生活や人生は限られた幅の中にありますが、読書によって世界が豊かに広がることは間違いありません。学校の図書室や大きな本屋さんにちょくちょく行ってみましょう。じっくり探検する気持ちで、気になる本をどんどん手に取ってみましょう。

以上、3つのテーマについてお話ししました。自分から進んで周りの人たちに声をかけて大事にしていくこと。勉強を自分から進んで積極的に進めていくこと。そして読書に励んで自分の世界を広げていくことです。この3つのことを心にとめて、楽しく充実した学校生活を送り、夢を広げて成長していってほしいと思います。

最後になりますが、保護者の皆様方へ改めてお伝えいたします。湘南学園は、保護者の皆様と教職員の連携を大切にする私学です。様々な教育活動で、お母様方、お父様方のご協力を戴きながら運営しております。新入生と保護者の皆様をお迎えできたご縁を大事にして、教職員一同、精いっぱいの関わりと指導を期して頑張ってまいります。どうかご協力をお願い申し上げます。
それでは以上で、私の式辞を終わらせていただきます。ありがとうございました。