第647回 全校対面式と新入生歓迎会~先輩からの優しく熱いメッセージ!

2013年4月10日

 今日は、中学高校の6学年でそれぞれ、学年集会とクラスのLHRが行われます。学年の先生方からは、今年度の各分野における重点目標やメインテーマが説明されます。教科の学習、生活指導、生徒会行事、総合学習や研修旅行、学年イベントなど多岐にわたりますが、それぞれ担当の先生から判りやすい説明がなされることでしょう。
 LHRでは担任の先生の自己紹介やクラス運営の願いが語られ、新しいクラスメイトが自己紹介や時にはゲームを通じてお互いを知り合い、生徒会・クラスや行事などの役員・担当者決めにもつながっていくはずです。

 

 昨日の中高始業式では、校長の話に続いて、生活指導主任の福田先生からは、生徒の人間関係について配慮ある言葉や関わりは卒業後も続く大切なつながりにも続くこと、特に登下校のマナーに気をつけて地域の方々にお詫びなども含めて挨拶できる生徒になって欲しいことなど、大切な話がありました。
 山口教頭による教員の異動と新任の紹介、新任教員の挨拶、そしてお待ちかねのクラス担任発表がありました。5学年の担任発表の場面はいつもながら興味深く強烈な光景でした。
 総務委員長の種子島君からは、生徒会は皆で創り上げるものであり、各種の役員決めもおしつけを排して自主的な立候補を基本に積極的に担って欲しいこと、この後の新入生歓迎会は実行委員や各クラブの部員みんなの協力などで成り立っており、おおぜいの協力によって準備しているので、是非見学に来て下さいとの呼びかけがありました。

 
 対面式は、今年度から始めたイベントです。新入生は先達全員が学年ごとに並ぶ間をアリーナ前方と壇上へクラス毎に上がり、盛大な歓迎の拍手を受けました。種子島総務委員長から熱い激励メッセージがあり、全員で学園歌をうたって、新入生の仲間入りを喜び合いました。本当に感動的な光景でした。その後新入生はアリーナに残ってもらい、学園の立地や沿革も踏まえた学校ガイダンスを校長中心に行いました。

 
 午後の新入生歓迎会は、新入生のいる3階フロアからオーバーブリッジを通って階段を下りアリーナへ入る沿道が、運動部と文化部の先輩達を中心ににぎやかな花道となり、拍手やハイタッチでクラス毎に進んでいく新入生を歓迎しました。これも実に学園らしく、温かく活気にあふれた光景です。
 アリーナではクラス毎に円陣で着席してもらい、高校総務委員と新歓実行委員の司会と運営で盛りだくさんのメニューが進められます。学園生徒会の紹介、総務委員選挙立候補の呼びかけ、ゲーム(何でもバスケット、○×ゲーム、じゃんけん列車)、部活紹介(DVD紹介)と続きました。教室~アリーナの往復も誘導係の生徒諸君が行い、全ての運営は生徒達が自主的に考えて仕切っていくのが学園生のパワーです。先輩達の熱い歓迎ともてなしは新入生の心に熱く響き、学園生に仲間入りした喜びを強めてくれたものと思います。

 

 

 

 

 
 

 

 

 

では最後に、中高始業式における校長式辞の内容を紹介させて頂きます。

皆さん、おはようございます。今日から新しい年度が始まります。今年度も在校生の皆さんとのいろんな接点を大切にして、精いっぱい取り組んでいきます。どうかよろしくお願いいたします。
まず、生徒会の新歓実行委員会の人たちにお礼を伝えます。もうこのアリーナいっぱいに素適な装飾が施されています。日曜日には濡れた校舎を掃除してくれ、中1の各教室を歓迎のメッセージで飾り付けてくれました。毎日リハーサルなど入念な準備を重ねてくれています。新入生歓迎会が例年より早まり、この始業式の後に新入生との対面式を行って、午後にはもう新歓になりますが、どうかよろしくお願いします。 

さて、いま皆さんは、新しいクラスを確認して着席してもらいました。「クラス替え」は特に中学生の皆さんには、すごく気になる一大事だったことでしょう。同じクラスに仲の良い友達がいるかどうか、気の合わない苦手な人はいないかなど、クラスのメンバーが気になるのは当然です。中には一番の仲良しと離れて、「友達が少ないなあ」と不安な気持ちの人もいることでしょう。また担任の先生が誰になるかも、もちろん気になることでしょう。
「クラス替え」は毎年行われます。期待も不安も混じるクラス替えは、実は人間関係を広げていく大切な機会でもあります。学年全体で友達の輪が広がるという手応えは、いろんな交流や体験を重ねて、高校生になってからやっとつかめるものだと思います。そのつながりや絆は、大人になってから更に意味を深めて大事なものになります。
新しいクラスで出会った縁を大切に、協力と助け合いを重ねて、明るい和やかなクラスを築いていきましょう。初めて身近になった人にも積極的に声をかけてみましょう。友達に恵まれた人は、元気のない人が周りにいたら、優しく話しかけてみて下さい。同性も異性も、クラスメイトには「おはよう」「さよなら」と挨拶し、「ありがとう」と声をかけてみましょう。小さな挨拶の心がけが、温かな輪を広げていくものです。
担任の先生は、持ち上がりの先生も、その学年に新たに入った先生も、大きな願いを持って、新しいクラスの運営を始められます。学年や学校の行事のあとで「みんなと一緒で、このクラスで良かった」と思えるようにしたいものです。居心地が良くて活気のあるクラス、意見の違いが出てもちゃんと話し合えて、楽しく取り組めるクラスをつくっていって下さい。

 

さて今年度、湘南学園はこの11月に創立80周年を迎えます。この4月から中高のホームページも更新したので、ぜひ時々観て下さい。生徒会の人たちの協力も頂いて、生徒諸君が輝き活躍する様子をもっと発信していきたいと思います。また在校生の皆さんの出番や協力を幅広く頂いて、秋の記念式典や記念行事を盛り上げたいです。PTAや同窓会、後援会の方々からも様々なご尽力を頂いてこの節目の年をお祝いし、今後の発展に弾みをつける一年にしていきたいと願っています。
その一環で、クラスエリアの隣に「80周年記念館」がいよいよ着工されました。
その中心はカフェテリアです。従来のリトルストアに加えて、育ちざかりの皆さんに美味しい食事を提供し、学校生活の新しい憩いの場となる、すてきなスペースが登場します。昼休みだけでなく、放課後も出来るだけ活用できる運営を検討しています。カフェテリアが完成したら、皆さんどうか、大いにたくさん利用して下さい。
在校生の皆さんはもちろん、卒業生の方々も、皆さんが学園を卒業した後も、気軽に寄って友達や先生との再会を楽しめる場所にしていきたいと願っています。

 

さて、ここで連絡とお願いがあります。
湘南学園は、中1から高3まで社会に生きる様々な人びとからも直接に学んで体験する取り組みを大事に続けてきました。「特別教育活動」、つまり「特活」です。しかし公立学校などでは「特別活動」というと、学級活動やホームルーム活動、生徒会活動、学校行事を指すので、紛らわしい部分がありました。より的確な表現をと考えて今後は「総合学習」と呼ぶことにします。略して「総合」と呼びます。
湘南学園の教育目標は、「社会の進歩に貢献する、明朗で実力ある人間の育成」です。「総合」は、その実現のために皆さんが現代社会の抱える重要テーマに向き合って、関係する人びとに出会い、その仕事や暮らし、生き方から学ぶ機会をいろいろ設けてきました。たとえば中1ではハンディキャップを持つ人びとに出会ってその生活と願いを知り、中2では身近な湘南の地域で協力して働く人びとの姿から学びます。中3では東京都内や瀬戸内地方など様々な地域へ出かけてFWや旅行を行っています。高1と高2では広く全国や国際社会に目を向けて、生命の尊厳や地球環境などを脅かす諸問題と向き合い、より良い社会の実現へ向けた人びとの努力から学んでいます。研修旅行は全国各地に分散し、中3同様に民泊も取り入れる独自の研修旅行を行っています。そして高3では社会の第一線の様々な職業で活躍する方々に来て頂いて座談会を行い、自分は将来どう社会に寄与していけるのかという問題意識を深めています。
この6年間の総合学習に関連して、いま日本と国際社会が大切にしているキーワードがあります。それは「持続可能な開発」または「持続可能な社会」という言葉です。地球上に住む約70億人の人類とあとに続く世代の人びとが、生命を維持する食料やエネルギーをちゃんと保証され、地球環境を維持するために環境破壊や貧富の格差を是正し、資源の無駄使いや自己中心的なライフスタイルを改めていこう、という決意を秘めた言葉でもあります。湘南学園の総合学習は、そうした国際的な課題に沿って全体を更に整備・充実させていく予定です。その一環として「ユネスコスクール」への加盟もいま申請中です。生徒会で行っている例えばエコキャップの取り組みもその目標につながっています。

 

関連して1つ変更があります。皆さんが各自使用している机と椅子は、これまで原則6年間持ち上がり、卒業すると一部は他の用途に廻すものの、大部分を廃棄の扱いにしていました。これはもったいなくて「持続発展社会」の流れに反しています。
そこで来年度からは、毎年やってもらっていた「机と椅子の移動」をなくして固定し、生徒の皆さんだけが移動するスタイルに変更します。今年まではこの後もすみませんが移動をお願いします。ネームプレートもいずれ取り払うことになります。
全校の机や椅子も皆さんの大事な共同の財産です。どうかなるべく大事に傷つけずに使って下さい。関連して、時々悲しい事件があります。トイレットペーパーとかクラブ活動連絡版など校内の大切な備品への、心ないいたずらがあるのです。お世話になる用務の方にも多大なご迷惑や負担をおかけするのを、どうして平気でいられるのでしょう。許されない行為です。「持続可能な社会」を推進していくために、こうした故意の破損などは戒め、出来る小さな努力は学校の全員で心掛けていきたいものです。

 

ここで、東日本大震災と福島原発事故について、改めて考えてみましょう。あの日の出来事、計画停電や品不足で苦労した日々から、2年以上が経ちました。私達の中では、だいぶ風化してきていないでしょうか。被災地に関する現在の報道に、時々は関心を向けているでしょうか。
大震災では1万5千人を超える人が亡くなり、行方不明の人はまだ2600人以上もいます。現在も約31万5千人の人たちが全国各地に避難したままで、そのうち11万人以上の人たちは仮設住宅で暮らしています。地震や津波による「震災がれき」は、全国で年間に出る生活ゴミのほぼ半分にもなり、二年後の今もまだ半分ほどしか処理できていないそうです。原発事故に直面して、まだ町全体で避難を続ける自治体もあります。いつか故郷に帰りたいと祈りながら、自宅も想い出も全て残してもう戻れないと断念した人たちもいます。仕事や子育てで離ればなれに暮らし、意見の違いに引き裂かれる家族もいます。

 

現在の便利で快適な暮らしが、今後も当たり前のように続くと考えてはいけないことを私達は知りました。また大震災を通じて、この広い世の中が様々な人たちの仕事や善意のつながりによって成り立っていることも深く理解できました。被災地の復興へ向けて大変な努力が重ねられ、人びとの助け合いが広がりました。お金儲けや競争の勝利だけを最優先する経済や風潮はおかしい、いけないと考える人びとが増えてきています。本当の生きがいや幸福を求める考え方が広がっていることに、私達は希望を見出していきましょう。
皆さんの将来には、広い世の中が、大きな可能性が広がっています。世の中をしっかり見つめながら、将来はきっと自分にふざわしい進路や仕事を選び、社会や地域で人の役に立つ生き方をしていきましょう。この湘南学園は、その旅立ちに向けて皆さんが様々な分野で学び、挑戦する舞台です。学校行事も部活動も、総合学習や国際交流も、すべてが大切な経験になります。人間関係を学び、社会への視野を広げ、リーダーシップやメンバーシップを身につけ、自分にふさわしい分野をつかんで、希望いっぱいに旅立って欲しいと思います。

 

最後に、勉強のことを中心にしてお話します。
それぞれの現状や成績、到達度は様々です。でも、いよいよ大学受験を前にして強い決意を胸に秘める高3諸君から、入学した初心に戻って新たな努力を誓う中2諸君まで、全学年の皆さんが学力と成績をアップしようと意気込んでいることでしょう。成績が伸びる人達に共通するのは、自分から始める、そして続けるという決意です。中高6年間の教科の勉強、そして第一志望校を目指す受験勉強、さらにその先の大学や仕事の世界で必要になる大事な力は、「続ける力」です。
勉強をやるぞと思い立ってもすぐ「三日坊主」か「一日坊主」になるのもよくあることでしょう。勉強に詳しい専門家は、続けられないのは「時間がとれない」からでなくて、「生活のリズムに組み入れる工夫が足りないから」だと指摘しています。毎日の歯磨きや入浴のような「生活の原則」に組み入れる決意と努力が鍵といいます。昨年もふれた事柄ですが、専門家による2つの強力なアドバイスを伝えます。
まず「ゴールからの発想」という考え方です。山登りやマラソンも頂上やゴールが何キロ先にあるかわかると最後まで頑張りきれるものです。大会の優勝を目指すスポーツ選手も同じです。自分の目指すところが具体的にイメージできれば、限界を感じて挫けそうになった時、目の前の壁を突き破るエネルギーが沸いてくるものです。次に「全体から部分へ」という助言が注目されます。自分が取り組む教科書や参考書やテキストの「全体像」をまずつかむことです。いろいろな本を勉強する時はその本の目次に注意しましょう。宿題に取り組む時、試験範囲に向かう時は、「これから進める勉強は全体でこうなっている」とイメージを持っておき、勉強の進行状況を意識していくと学習と理解がはかどるというのです。

 

クラブ活動や生徒会や習い事で忙しい時も、この勉強だけは必ずやると決めて「続ける力」を発揮しましょう。好きな教科なら「今回は必ず90点以上取る!」と決めて、必要な勉強の全体像をつかんでパーフェクトな準備を目指しましょう。
昨年は、高校の運動部ですばらしい成果がありました。特にハンドボール部が関東大会に、バスケットボール部とバレーボール部が県大会へ勝ち上がったのはビッグニュースでした。改めてここでお祝いの言葉を届けたいと思います。
部活動では、絶対ここまで勝ち進もうという明確な目標を皆で持って練習を続けると、大きな弾みがつくことでしょう。体育祭や合唱コンクールでも毎回、優勝という明確なゴールを意識して取り組むクラスが伸びることも経験しているはずです。
勉強も大事な原則は同じです。大きな夢や目標を掲げて、早めに行動を起こすこと。目の前の小さな課題を大切にして、一歩一歩地道に努力を続けることが大切です。
皆さん一人ひとりが、この新年度を充実した一年にしていけるように心から祈っています。一日一日を大切にして、自覚ある暮らしを築いていきましょう。

以上で、私からの挨拶を終わります。ありがとうございました。